
障子の寸法は建築現場において、明確な規格に基づいて分類されています。最も一般的な分類として、大サイズ(基本サイズ)は幅900×丈601~1850mm以内、中サイズは幅900×丈401~600mm以内、小サイズ(天袋サイズ)は幅900×丈400mm以内となっています。
この規格化された寸法体系は、建築現場での効率的な施工を可能にし、コストの標準化にも寄与しています。特に注目すべきは、ワーロンの有効サイズが900mm以内に制限されている点です。これは材料調達時に重要な制約となるため、設計段階で必ず確認が必要です。
幅広サイズは横幅が900mm以上のもの、丈長サイズは丈が1850mmより大きいものを指し、これらは特別な取り扱いが必要になります。建築現場では、これらの特殊サイズの場合、追加の補強や特別な施工方法が求められることが多いため、事前の検討が欠かせません。
建築現場で扱う障子には多様な種類があり、それぞれ固有の寸法特性を持っています。荒組障子は建具寸法H6尺×3尺で組子が縦3本、横5本という標準的な構成となっています。
横繁障子は横の組子を多く入れた構造で、幅800~900mm/枚、高さ1800~2100mmの間でサイズ指定が可能です。この障子は横への流れが強く意識でき、奥行きを広く見せる効果があるため、空間演出において重要な役割を果たします。
水腰障子は下部に腰板がないタイプで、採光を最大化したい場合に選択されます。一方、腰付障子は下部に腰板を入れたもので、プライバシー保護と耐久性の向上を図る設計です。竪繁障子は縦の組子を多く入れた構造で、縦の線を強調したい空間デザインに適用されます。
あずま障子(別名:硝子障子)は障子紙の代わりに硝子を入れたもので、採光性能を重視する現代建築でよく採用されています。摺上げ障子(別名:雪見障子)は下部の外側にガラスを入れ、下部の内側の小障子が上げ下げできる機能的な構造となっています。
障子紙は家庭用品品質表示法の適用対象とされ、雑貨工業品品質表示規程に定めがあり、日本工業規格(JIS S 3102)で形状や寸法などの規格が定められています。この規格化により、建築現場での品質管理と施工の標準化が実現されています。
美濃雑紙が明障子紙の代表として評価される理由は、透光性のよい薄い紙でありながら、破れにくい粘り強さを持ち、価格も安いという建築現場のニーズを満たしているからです。壇紙や奉書紙、鳥の子紙などは高級感はありますが、障子紙としては不適当とされており、実用性を重視する建築現場では美濃雑紙が多用されています。
現代の建築現場では、従来の和紙だけでなく、樹脂系の障子紙も広く使用されています。これらの新素材は耐久性に優れ、メンテナンス頻度を大幅に削減できるため、長期的なコスト削減に貢献しています。特に商業建築や公共建築では、メンテナンス性を重視した材料選択が重要な判断基準となっています。
建築現場における障子の正確な測定は、施工品質を左右する重要な作業です。障子本体の高さは鴨居・敷居の溝深さから算出して製作するため、枠内の高さHの測定が基本となります。
鴨居と敷居との内寸法の測定では、溝幅A、溝と溝の間B、鴨居溝深さC、敷居溝深さDの4つの寸法が重要です。よくある寸法体系として、A=21、B=9/12/15、C=15、D=4mmが標準的な値とされています。
建具の厚さはBの寸法によって27mm・30mm・33mmのいずれかに調整され、溝が1本の場合は特別な指定がなければ30mmで製作されます。既存枠を利用する場合は、枠の歪みをチェックするために各辺を採寸する必要があり、それぞれ最も小さいH/Wの寸法を目安に注文します。
横桟の位置についても明確な基準があり、腰窓タイプではH1200mm未満の場合は障子下端から350mm、H1200~H1400mmの場合は障子下端から400mmとなっています。掃き出し窓タイプでは、H2100未満の場合は障子下端から590mm、H2100~H2200mmの場合は障子下端から650mmが標準です。
建築現場での障子オーダーでは、正確な寸法計算が不可欠です。2枚引き違い戸の場合、建具幅Wは「開口部幅W' + 框幅20(n-1) ÷ n」で計算されます。例えば、開口部幅W'=1700mmで2枚引き違い戸の場合、建具幅Wは860mmとなります。
3枚引き違い戸や4枚引き違い戸の場合も同様の計算式を適用し、枚数nに応じて框幅の重なりを考慮した計算を行います。引き込み戸の場合は、開口部幅と建具幅の関係が異なるため、設計図面を参照した詳細な検討が必要です。
オーダー障子の納期は、通常納期で決済完了後14~21営業日での発送、特急納期で決済完了後7営業日以内の出荷が標準的です。建築現場のスケジュール管理において、これらの納期を考慮した発注計画が重要になります。
サイズオーダー製品では、設置される箇所の枚数ごとに個別の注文が必要であり、特急納期を除いてオーダー寸法・仕様による追加料金は発生しない場合が多いです。しかし、特殊な加工や材料を要求する場合は、事前に詳細な見積もりを取得することが推奨されます。
建築現場では、障子の寸法計算ミスが施工遅延の原因となることが多いため、測定から計算、発注まで複数人によるチェック体制を構築することが品質管理の観点から重要です。特に、既存建物への後付け工事では、建物の経年変化による歪みも考慮した慎重な測定と計算が求められます。