地盤改良と軟弱地盤の対策工法と種類

地盤改良と軟弱地盤の対策工法と種類

記事内に広告を含む場合があります。

地盤改良と軟弱地盤の対策方法

地盤改良の基本知識
🏠
軟弱地盤の危険性

軟弱地盤に建物を建てると不同沈下が発生し、壁のひび割れや建物の傾きなど深刻な被害につながります

🔍
地盤調査の重要性

適切な地盤改良工法を選定するためには、事前の地盤調査が不可欠です

🔧
主な改良工法

柱状改良工法、表層改良工法、小口径鋼管工法など、地盤状況に応じた適切な工法選択が重要です

建築物を安全に支えるためには、地盤の状態を正確に把握し、必要に応じて適切な地盤改良を行うことが重要です。特に軟弱地盤では、建物の重量を支えきれずに不同沈下が発生し、建物に深刻な被害をもたらす可能性があります。

 

軟弱地盤とは、一般的に地耐力が不足している地盤のことを指し、切土や盛土が混在する造成地、埋立地、河川や水田の跡地などに多く見られます。このような地盤に対して、建物の安全性を確保するためには、地盤改良が必要となります。

 

地盤改良とは、建築物が建つ地盤が建物の重量をしっかりと支え、不同沈下などの問題が生じないように、軟弱地盤に対して改良を加えることです。適切な地盤改良を行うことで、建物の安全性と耐久性を確保することができます。

 

地盤改良が必要な軟弱地盤の特徴と判断基準

軟弱地盤かどうかを判断するためには、地盤調査が不可欠です。地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験などを用いて地盤の硬さを測定し、地耐力を評価します。

 

地盤の硬さを示す指標としてN値があります。N値とは、標準貫入試験で30cmの深さまで貫入させるのに必要な打撃回数を表し、この値が大きいほど地盤が硬いことを意味します。一般的に、住宅建築においては以下のような基準で地盤の状態を判断します:

  • N値5以上:良好な地盤(地耐力30kN/㎡以上)
  • N値3〜5:やや軟弱な地盤(地耐力20〜30kN/㎡)
  • N値2〜3:軟弱地盤(地耐力10〜20kN/㎡)
  • N値2以下:超軟弱地盤(地耐力10kN/㎡以下)

地盤改良が必要となる主な軟弱地盤の特徴は以下の通りです:

  1. 埋立地や盛土地:人工的に土を盛った地盤で、十分に締め固められていない場合が多い
  2. 河川や水田の跡地:水分を多く含む粘土質の土壌が堆積している
  3. 腐植土が含まれる地盤:植物の遺骸が分解されてできた有機物を含む土壌
  4. 火山灰質粘性土(ローム層):固化しにくい特性を持つ

これらの地盤では、建物の重量を支えきれずに沈下が発生する恐れがあるため、地盤の状態に応じた適切な地盤改良が必要となります。

 

地盤改良の主な工法と特徴比較

地盤改良には様々な工法がありますが、住宅建築で主に用いられる工法は以下の4種類です。それぞれの特徴を比較してみましょう。

 

  1. 柱状改良工法
    • 適用条件:軟弱層が地表から2〜8m程度の場合
    • 工法概要:地中に直径60cm程度の穴を開け、セメント系固化材と土を混ぜた改良杭を設置
    • 工期:1〜2日程度
    • 費用目安:80〜120万円程度
    • メリット:強固な地盤がなくても施工可能、費用が比較的安い
    • デメリット:狭小地や高低差のある土地では施工困難な場合がある
  2. 表層改良工法
    • 適用条件:軟弱層が地表から2m以内の場合
    • 工法概要:軟弱地盤を取り除き、セメント系固化材と土を混ぜて強度を高める
    • 工期:1〜2日程度
    • 費用目安:80〜150万円程度
    • メリット:小型重機でも施工可能、比較的リーズナブル
    • デメリット:残土が多く発生、粘性土地盤では固化材との撹拌が難しく強度にムラが出る場合がある
  3. 小口径鋼管工法
    • 適用条件:軟弱層が8mを超える場合や支持層が深い場合
    • 工法概要:支持層まで鋼管を回転圧入させる
    • 工期:1〜2日程度
    • 費用目安:150〜200万円程度
    • メリット:セメント系固化材を使用しないため固化不良のリスクがない、支持層の起伏に対応可能
    • デメリット:支持層がなければ施工不可、他の工法より高額
  4. 既製コンクリートパイル工法
    • 適用条件:大規模な建築物や特に軟弱な地盤の場合
    • 工法概要:コンクリート製の杭を支持層まで打ち込む
    • メリット:高い支持力が得られる
    • デメリット:施工機械が大型で騒音・振動が大きい、費用が高額

これらの工法は、地盤状況や建物の規模、敷地条件などを考慮して選択する必要があります。地盤調査結果に基づいて、最適な工法を選定することが重要です。

 

地盤改良における表層改良工法の施工手順と注意点

表層改良工法は、軟弱層が地表から2m以内と比較的浅い場合に適用される工法です。ここでは、表層改良工法の具体的な施工手順と施工時の注意点について解説します。

 

施工手順:

  1. 事前準備:地盤調査結果に基づいて改良範囲と深さを決定し、施工計画を立てます。

     

  2. 掘削作業:建物の基礎下となる部分の軟弱土を掘削します。通常、建物の外周より50cm程度大きく掘削します。

     

  3. 固化材の混合:掘削した土とセメント系固化材を混合します。固化材の配合率は土質や目標強度によって調整されます。

     

  4. 敷き均し・転圧:混合した改良土を掘削箇所に戻し、層状に敷き均して転圧機で締め固めます。一般的に20〜30cm程度の層ごとに転圧を行います。

     

  5. 養生:セメント系固化材が十分に固まるまで養生期間を設けます。通常、数日から1週間程度必要です。

     

施工時の注意点:

  1. 土質の確認:腐植土や火山灰質粘性土(ローム)はセメント系固化材との相性が悪く、固化不良を起こす可能性があります。このような土質の場合は、事前に配合試験を行うか、別の工法を検討する必要があります。

     

  2. 含水比の管理:土の含水比が高すぎると固化不良の原因となります。必要に応じて、土の乾燥や含水比の調整を行います。

     

  3. 均一な混合:セメント系固化材と土を均一に混合しないと、改良地盤に強度ムラが生じ、不同沈下の原因となります。十分な混合時間を確保し、均一性を確認しながら施工することが重要です。

     

  4. 気象条件への配慮:気温が低い時期(5℃以下)は固化反応が遅くなるため、養生期間を長めに取る必要があります。また、雨天時の施工は避けるべきです。

     

  5. 残土処理:表層改良工法では多くの残土が発生するため、適切な処理計画を立てておく必要があります。

     

表層改良工法は比較的シンプルな工法ですが、適切な施工管理を行わないと期待通りの改良効果が得られない可能性があります。特に土質の確認と均一な混合は重要なポイントです。

 

地盤改良の柱状改良工法と小口径鋼管工法の選定基準

軟弱地盤の改良において、柱状改良工法と小口径鋼管工法はよく用いられる工法ですが、どのような基準で選定すべきでしょうか。ここでは、両工法の選定基準について詳しく解説します。

 

柱状改良工法の選定基準:

  1. 軟弱層の深さ:軟弱層が地表から2〜8m程度の場合に適しています。8mを超える場合は施工が困難になります。

     

  2. 地盤の均一性:地盤構成が比較的均一で、支持層の起伏が少ない場合に適しています。

     

  3. 敷地条件:施工機械(重機)が入れる広さがあり、高低差が少ない敷地に適しています。

     

  4. 経済性重視:比較的低コストで地盤改良を行いたい場合に選択されます。

     

  5. 土質条件:セメント系固化材との相性が良い土質(砂質土など)の場合に効果的です。

     

小口径鋼管工法の選定基準:

  1. 軟弱層の深さ:軟弱層が8mを超える深い場合や、支持層までの距離が長い場合に適しています。

     

  2. 支持層の起伏:支持層の深さに変化がある場合でも、各鋼管を支持層まで到達させることができるため適しています。

     

  3. 土質条件:腐植土や火山灰質粘性土など、セメント系固化材との相性が悪い土質の場合に有効です。

     

  4. 施工条件:狭小地や高低差のある敷地でも、比較的小型の施工機械で対応可能です。

     

  5. 将来的な撤去可能性:将来的に土地利用が変わる可能性があり、地盤改良材の撤去が必要になる可能性がある場合に適しています。

     

選定のポイント:
両工法の選定にあたっては、以下のポイントを総合的に判断することが重要です:

  1. 地盤調査結果の詳細分析:N値の分布、軟弱層の厚さ、支持層の深さなどを詳細に分析します。

     

  2. 建物の規模と荷重:建物の規模や荷重条件に応じた支持力が得られるかを検討します。

     

  3. コストパフォーマンス:初期コストだけでなく、長期的な安全性や耐久性も考慮します。

     

  4. 施工性:敷地条件や周辺環境に適した施工方法かどうかを確認します。

     

  5. 環境への影響:残土処理や騒音・振動などの環境影響も考慮します。

     

適切な工法選定のためには、信頼できる地盤調査会社や設計事務所に相談し、専門家の意見を参考にすることをお勧めします。地盤状況は敷地ごとに異なるため、一概にどちらが優れているとは言えません。それぞれの現場条件に最適な工法を選択することが重要です。

 

地盤改良工事における軟弱地盤でのトラブル事例と対策

地盤改良工事を行う際には、様々なトラブルが発生する可能性があります。ここでは、軟弱地盤における代表的なトラブル事例とその対策について解説します。

 

1. 支持層の起伏によるトラブル
事例:支持層の深さに変化がある場合、同じ長さの改良体を打設しても、一部が支持層に到達せず、支持力に不均衡が生じて不同沈下が発生する。

 

対策

  • 事前の地盤調査を複数箇所で実施し、支持層の分布状況を詳細に把握する
  • 支持層の起伏に応じて改良体の長さを調整する
  • 支持層の起伏が大きい場合は、小口径鋼管工法など支持層まで確実に到達できる工法を選択する

2. 固化不良によるトラブル
事例:腐植土や火山灰質粘性土(ローム)などの土質では、セメント系固化材との相性が悪く、十分な強度が得られないことがある。

 

対策

  • 事前に土質調査を行い、固化不良のリスクがある土質かどうかを確認する
  • 腐植土や火山灰質粘性土用の特殊な固化材を使用する
  • 固化不良のリスクが高い場合は、セメント系固化材を使用しない小口径鋼管工法などを検討する
  • 事前に配合試験を行い、適切な固化材の種類と配合率を決定する

3. 施工不良によるトラブル
事例:施工管理が不十分で、改良体の品質にばらつきが生じ、局所的な沈下が発生する。

 

対策

  • 施工会社の実績や技術力を確認し、信頼できる業者を選定する
  • 施工中の品質管理(混合状態、固化材の配合率など)を徹底する
  • 第三者機関による施工管理や品質検査を実施する
  • 施工後の強度確認試験を行う

4. 地下水位の影響によるトラブル
事例:地下水位が高い場合、セメント系固化材の効果が低下したり、施工自体が困難になることがある。

 

対策

  • 事前の地盤調査で地下水位を確認する
  • 地下水位が高い場合は、排水対策を講じてから施工する
  • 水中硬化型の固化材を使用する
  • 地下水位の影響を受けにくい工法(小口径鋼管工法など)を検討する

5. 周辺環境への影響によるトラブル
事例:振動や騒音が周辺環境に影響を与え、近隣とのトラブルになることがある。

 

対策

  • 事前に