石膏ボード寸法一覧と種類別規格の施工ガイド

石膏ボード寸法一覧と種類別規格の施工ガイド

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石膏ボード寸法一覧

石膏ボード寸法の基本情報
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標準サイズ規格

910×1,820mm(3×6版)が最も一般的な寸法で、厚みは9.5mm・12.5mm・15mmの3種類が基本

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種類別寸法展開

強化・化粧・硬質など用途別に専用サイズが設定され、施工効率と建築性能を両立

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重量・許容差データ

搬入計画に必須の重量情報と、品質管理に重要な寸法許容差の詳細規格

石膏ボード基本規格と標準寸法

石膏ボードの標準寸法は、日本工業規格(JIS A 6901)に基づいて統一されています。最も汎用性の高い普通石膏ボード(GB-R)では、910×1,820mm(3×6版)が業界標準として広く採用されており、これは畳約1帖分の面積に相当します。

 

厚みは9.5mm、12.5mm、15mmの3種類が基本構成となっており、9.5mm厚は不燃材料、12.5mm以上は不燃材料として建築基準法上の防火材料に適合します。この規格は住宅建築から商業施設まで幅広い用途に対応できる設計となっています。

 

  • 3×6版(910×1,820mm) - 最も一般的で在庫豊富
  • 3×8版(910×2,420mm) - 天井高の高い建物に適用
  • 3×9版(910×2,730mm) - 大空間での継ぎ目削減に有効
  • メートル版(1,000×2,000mm) - 特殊用途向け受注生産

特に注目すべきは、近年増加している高天井建築に対応した3×8版や3×9版の需要増加で、継ぎ目の削減により施工効率と仕上がり品質の向上が期待できます。

 

石膏ボード種類別厚み一覧

石膏ボードは用途に応じて8つの主要分類に分かれ、それぞれ異なる厚み展開が設定されています。

 

普通石膏ボード(GB-R)
最も汎用的な種類で、防火性・遮音性・加工性に優れています。厚み展開は9.5mm、12.5mm、15mmの3種類で、内装工事の約80%でこの規格が使用されています。

 

強化石膏ボード(GB-F)
耐火構造や準耐火構造に使用される高性能タイプで、厚み展開が最も豊富です。

 

  • 12.5mm厚 - 一般的な耐火壁に使用
  • 15mm厚 - 高い耐火性能が要求される箇所
  • 21mm厚 - 特殊耐火構造(2×6版:606×1,820mm)
  • 25mm厚 - 最高級耐火性能(受注生産)

普通硬質石膏ボード(GB-R-H)
衝撃に強く、厚み展開は9.5mm、12.5mm、15mmですが、製品によって対応サイズが異なります。タイガースーパーハードでは9.5mm厚で1㎡あたり11.6kgと、通常の石膏ボードの約1.8倍の重量を持ちます。

 

化粧石膏ボード(GB-D)
表面処理済みの仕上げ材で、主に9.5mmと12.5mm厚で展開されています。天井用では455×910mm(1.5×3版)や910×910mm(3×3版)の正方形サイズも用意されています。

 

意外に知られていないのが、北米規格の4×8フィート(約1,219×2,438mm)サイズの存在です。これは日本の3×8版よりもわずかに大きく、海外仕様の建築や特殊用途で使用される場合があります。

 

石膏ボード重量と比重データ

石膏ボードの重量は施工計画において極めて重要な要素です。搬入計画、作業員の配置、揚重機の選定など、工事全体の効率性に直結するためです。

 

標準的な重量データ(3×6版基準)

種類 厚み(mm) 重量(kg) 1㎡あたり(kg/㎡)
普通石膏ボード 9.5 10.9 6.6
普通石膏ボード 12.5 14.1 8.5
強化石膏ボード 12.5 16.2 9.8
強化石膏ボード 15 19.4 11.7
スーパーハード 9.5 19.2 11.6
防水ボード 12.5 14.7 8.9

比重の特徴
普通石膏ボードの比重は約0.7で、意外にも水より軽いという特性があります。これは石膏の結晶構造に含まれる水分子の影響によるものです。一方、スーパーハードタイプでは比重が1.22と大幅に増加し、同サイズでも約2倍の重量となります。

 

搬入時の注意点

  • 3×8版(サンパチ)では重量が約1.3倍に増加
  • 3×9版(サンキュウ)では約1.5倍に増加
  • エレベーターの積載制限を事前確認が必須
  • 作業員の腰痛予防対策として2人1組での運搬を推奨

特殊な例として、21mm厚の強化石膏ボードでは2×6版(606×1,820mm)サイズで18.1kgとなり、3×6版換算では約27kgに相当する重量となります。

 

石膏ボード施工時の寸法許容差

JIS A 6901で規定される石膏ボードの寸法許容差は、品質管理において極めて重要な基準です。

 

寸法許容差の基準値

  • 厚さ:±0.5mm
  • 長さ:+3mm、0mm(プラス側のみ許容)
  • 幅:0mm、-3mm(マイナス側のみ許容)

この許容差設定には深い理由があります。長さは施工時に若干長めの方が調整しやすく、幅は下地材との関係で短めの方が施工性が向上するためです。厚さの±0.5mmは、パテ処理やクロス貼りの仕上がりに直接影響する重要な数値です。

 

実際の施工での影響
寸法許容差が品質に与える影響は想像以上に大きく、特に大面積施工では累積誤差が顕著に現れます。例えば、幅910mmの石膏ボードが-3mmの誤差を持つ場合、10枚並べると30mmの隙間が生じる計算になります。

 

  • 継ぎ目の目地処理に影響
  • 下地材との整合性
  • 仕上げ材の施工精度
  • 建具との取り合い部分

品質管理部門では、入荷時の抜き取り検査でこれらの寸法を測定し、許容差を超える製品は使用を避ける体制が必要です。

 

測定方法と記録
現場での寸法確認は、JIS規格に準拠した測定器具を使用し、温度20±2℃、相対湿度65±5%の環境で実施することが推奨されています。

 

石膏ボード選定における寸法の最適化戦略

石膏ボードの寸法選択は、単純なコスト比較では判断できない複合的な要素を含んでいます。真の最適化には、施工効率、廃材削減、品質向上の3要素を総合的に評価する必要があります。

 

施工効率の最大化手法
大きなサイズの石膏ボードを使用することで継ぎ目が削減され、パテ処理工程が大幅に短縮されます。例えば、2,400mmの壁高に対して3×6版(1,820mm)を使用する場合と3×8版(2,420mm)を使用する場合では、後者の方が上下の継ぎ目処理が不要となり、約40%の工期短縮が可能です。

 

廃材削減のための計算手法
建築図面から必要寸法を算出し、最も廃材の少ない石膏ボードサイズを選定する「廃材最小化計算」は、環境負荷軽減とコスト削減の両立を可能にします。

 

  • 壁面積の正確な測定
  • 開口部面積の差し引き計算
  • 端材の再利用可能性評価
  • 運搬・保管コストの算入

特殊用途での寸法選択事例
音響室や手術室など高い気密性が要求される空間では、継ぎ目の数を最小限に抑えるため、受注生産の大判サイズや特殊厚みを選択するケースが増えています。初期コストは高くなりますが、長期的な性能維持の観点では投資対効果が高い選択となります。

 

防火区画などの法規制が厳しい部位では、認定番号と対応する寸法・厚みの組み合わせが限定されるため、設計段階での慎重な検討が不可欠です。

 

デジタル化による最適選択
近年、BIM(Building Information Modeling)を活用した石膏ボード選定システムが普及しており、建物全体の3Dモデルから最適な寸法の組み合わせを自動算出する技術が実用化されています。これにより、従来の経験に依存した選定から、データに基づく科学的な選定へと進化しています。

 

建築業界では2024年から本格運用が始まったこの技術により、平均的な現場で約15%の材料コスト削減と20%の工期短縮が実現されており、今後の標準的な手法として定着することが予想されます28。