

特定家庭用機器再商品化法(いわゆる家電リサイクル法)は、家庭や事務所から出る家電(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)について、有用な部品・材料をリサイクルし、廃棄物の減量と資源の有効利用を進める制度です。
今回の「改正」で建築実務に直結しやすいポイントは、有機ELテレビが対象品目に加わった点です。
環境省の公表では、この追加は「施行令の一部を改正する政令」により行われ、公布が令和5年12月27日、施行が令和6年4月1日と明示されています。
建築の現場感覚で言い換えると、「テレビだから従来どおり」という判断は危険で、テレビの方式(液晶・プラズマ・有機ELなど)も含めて“対象家電としての処分ルート”に乗せる必要がある、ということです。
参考)小型家電リサイクル法|環境関連法改正情報|一般社団法人 産業…
特に、店舗・オフィス改修でサイネージ用テレビを更新する、集合住宅の共用部で既設テレビを撤去する、といったケースでは、発注者・テナント・管理会社・元請・下請で「誰が何をどこまでやるか」が曖昧になりやすく、後から処分ルートが問題化しがちです。
・参考:有機ELテレビ追加の背景・施行日(政令改正の概要)
環境省|「特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する政令」閣議決定(有機ELテレビ追加・施行日)
経済産業省の整理では、家電リサイクル法の対象となる家電には、テレビ(ブラウン管、液晶式、有機EL式、プラズマ式)が含まれます。
つまり「テレビは対象」でも、現場で見落としがちな有機ELが明確に対象に入り、自治体の粗大ごみルート等では出せない前提で考えるのが安全です(自治体サイトでも家電4品目は市の回収対象外という説明が一般的です)。
建築従事者が押さえるべきは、“対象かどうか”だけでなく、“対象だった場合の流れが工事工程に組み込まれているか”です。
例えば、引渡し直前に残置物としてテレビが出てくると、解体・内装の産廃フロー(混廃)に紛れやすい一方、家電リサイクルは別ルートが原則なので、置き場、養生、搬出動線、運搬車両、伝票(証跡)を追加で手配する必要が出てきます。
現場でありがちな「やってはいけない寄せ集め」例(ミスの芽を早めに摘むためのチェック)です。
建設工事に伴い生じる廃棄物の処理責任は、原則として発注者から直接工事を請け負った「元請業者」が排出事業者になる、という整理が自治体のFAQ等でも明確に示されています。
この「元請が排出事業者」という前提は、現場の実務では“下請が運ぶ・撤去する”こと自体を否定するものではなく、責任の設計と証跡の設計を元請側が行う必要がある、という意味合いが強いです。
したがって、家電リサイクル法の対象機器(テレビ等)が工事から出る可能性があるなら、元請の産廃管理(契約、手配、記録)と矛盾しない運用に最初から整えることが重要になります。
実務に落とすと、次のような「線引き」を決めておくと事故が減ります。
・参考:建設工事の排出事業者(元請)という考え方の根拠がまとまったFAQ
大阪府|建設工事から生ずる産業廃棄物のFAQ(排出事業者は元請)
家電リサイクル法の公式案内として、経済産業省は問い合わせ先として「一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター(RKC)」を示しています。
建築現場での段取りは自治体ごみの延長ではなく、原則として「引取り(小売等)→指定引取場所→再商品化」という制度側の流れに合わせて、家電リサイクル券などの手続きを進める発想が基本になります。
現場目線での“段取りの型”(工程表に入れやすい順)を挙げます。
「意外と効く」小技として、テレビ撤去を内装解体と同日に詰め込まない、という設計があります。
家電は形状が大きく破損しやすい一方、破損すると現場で“どの製品をどのルートで出したか”の説明が難しくなり、処分証跡の整理も崩れやすいので、搬出と引渡しの責任境界を守りやすい日程に分けるのが結果的にコストを抑えることがあります。
・参考:制度全体(対象品目に有機EL式テレビを含む、問い合わせ先も記載)
経済産業省|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)
検索上位の解説は「対象品目」「出し方」「料金」中心になりやすい一方、建築従事者にとって本当に効くのは、改正内容を“契約と運用”に落とすことです。
経済産業省は制度の問い合わせ窓口を明示しており、制度的に確認可能な前提があるからこそ、現場で迷う部分(費用負担、手配主体、残置物扱い)を契約条項に織り込みやすい、というメリットがあります。
例えば次の条項・運用は、元請の火消し工数を減らします。
最後に、実務のチェック質問を1つだけ置きます。
撤去リストに「テレビ」とだけ書かれている案件で、方式(有機ELを含む)と処分ルート、証跡の保管先まで、着工前に誰が確定させる運用になっていますか。