
戸建て住宅で最も普及しているスレート屋根の標準寸法は、幅910mm×高さ414mmです。厚さは5.2mmで、この薄さが軽量化と施工性の向上に寄与しています。
スレート屋根の基本規格を以下の表にまとめました。
項目 | 寸法・数値 | 備考 |
---|---|---|
幅 | 910mm | 標準規格 |
高さ | 414mm | 標準規格 |
厚さ | 5.2mm | 許容差±0.6mm |
1㎡あたり重量 | 約20kg | 陶器瓦の半分 |
1㎡あたり必要枚数 | 約6枚 | 重ね代込み |
1枚あたり価格 | 約500円 | 参考価格 |
スレート屋根の上部には4か所の釘打ち穴があり、これを野地板に打ち込んで固定します。この固定方法により、風圧や地震動に対する耐性を確保しています。
建築基準法における構造計算では、スレート屋根は3段階のうち最も軽い「軽い屋根材」に分類されており、これにより建物の構造設計においても有利な条件となります。
工場や倉庫で使用される波型スレートは、戸建て住宅用のフラットスレートとは異なる寸法規格を持ちます。JIS A 5430「繊維強化セメント板」で規定される波型スレートの寸法は以下の通りです。
小波スレート 🏭
大波スレート 🏗️
波型スレートの施工時には、重ね寸法の考慮が重要です。縦重ね寸法は勾配3/10以上で約150mm、勾配3/10未満では重ね目にシール材を使用した防水処理が必要です。
高強度大波スレートでは、山数7.5山、ピッチ130mm、谷の深さ38mm、厚さ8.5mmの規格もあり、より強度が要求される用途に対応しています。
スレート屋根の施工において、垂木の適切な寸法選定は構造安全性に直結する重要な要素です。スレート屋根用垂木の標準寸法は幅45mm×高さ60mmです。
垂木寸法の選定基準。
標準的なスレート屋根 📐
軒の出が長い場合 📏
垂木の寸法は、使用する屋根材の重量と軒の長さによって決定されます。スレート屋根は軽量であるため、瓦屋根用の垂木(幅60mm×高さ75mm)と比較して細い寸法で済みます。
垂木の配置間隔は通常455mm(尺モジュール)または500mm(メーターモジュール)で設計され、この間隔と垂木の断面寸法により必要な構造強度を確保しています。
施工時の注意点として、垂木と母屋を井桁状に組むことで建物全体の構造強度を高め、地震や風圧に対する耐性を向上させています。
スレート屋根の重量特性は、建物の構造設計において重要な要素です。1㎡あたりの重量は約20kgで、これは陶器瓦の約半分、金属屋根の約3倍に相当します。
重量比較表。
屋根材 | 1㎡あたり重量 | 相対比較 |
---|---|---|
スレート屋根 | 約20kg | 基準 |
陶器瓦 | 約40kg | スレートの2倍 |
金属屋根 | 約7kg | スレートの1/3 |
この軽量性により、1990年代にスレート屋根は屋根材シェアの50%近くを占めるようになりました。特に阪神淡路大震災以降、屋根の軽量化への関心が高まり、スレート屋根の普及が加速しました。
施工基準における重要なポイント。
スレート屋根の施工時には、適切な重ね代の確保が必要です。一般的には縦方向に約100mm、横方向に約25mmの重ね代を設けることで、雨水の浸入を防いでいます。
スレート屋根のメンテナンスや改修工事において、既存スレートの正確な寸法確認は不可欠です。特にアスベスト含有の古いスレートでは、寸法によって製品の特定が可能です。
メンテナンス時の寸法確認ポイント。
幅による分類 🔍
厚さによる判別
リフォーム工事での寸法考慮事項。
カバー工法の場合 🏠
葺き替え工事の場合
メンテナンス時期の目安として、塗装メンテナンスは築5~10年、補修は築10年以上、葺き替えは築20~30年が一般的です。定期的な寸法測定により、反りや浮きなどの劣化状況を早期発見できます。
古いスレート屋根では、製造年代により寸法規格が異なる場合があるため、メンテナンス計画立案時には詳細な現場調査が重要です。特にアスベスト含有製品の場合、適切な処理方法の選定のためにも正確な製品特定が必要となります。