
設計図は建築士やデザイナーといった設計者が作成する図面です。設計図の主な目的は、施主の希望を具体的な形にして、法的に適合した建物を計画することにあります。建物の間取り、高さ、仕上げ材料、外構など、建物を建設する際に必要な基本事項が描かれています。
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設計図は完成イメージを関係者に伝えるための図面として機能し、クライアントや施工業者との打ち合わせをスムーズに進める役割を果たします。また、建築確認申請や工事費用の見積もりにも使用される重要な書類となります。設計図には意匠図、構造図、設備図などが含まれ、それぞれ異なる専門的な視点から建物の情報を提供します。
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設計図の縮尺は一般的に1/200~1/300程度で、平面図・断面図・立面図の3つで構成されることが多くなっています。平面図は建物を水平に切った状態で上から見た図面、断面図は建物を垂直に切った図面、立面図は建物の外観を示す図面です。これらの図面により、建物の全体像を把握することができます。
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施工図は施工管理者もしくは協力業者といった施工者が作成する図面です。施工図の目的は、現場で職人が正確に作業を行うために必要な具体的な指示を提供することにあります。設計図が「何を作るか」を示すのに対し、施工図は「どのように作るか」を具体的に指示します。
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施工図には、壁の厚さや仕上げ方法、ドアや窓の取り付け位置と寸法、設備の配管・配線ルートなど、設計図には描かれていない詳細な情報が含まれます。使用ボルトのサイズやビスの長さといった細かい指示まで記載されており、職人が迷うことなく正確に作業を進められるようになっています。
施工図屋は設計士と現場作業者とをつなぐ橋渡しの役割も担っています。設計士が持つ完成イメージをしっかりと把握しながら、実際に施工をする職人たちが理解できるように作業指示を作成します。また、現場で変更が必要になった際には、施工図屋が間に入って具体的な修正方法を検討することもあります。
参考)施工図屋の役割とは?
設計図と施工図の記載内容には明確な違いがあります。設計図は建物の間取り、高さ、形状、仕上げ材料などの基本事項を記載し、建物の全体的なデザイン概要やコンセプトがわかるように作成されます。一方、施工図には平面詳細図、断面詳細図、躯体図、天井伏図、配管図、割付図など、さまざまな種類があり、工事に必要な情報が詳細にまとめられています。
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施工図には設計図では表現しきれない具体的な寸法や使用材料、構造の詳細などが記載されます。例えば、ドアや窓など建具の正確な寸法と取付位置、資材の種類、配線の仕方などが網羅されています。これにより、工事現場での作業を円滑に進めることができます。
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設計図は施主や建物の概要を知るための図面であるのに対し、施工図は実際に現場で作業する人のための図面という違いがあります。施工図があることで、施工ミスや手戻りを防ぐことができ、時間的なロスや費用の無駄を最小限に抑えることが可能になります。
参考)施工図と施工計画書のそれぞれの特徴とは?設計図との違いも併せ…
建築現場では設計図と施工図を適切に使い分けることが重要です。設計図は法的な適合性を確認し、建築許可を得るための図面として機能します。建築基準法やその他の法令に適合するように作成され、自治体への建築確認申請に使用されます。
参考)建築設計の図面とは?提案から完成まで作成する図面の種類と作成…
施工図は現場での施工方法を細かく指示し、職人が作業しやすくするための図面として使われます。工事業者や職人は自分の工事に必要な施工図を見て施工を行い、必要のない図面は見ずに作業を進めることがほとんどです。例えば、基礎工事業者は内装仕上げに必要な図面は見ず、サッシ業者は木製建具図面を見ないという具合です。
参考)施工図を正しく理解して、できる現場監督になろう!
現場監督は現場作業員が適切な施工図を持っていることを確認し、図面によるトラブルが起きないように管理する必要があります。施工図に関して質疑がある場合は、効率的な工事方法の提案や図面相互の不整合・誤記の指摘であることが多く、現場監督はその都度確認・検討・指示を行い、現場を工程通りに進めなくてはなりません。
設計図と施工図の不一致は建築現場において深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。最も頻繁に発生するのが、図面通りに作ったはずなのに物理的に納まらないという干渉・不整合の問題です。異なる専門工事の図面間で整合性が取れていない場合、現場で深刻な手戻りを引き起こします。
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具体的には、建物の骨格である梁や柱といった構造躯体と、空調のダクトや水道の配管といった設備が物理的にぶつかってしまうケースがあります。これは建築、構造、設備の各図面を重ね合わせて事前検討する総合図での調整不足が主な原因です。現場で発覚した場合、配管ルートを変更したり、構造体に穴を開けたりといった大掛かりな是正工事が必要になります。
施工図のエラーによって完成した建物が契約書や設計図書で定められた内容と異なる状態になった場合、施工者は契約不適合責任という法的な責任を問われる可能性があります。トラブルを防ぐためには、各段階での図面のやり取りや指示内容を記録しておくことが重要です。また、着工前の図面チェックを徹底し、設計図と施工図の整合性を確保することが不可欠です。
施工図には多様な種類があり、それぞれ異なる目的と役割を担っています。主要な施工図として、平面詳細図、断面詳細図、躯体図、天井伏図、配管図などがあります。
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平面詳細図は建物を上から見た状態を表した図面で、各部屋の間取り、壁の配置、出入口の位置、設備機器の配置、仕上げ材料などが描かれています。平面図の縮尺を拡大して作成され、建具や壁、躯体などの寸法を明記し、フローリングの方向や納まり、仕上げなども詳しく記載します。
参考)建築図面の基礎知識!まずは図面の種類と役割を知ろう
断面詳細図は建物を垂直に切断した断面の構造や仕上げの情報を示す図面です。天井高さや床厚、梁や柱の位置関係、階層ごとの構造納まりなどが視覚的に理解でき、上下階をまたぐ構造要素や仕上げ材の取り合いが複雑な部分で使用されます。
参考)施工図の描き方を簡単にまとめて解説|具体的な手順(平面詳細図…
躯体図は柱や梁、壁、階段などの建物の骨組みとなる躯体工事に必要な図面です。コンクリートの打設位置、寸法、通り芯、コンクリートの断面寸法などを記載し、構造図と平面詳細図をもとに作成されます。天井伏図は照明や換気扇、火災報知器や天井点検口の位置など天井に関わる情報が記載された図面で、各部屋の天井の高さや下地、仕上げの種類なども記載されています。
参考)建設における施工図の役割とは?代表的な施工図の種類とチェック…
参考リンク:施工図の詳細な種類と作成方法について
施工図の書き方とは?基礎知識や手順、見やすい施工図の書き方を…
参考リンク:施工図と設計図の違いについての実務解説
【新人施工管理向け】施工図とは?設計図の違いと役割について解…
参考リンク:施工図作成におすすめのCADソフト情報
https://www.pluscad.jp/suipo/tech_constr/shinsei/255/