
u ボルトの寸法表は配管工事において重要な選定資料となります。基本的な寸法表の構成要素は以下の通りです。
寸法表では配管の呼び径と実際の外径が対応付けられており、例えば50A(2インチ)の配管では外径60.5mmに対してM8、M10、M12などの複数のねじ径が選択可能です。この多様性により、施工条件や荷重要件に応じた最適な選定が可能となります。
配管外径に応じたUボルトの選定は、構造的安全性と施工性の両方を考慮する必要があります。主要な配管サイズ別の推奨選定基準は以下の通りです。
小径配管(8A~25A):
中径配管(32A~100A):
大径配管(125A以上):
配管の荷重や振動条件によっては、より太いねじ径を選択することで安全性を向上できます。特に屋外設置や地震多発地域では、一回り太いボルトの採用が推奨されています。
Uボルトの材質によって寸法に微細な差異が生じることがあります。主要材質別の特徴は以下の通りです。
ステンレス製(SUS304/SUS316L):
炭素鋼製(SS400):
表面処理による寸法への影響も考慮が必要です。溶融亜鉛めっき(ドブメッキ)の場合、皮膜厚さ75~100μmにより若干の寸法増加が発生します。精密な取り付けが必要な箇所では、この皮膜厚さを考慮した選定が重要です。
表面処理の種類によってUボルトの最終寸法が変化するため、施工精度に影響を与える可能性があります。各処理方法の特徴と寸法への影響を整理すると。
生地仕上げ(無処理):
電気亜鉛めっき(ユニクロ):
三価クロメート処理:
溶融亜鉛めっき(ドブメッキ):
特に溶融亜鉛めっきでは、ねじ部の嵌合に影響する可能性があるため、ナットとの組み合わせ時には注意が必要です。施工前にはめっき後の実寸法確認が推奨されます。
実際の施工現場では、標準寸法表にない特殊な条件でのUボルト選定が必要になる場合があります。以下は現場で活用できる実用的な計算方法です。
配管間隔がある場合の計算:
荷重計算による太さ選定:
取り付け高さの決定:
実際に締付可能なねじ部長さ(H-ΦD)は、全高から座面までの距離を差し引いた値となります。この値は寸法表に参考値として記載されており、ナット厚さとワッシャー類を考慮した余裕を確保する必要があります。
現場での応急対応として、近似サイズのUボルトにスペーサーや調整プレートを組み合わせる方法もありますが、構造計算の再確認が必須となります。
建設現場でのUボルト寸法選定は、単純な寸法合わせだけでなく、荷重条件、環境条件、メンテナンス性を総合的に判断することが重要です。適切な寸法選定により、配管設備の長期安定稼働と安全性を確保できます。