天井伏図と平面図の違いは視点と目的

天井伏図と平面図の違いは視点と目的

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天井伏図と平面図の違い

天井伏図と平面図の違い|3つのポイント
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視点の違い

天井伏図は天井を下から見上げた視点、平面図は建物を真上から見下ろした視点で表現されています

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表現内容の違い

天井伏図は照明・空調・配線など天井設備を、平面図は間取り・壁・建具などの配置を示します

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用途の違い

天井伏図は設備工事に特化し、平面図は建物全体の設計・施工の基礎となります

天井伏図の特徴と視点

天井伏図は、室内から天井面を見上げた状態を図面化したもので、英語ではReflected Ceiling Plan(RCP)と呼ばれています。これは床面に鏡を置いて天井を反射させたような表現方法で、「伏せる」という言葉の通り、上から透かして見た平面図の一種です。天井伏図には照明器具、空調吹出し口、換気扇、スプリンクラー、火災感知器、点検口などの設備機器の位置が詳細に記載されており、天井の形状や段差、天井高さ(CH)も明示されています。
参考)天井伏図とは?読み方・書き方を詳しく解説

この図面は「テンプレ」と現場で略称されることもあり、電気・空調・消防など複数の職種が関わる設備工事の取り合い確認に不可欠な共通言語となっています。天井伏図を見ることで、どこにどのような設備があるのか、どんな材質が使われているのかが一目で理解でき、施工時に非常に役立ちます。特に天井ボードの目地や貼り出し位置も図面に表されるため、総合図よりも詳細な情報を提供します。
参考)天井伏図とは?現場で役立つ意味・見方・作成ポイントを徹底解説…

平面図の特徴と視点

平面図は、建物の各階を一定の高さで水平に切断し、真上から見下ろした状態を表現した図面です。建物の屋根や天井を取り払って各階の様子が分かる状態を図面化したもので、間取りや部屋の配置、動線などを示す最も基本的な設計図書となっています。平面図には建物の間取り、部屋の用途、窓や扉の構造、床高、面積、主要設備のほか、キッチンカウンターや収納などの造作家具も記載されています。
参考)【建築の基礎知識】平面図と立面図とは? 設計図書の4種類につ…

この図面は他の図面の見出しや索引として使用されることもあり、施主と設計計画を立てる際に建物内の大まかな配置や生活動線をイメージするのに役立ちます。平面図は50分の1または100分の1の縮尺で記載されることが一般的で、寸法の正確性が間取り図よりも高いという特徴があります。ただし、平面図では外観の仕上がりや高さ、細かなデザインを確認することはできないため、立面図と併せて確認することが重要です。
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天井伏図と平面図の表現内容の違い

天井伏図と平面図では、表現される情報が大きく異なります。天井伏図は天井内部の構造や設備を対象としており、照明器具、配線、ダクト、空調機器など天井に取り付けられる設備の配置を詳細に示します。一方、平面図は床面の間取り、壁、ドア、窓などの建物の基本構造を対象としており、部屋の配置や建物の形を示すことに重点が置かれています。
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天井伏図には天井仕上げ材の割付情報も含まれており、クロスだけでなく化粧石膏ボードやケイカル板といった材料のサイズが決まっているため、その配置を検討する必要があります。また、照明器具の配置は室内の明るさやインテリアにも影響を与えるため、照明計画にも天井伏図が利用されます。これに対して平面図は、複雑な構造計算は含まれず、寸法の足し算引き算に破綻がないレベルで作成されますが、「どこにどのくらいの広さが必要か」といった基礎知識が必要です。​

天井伏図と平面図の用途と利用者の違い

両者の用途も明確に異なります。天井伏図は主に設備工事や配線・配管の計画に使用され、設備担当者や施工者が利用します。具体的には、照明配置の最適化、空調効率の向上、配線・配管の管理に活用され、天井裏の配線や配管の位置を明示することで、メンテナンスや将来的な設備変更が容易になります。天井伏図は寸法も記入された現場で使える図面として作成され、各機器を配置した後に納まらない箇所を調整する際にも使用されます。
参考)天井伏せ図の書き方

平面図は設計の基礎として、設計者、施主、インテリアプランナーなどが利用し、間取りの確認や建物全体の計画に用いられます。平面図がなければ建物の基本的な構成を理解することができず、他の専門図面の参照基準としても機能します。天井伏図の作成時期は、インサートを打つ関係で天井スラブのコンクリート打設前に書かれることが多く、照明器具は天井材から支持できますが、空調機は躯体から支持する必要があるためです。​

天井伏図作成時の実務ポイントと注意点

天井伏図を作成する際には、いくつかの重要な実務ポイントがあります。まず、感知器は空調機から1500mm以上、壁から600mm以上離す必要があり、部屋が狭くどうしても離隔が取れない場合は出入口の近くに配置します。非常照明は照度が取れる円の範囲を超えないように配置し、非常放送スピーカーは設置基準を超えないように配置する必要があります。​
照明器具の配置は天井伏図では最優先機器であり、壁からなるべく1:2:1の比率になるようにし、天井ボードの目地またはボードの芯に合わせるようにします。照明器具を変な位置に設置すると照度の足りない部分が出てしまうため注意が必要です。また、スプリンクラーと他の機器との間には散水障害がないように離隔を取る必要があります。​
建築業者からボード割り付けが入った天井伏図をもらった後、照明器具を配置し、次に非常照明、非常放送スピーカー、自火報感知器などを配置します。その後、空調業者が空調機等を配置し、衛生業者がスプリンクラー等を配置するという順序で進められます。天井伏図を作成しないと各機器が干渉したり、ボードの目地に合っていなかったり、配置がバラバラになってしまうため、必ず作成する必要があります。​
天井伏図の読み方や作成ポイントについての詳細解説|MIRIX
天井伏図と平面図の違いを図表で比較した参考資料
天井伏図の書き方と重要性についての実務ガイド