

測量機器レベルは、建設現場や土木工事において地点間の高低差や基礎の水平を測定する重要な測量機器です。レベル測量(水準測量)では、三脚の上に設置したレベルから標尺(スタッフ)の目盛りを読み取り、各測点の高さや起伏を正確に把握します。建物の基礎工事では地震に強い構造を実現するため、土地の特徴を立体的に把握する必要があり、レベル測量が欠かせない作業となっています。
参考)https://jm-sokki.com/column/info/surveying-equipment-level/
レベルの主な用途として、各地点の高さを測定して高低差を算出すること、道路の勾配確認、建物を建てる場所の水平出しなどがあります。測量作業は通常2人一組で行われ、一人がレベルの望遠鏡を覗いて目盛りを読み取り、もう一人が測点に標尺を立てて保持します。現代の測量機器は自動補正機能やデジタル読み取り機能を備え、作業効率と精度が大幅に向上しています。
参考)https://key-s-c.co.jp/column/%E6%B0%B4%E6%BA%96%E6%B8%AC%E9%87%8F%E3%81%A8%E3%81%AF
レベルの設置場所は測量精度と作業効率に直接影響するため、慎重な選定が必要です。理想的な設置場所は、水平でありすべての基準点(測点)が見通せる位置です。ただし、すべての測点が見渡せなくても測量は可能ですが、障害物がある場合はレベルを移動させながら測定する必要があり、作業時間が増加します。
土地全体を測量する場合は、敷地の中心付近に設置することで移動回数を最小限に抑えられます。足元の地盤は固くしっかりとした平面を選ぶことが重要で、勾配がある場所ではレベル自体がぐらついたり、測定者の安全が確保できなかったりするリスクがあります。また、振動の影響を受けにくい場所を選ぶことも精密測量には重要です。
参考)https://www.sixth-solvers.co.jp/archives/288/
設置場所を決定する際のチェックポイントは以下の通りです。
三脚の適切な設置はレベル測量の精度を左右する重要な作業です。決定した設置ポイントに三脚を立て、脚を適当な長さに伸ばします。三脚の高さは測定者が無理なく望遠鏡を覗ける高さに調整し、高すぎず低すぎない程よい位置に設定します。
地面への固定は測量中の安定性を確保するために特に重要です。土を固めただけの地面では三脚がぐらつく恐れがあるため、脚の先端を地面の中にしっかりと差し込みます。体重をかけて踏み込み、三脚の脚を地面に突き刺すことで測量中の振動や風による影響を最小限に抑えられます。
硬い舗装面では脚の長さを調整して水平を出しますが、軟弱な地盤では石突をしっかりと埋め込むことで安定性を高めます。三脚が適切に固定されていないと測定値に誤差が生じるため、設置後は必ず三脚の安定性を確認してから次の工程に進みます。
参考)https://www.monotaro.com/note/cocomite/554/
三脚への本体設置後、レベルを正確に水平に調整する作業が必要です。レベル本体を三脚にセットし、落下防止のためにしっかりと固定します。本体を三脚に取り付ける際は、三脚の向きと合うように正しい方向へ設置することが重要です。
オートレベルの場合、本体下部の整準ネジを回して円形気泡管を覗き、気泡が中心部分の赤丸の中に入るように調整します。オートレベルは自動補正機構(コンペンセータ)が搭載されているため、本体が多少傾いても補正範囲内であれば視準線が自動的に水平に保たれます。
デジタルレベルも同様にコンペンセータを内蔵しており、軽微な視準軸の傾きは自動補正されます。ただし、自動補正機能があっても初期設定での水平調整は精度向上のために重要です。調整が完了したら、測定者が一度レンズを覗き込んで高さが適切か確認し、必要に応じて三脚の高さを再調整します。
参考)http://www.kinomise.com/sokuryo/shiho/jyuuyou/suijyun/suijyun01-houhou.pdf
レベルの調整が完了したら、望遠鏡を覗いて十字線がはっきりと見える状態にします。明るい場所で十字線がきれいに視認できるように、接眼レンズ(接眼つまみ)を回して微調整します。望遠鏡内には十字型またはくさび型の焦点板があり、これを使って標尺の目盛りを正確に読み取ります。
測点に別の作業者が標尺を持った状態で立ち、測定者がオートレベルのレンズを覗いてスタッフの目盛りを確認します。標尺を前後に揺らして最も小さな値のときに読み取ることで、標尺が完全に垂直な状態での測定値を得られます。読み取った数値は野帳に記録し、オートレベルを回して別の測点に合わせて測定を繰り返します。
参考)https://pooloyolo.blog/surveying/staffreading/
デジタルレベルの場合、バーコード標尺のコード面にピントを合わせてボタンを押すだけで、自動的に標尺の読み取りが行われます。電子画像処理により高さと距離を自動的に読み取り、データコレクタやパソコンに自動記録できるため、観測者による個人誤差が小さくなります。
測量現場では時刻や気象条件による環境変化が測定精度に影響を与えるため、経験豊富な測量者は測定タイミングを戦略的に管理しています。気温変化による大気の屈折や標尺の熱膨張は、特に午前中から午後にかけての気温上昇時に測定誤差を引き起こします。
参考)https://digital-construction.jp/column/1100
精密測量では、日射による標尺の一方向加熱を避けるため、曇天時や早朝・夕方の測定が推奨されます。また、風による標尺の揺れは目盛り読み取り精度を低下させるため、風の弱い時間帯を選ぶことも重要です。長距離測定では大気の密度変化による屈折誤差が顕著になるため、往復観測を実施して誤差を相殺する手法が用いられます。
測量作業を複数日に分けて実施する場合、測定条件の一貫性を保つために同じ時間帯に作業を行うことで、系統的誤差を最小限に抑えられます。これらの環境要因を考慮した測定タイミングの管理は、教科書には記載されていない実務的なノウハウとして、測量精度の向上に大きく貢献しています。
参考)https://www.sixth-solvers.co.jp/archives/463/
レベル測量の詳しい実務手順については、国土地理院の作業規程や各メーカーの取扱説明書を参照することで、より専門的な知識を得ることができます。
国土地理院|基本測量で使用する測量機器の性能検定・登録等
測量機器の性能基準と級別分類について詳細な情報が記載されており、レベルの選定時の参考になります。
オートレベル(自動レベル)は、現在の建設現場で最も広く使用されている代表的な測量機器です。最大の特徴は自動補正機構(コンペンセータ)が内蔵されている点で、本体が多少傾いても補正範囲内であれば自動的に視準線を水平に保ちます。この自動補正機能により、測定者の技量に左右されずスピーディに測量できることが、ほとんどの現場で採用されている理由です。
オートレベルは建築物の高さや水平の確認、根掘りの深さの検測、基礎杭の頭を揃える作業などに用いられます。道路や側溝の勾配設置にも有効で、望遠鏡を覗いて目盛りを確認するための機器として機能します。オートレベルが登場する前まではティルティングレベルが主流でしたが、自動補正機能により測定者を選ばず使えるため、現在はオートレベルが標準となっています。
一般的なオートレベルの仕様として、倍率は20倍から32倍程度、最短合焦距離は20cmから75cm程度のモデルが多く流通しています。防じん・防滴機能付きのモデルは屋外での長時間作業に適しており、悪天候下でも測量作業を継続できます。オートレベルは電源不要で動作するため、電源設備のない現場でも使用できる利点があります。
参考)https://re-tool.net/column/how-to-choose-an-autolevel/
デジタルレベル(電子レベル)は測定とデータ記入を自動で行うデジタル化された測量機器です。バーコード状の目盛が刻まれた専用標尺(パターンスタッフ)を検出器で認識し、電子画像処理を行って高さと距離を自動的に読み取ります。デジタルレベルの最大の利点は、機械が数値を読み取るため誰が操作しても数値ミスが起きにくく、測定精度が高いことです。
データコレクタやパソコンに接続することにより、観測データを自動記録でき、データ管理や解析が容易になります。標尺の読み取り誤差など観測者個々の個人誤差が生じにくく、望遠鏡でパターンスタッフを視準しピントを合わせボタンを押すだけの簡単な作業で測定が完了します。この自動化により、補助者を使わず一人でスムーズに作業したい場合に特に適しています。
デジタルレベルもオートレベルと同様にコンペンセータを内蔵しており、軽微な視準軸の傾きは自動補正されます。ただし、デジタルレベルはバッテリーや電池を使用するため、作業中は予備の電源を持つ必要があり、定期的に充電できる環境や急速充電器の設備が必要です。また、観測作業にはメーカー専用の標尺を用いる必要があるため、標準的なアルミスタッフでは使用できない点に注意が必要です。
ティルティングレベル(チルチングレベル)は、高感度の棒状気泡管によって手動で視準線を水平に合わせて使う測量機器です。内蔵された気泡管水準器を用いて視準線の水平調整を行い、高精度用のものではプリズムを利用して気泡管の両端の映像を合致させる構造になっています。本体の水平を調整し、測定者自身が望遠鏡を覗きながら整準できる特徴を備えているため、振動のある場所でも微調整をしながら測定が行えます。
ティルティングレベルは高精度水準測量に使われ、熟練した観測者による精密な測定が可能です。望遠鏡を覗きながら整準の確認ができるため、測定ポイントごとに正確な水平調整ができる利点があります。かつては多くの現場で使われていましたが、オートレベルが普及して以降はほとんど使用されていません。
参考)https://www.rentalsurvey.jp/topics-menu/topics-top01.html
ティルティングレベルは自動補正機能がないため、一定の技量を要求されます。手動での水平調整が必要なため、測定者の技術レベルによって測定精度が変わる可能性があります。現在では特殊な高精度測量を除き、オートレベルやデジタルレベルに置き換えられていますが、精密測量における伝統的な手法として価値が認められています。
レーザーレベルは赤外線レーザーポイントを内蔵している水平器で、レーザー光線を照射して水平ラインを検出する測量機器です。オートレベルやデジタルレベルが主に高さの計測に使われるのに対し、レーザーレベルは水平を保つためのレーザー光線照射が主な用途です。高さの計測も可能ですが、レーザー光を使った水平ライン検出のほうが高精度であることが特徴です。
レーザーレベルは広い範囲の測定が可能で、複数の作業者が同時に基準ラインを確認できる利点があります。レーザーを照射し、当たっているところに受光器を持っていって反応させ、高さを計測する仕組みです。各メーカーからローテーティングレーザーや回転レーザーなどさまざまな名称で販売されています。
参考)https://www.rent.co.jp/media/surveying/autolevel-toha/
ただし、一般的なレベルと比べると精度はあまり高くなく、オートレベルに劣る場合があります。レーザーレベルは室内の天井や壁の施工、配管の水平確認など、広範囲の水平ライン出しが必要な場合に特に有効です。用途としては主に高さを測るオートレベルと、水平を測るレーザーレベルという使い分けがなされています。
参考)https://www.sixth-solvers.co.jp/archives/483/
レベルの倍率は測定精度と作業効率に直接影響する重要な仕様です。一般的なオートレベルの倍率は20倍から32倍程度で、32倍率のモデルは業界シェアNo.1として広く使用されています。倍率が高いほど遠距離の標尺目盛りを鮮明に読み取れますが、視野が狭くなるため測点の捕捉に時間がかかる場合があります。
最短合焦距離は一般的に20cmから75cmのモデルが多く流通しています。20cm程度のモデルは室内など限られたスペースや狭い場所で利用しやすいというメリットがあります。建物内部の測量や狭小地での作業が多い場合は、最短合焦距離が短いモデルを選ぶことで作業効率が向上します。
広い敷地や長距離測量では倍率の高いモデルが有利ですが、一般的な建設現場では28倍から32倍の倍率があれば十分に実用的です。使用前に製品の最短合焦距離と倍率を確認し、作業環境に適したスペックのレベルを選定することが重要です。また、メーカーや機種によって視野の明るさや像の鮮明さが異なるため、可能であれば実機で確認することをおすすめします。
屋外での測量作業では、レベルが塵埃や水分にさらされる機会が多いため、防じん・防滴機能の有無は重要な選定基準です。防水加工によって屋外で使用できる機種が一般的ですが、劣化につながるため濡れたまま放置や収納をしないよう注意が必要です。特に長時間の屋外作業や悪天候下での使用が想定される場合は、高い防塵防滴性能を持つモデルを選ぶことで機器の寿命を延ばせます。
レベル本体が濡れた場合は十分に乾かしてからケースに納める必要があります。濡れた状態で納めると水蒸気が器具内に入り込み、レンズ内部に水滴がつく恐れがあり、そうなるとメンテナンスが必要で費用がかかります。防じん・防滴機能付きのモデルでも、基本的なメンテナンスと適切な取り扱いが機器の耐久性維持には不可欠です。
三脚の耐久性も考慮すべき要素です。オートレベル用のアルミ三脚はしっかりした石突を備え、風の強い日でも安定するものを選びます。三脚の脚部が頑丈で変形しにくい構造のものは、長期間の使用に耐えられます。測量機器は精密機器のため、衝撃や水分に注意し、丁寧に扱うことで長期的な精度維持が可能になります。
自動補正機能(コンペンセータ)の性能は、レベルの使いやすさと測定精度に大きく影響します。オートレベルは自動補正機構によって本体が概略水平であれば自動的に水平出しができるため、測定者の技量に関わらず安定した測定が可能です。補正範囲は機種によって異なり、一般的には±15分程度の範囲で自動補正が機能します。
測量機器の精度等級は、国土地理院の性能基準により級別に分類されています。レベルは水準測量の精度要求に応じて適切な等級のものを選定する必要があり、高精度な測量では上位等級の機器が必要です。基本測量に使用する測量機器は性能検定を受けた登録機種を使用することが推奨されており、公共測量では作業規程に基づいた測量機器の使用が求められます。
参考)https://www.gsi.go.jp/gijyutukanri/seino.html
デジタルレベルは自動補正機能に加えて電子画像処理による自動読み取り機能を備え、0.1mm単位まで検出できる高精度を実現しています。測定精度が向上した現代の測量機器でも、さまざまな要因で誤差は生じるため、機器の性能等級と自動補正機能の仕様を確認して選定することが重要です。
測量機器レベルの価格は搭載機能と性能によって大きく異なり、用途に応じた適切な機種選定がコスト効率を左右します。エントリーモデルのオートレベルは基本的な自動補正機能と標準的な倍率を備え、一般的な建設現場での使用に十分な性能を持っています。中級モデルは防塵防滴性能が強化され、より高い倍率や短い最短合焦距離などの付加機能を備えています。
デジタルレベルはオートレベルに比べて価格が高くなりますが、自動読み取り機能とデータ記録機能により作業効率が大幅に向上します。人件費の削減効果や測定ミスの低減を考慮すると、長期的にはコストパフォーマンスが高い場合があります。特にデータ管理が重要な大規模プロジェクトでは、デジタルレベルの導入により測量データの一元管理と品質向上が実現できます。
レンタルと購入の選択も重要な検討事項です。使用頻度が低い場合や特定のプロジェクトのみで使用する場合は、レンタルのほうがコスト効率が良い場合があります。一方、継続的に測量業務を行う企業では、自社所有することで機器の習熟度が高まり、メンテナンス計画も立てやすくなります。価格帯と機能のバランスを考慮し、業務内容と使用頻度に応じた最適な選択が求められます。
参考)https://www.rex-rental.jp/feature/1135/note/autolevel-laserlevel
測量機器レベルは精密機器のため、定期的なメンテナンスと適切な保管が測定精度の維持に不可欠です。測量中に本体が濡れた場合は、十分に乾かしてからケースに納める必要があります。濡れた状態で収納すると水蒸気が器具内に入り込み、レンズ内部に水滴がつく恐れがあり、修理費用が発生します。特に雨天や高湿度環境での使用後は、乾燥した布で水分を拭き取り、室内で十分に乾燥させてから収納します。
保管時は直射日光を避け、温度変化の少ない場所に保管することが重要です。極端な高温や低温環境は機器の精度に悪影響を及ぼす可能性があります。また、レベルを床などに乱雑に置くと大きな負荷がかかり、測定結果に狂いが生じるおそれがあるため、専用ケースに入れて保管します。
定期的なメンテナンスについては、メーカーで受け付けているため、少なくとも1年に1回のペースで点検を受けることが推奨されます。丁寧に扱っていても経年劣化や微細なズレが生じるため、専門技術者による調整と校正が必要です。使用前には精度確認を行い、異常がないことを確認してから測量作業を開始します。取扱説明書にない使い方や禁止されている使い方は避け、メーカーの推奨する手順に従って使用することが機器の長寿命化につながります。
レベルの運搬時には、機器に衝撃を与えないよう細心の注意が必要です。測量中に本体をかついで水平ではない状態で持ち運ぶと、大きな負荷がかかり測定結果に狂いが生じるおそれがあります。レベルを三脚につけた状態で運ぶ場合は、必ず三脚部分を持ち、垂直になった状態で丁寧に運ぶようにします。
横向きで肩に担ぐいわゆる「天秤担ぎ」は厳禁です。この運搬方法は本体に想定外の負荷がかかり、内部の精密部品や自動補正機構が狂う可能性があります。短距離の移動であっても、レベルは垂直を保って移動させることが基本です。
長距離の運搬や車両での移動時には、レベルを三脚から取り外して専用ケースに収納します。ケース内でも振動による衝撃を受けないよう、緩衝材を適切に配置して固定します。車両に積載する際は、他の資材や工具と接触しない場所に置き、急ブレーキや急カーブでも動かないように固定します。精密機器として取り扱い、衝撃や振動から保護することで測定精度を長期間維持できます。
レベル測量における測定誤差は、物理的要因、人為的要因、環境要因によって生じます。物理的要因としては、機器自体の測定値と実寸値の誤差があり、視準線と気泡管軸が完全に平行でない場合に誤差が発生します。この誤差は測量距離に比例しないため、前視と後視の距離を等しくすることで相殺できます。
参考)https://sites.google.com/view/mstakagi/lecture/%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB-%E3%81%AE%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B9
人為的要因では、標尺の読み取り誤差が主な誤差源となります。読み取り時の視線の角度や目盛りの見間違いによって誤差が生じるため、標尺を前後に揺らして最も小さな値のときに読み取る技術が重要です。デジタルレベルを使用することで、観測者個々の個人誤差を大幅に減少させることができます。
環境要因による誤差には、気温変化による大気の屈折や標尺の熱膨張があります。日射による標尺の一方向加熱は測定値に影響を与えるため、曇天時や気温変化の少ない時間帯に測量することが推奨されます。風による標尺の揺れも測定精度を低下させるため、風の弱い日や防風対策を講じることが有効です。
誤差の解消法として以下の対策が実施されます。
標尺(スタッフ)の適切な立て方と保持技術は、レベル測量の精度を左右する重要な要素です。標尺は測点上に垂直に立てる必要があり、傾きがあると実際の高さとは異なる値が測定されてしまいます。標尺保持者は測点に標尺の下端を正確に合わせ、標尺を前後に軽く揺らしながら最も小さな値が読み取れる位置で保持します。
参考)https://www.jsokuryou.jp/PDF/200408/catalog14.pdf
標尺を垂直に保つための技術として、円形気泡管付きの標尺を使用する方法があります。標尺に取り付けられた気泡管を確認しながら垂直を保つことで、傾きによる誤差を最小限に抑えられます。風の強い日は標尺が揺れやすいため、両手でしっかりと保持するか、標尺支持器を使用して安定させます。
垂直標尺は水準測量やスタジア測量などで望遠鏡から目盛を設定して使用されるため、読み取りやすく工夫された目盛が施されています。インバール標尺は熱膨張係数が小さく精密水準測量に使用され、アルミスタッフや木製標尺は一般的な測量で広く使われます。デジタルレベル用のバーコード標尺(パターンスタッフ)は、メーカー専用のものを使用する必要があります。
標尺の下端は測点に確実に接地させ、軟弱地盤では標尺が沈み込まないよう下盤を使用します。測定中は標尺を動かさないよう保持し、レベル観測者から読み取り完了の合図があるまで静止状態を維持します。標尺保持者とレベル観測者の連携が測量精度を高めるため、明確なコミュニケーションも重要な技術要素です。
測量課長が教えるレベルの使い方動画
実際の使用手順を動画で確認でき、初心者でもわかりやすく解説されています。