
建築現場で使用されるタラップの標準寸法は、主に旧建設省型、国土交通省型、住都型の3つの規格に分類されます。最も一般的なステンレス製タラップ(SUS304)の標準寸法を以下にまとめました。
基本寸法パターン:
国土交通省型タラップの代表例として、22φ×320×80×400mmの仕様があり、重量1.9kgで耐荷重420kgfを実現しています。このタイプは都営住宅でも採用されている信頼性の高い規格です。
段数別寸法例(塔屋タラップ):
特に注目すべきは、芯々寸法(パイプ中心から中心まで)で表記されることが多く、実際の外形寸法とは異なる点です。設計時には必ず芯々寸法での確認が必要です。
材質によってタラップの寸法設計が異なるため、用途に応じた適切な選択が重要です。
ステンレス製(SUS304)の特徴:
ステンレス製は耐食性に優れ、メンテナンスが容易な反面、初期コストが高くなります。特にSUS304材では、φ34×2.0tの方立パイプとφ19×2.0tのステップパイプの組み合わせが標準的です。
亜鉛メッキ製の特徴:
亜鉛メッキ製は初期コストを抑えたい場合に適していますが、塩害地域では早期劣化のリスクがあります。
寸法精度の違い:
ステンレス製は±2mm、亜鉛メッキ製は±3mmの製造公差が一般的です。精密な取り付けが必要な場合は、この公差も考慮した設計が必要です。
設置場所に応じたタラップ寸法の選び方は、安全性と機能性を両立させるために極めて重要です。
屋上設置の場合:
屋上環境では風雨にさらされるため、滑り止め加工が重要です。ローレット加工により表面に細かな溝を刻み、濡れた状態でも安全性を確保できます。
塔屋・機械室の場合:
塔屋タラップでは手摺の有無が安全性に大きく影響します。高さ1600mm以上では必ず手摺付きを選択し、進入禁止扉の設置も検討してください。
マンホール・点検口の場合:
マンホール用は限られたスペースでの設置となるため、コンパクトな寸法設計が重要です。座付型は取り付け強度が向上し、ALC壁への施工に適しています。
建築物の用途や環境条件を十分検討し、適切な寸法選択を行うことで、長期間にわたる安全性を確保できます。
標準規格以外の特注寸法が必要な場合の対応方法と価格体系について詳しく解説します。
特注対応可能な寸法範囲:
特注製作では、設置場所の制約に合わせた細かな寸法調整が可能です。ただし、構造計算上の安全率を確保するため、極端な寸法変更は推奨されません。
価格算定の基準:
特注品の価格は材料費と加工費の両方が増加するため、可能な限り標準規格での対応を検討することが経済的です。
特注時の注意点:
特注製作では、施工現場での実測値に基づく正確な寸法指示が不可欠です。図面またはスケッチでの寸法指示を行い、疑問点は事前に製造業者と確認することが重要です。
よくある特注パターン:
これらの特注対応により、建築物の個別要件に最適化されたタラップの提供が可能となります。
現場でのタラップ寸法測定は、適切な製品選択と施工精度確保のために重要な工程です。測定ミスは後戻りできない問題につながるため、以下の注意点を厳守してください。
測定前の確認事項:
特に既存建物への後付け設置では、図面通りでない場合が多く、必ず現場実測での確認が必要です。
正確な測定方法:
測定時は必ず2名以上で実施し、測定値の相互確認を行ってください。特に高所作業では、安全確保と測定精度の両立が重要です。
測定器具の選定:
測定記録の管理:
現場測定結果は必ず記録に残し、製造業者との打合せ資料として活用してください。デジタル写真による記録も有効で、後日の確認作業で重要な資料となります。
よくある測定ミス:
これらの注意点を守ることで、現場に適合する正確なタラップの選定・製作が可能となり、施工トラブルの回避につながります。
建築現場でのタラップ寸法選択は、安全性と経済性のバランスを考慮した総合的な判断が求められます。標準規格の活用を基本としながら、必要に応じて特注対応を検討し、現場条件に最適化された製品選択を行ってください。