ウレタン塗料の種類と外壁塗装
ウレタン塗料の基本情報
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価格帯
30坪の住宅で約70万円前後(シリコン塗料より安価)
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主な特徴
柔軟性があり、ひび割れに強く、光沢感のある仕上がりになります
ウレタン塗料の基本的な特徴と外壁塗装での位置づけ
ウレタン塗料は、外壁塗装でよく使用される塗料の一つです。この塗料は、ポリウレタン樹脂を主成分として作られており、柔軟性と耐久性を兼ね備えています。外壁塗装用の塗料をグレード別に分類すると、一般的に「アクリル系塗料」「ウレタン系塗料」「シリコン系塗料」「フッ素系塗料」の4種類に分けられます。この中で、ウレタン塗料は下から2番目のグレードに位置しています。
ウレタン塗料の最大の特徴は、その弾力性にあります。塗膜に弾力があるため、建物に強い力がかかってもひび割れしにくいという利点があります。また、光沢感のある美しい仕上がりになるため、高級感を演出したい場合にも適しています。
耐用年数は一般的に5~8年程度とされており、シリコン塗料(8~12年)やフッ素塗料(15~20年)と比較するとやや短めです。しかし、価格面ではシリコン塗料よりも安価であるため、コストパフォーマンスを重視する場合には選択肢の一つとなります。
ウレタン塗料の種類と水性・油性の違いについて
ウレタン塗料には、大きく分けて「ポリウレタン樹脂塗料」と「アクリルウレタン樹脂塗料」の2種類があります。
ポリウレタン樹脂塗料は、化合物である「ポリオール」と硬化剤の「ポリイソシアネート」を配合して製造されます。一方、アクリルウレタン樹脂塗料は、硬化剤のポリイソシアネートとアクリルポリオールを配合して作られます。現在の外壁塗装では、アクリルウレタン樹脂塗料が主流となっています。
また、ウレタン塗料は溶剤の違いによって「油性ウレタン」と「水性ウレタン」に分類されます。
油性ウレタン
- 石油系溶剤を用いて作られた塗料
- 耐久性が高く塗膜の密着性に優れている
- 溶剤臭が強く、人体に害を及ぼす危険性がある
- 集合住宅地では近隣から苦情が来る可能性がある
水性ウレタン
- 溶剤に水を用いて作られた塗料
- 硬化まで時間がかかり、塗膜の密着性がやや弱い
- 臭いがきつくないため、室内や集合住宅街でも使用しやすい
- 環境にやさしい
さらに、ウレタン塗料は使用方法によって「1液型」と「2液型」に分けられます。1液型はそのまま塗装できるタイプで、2液型は塗装前に硬化剤を混ぜる必要があります。2液型は1液型に比べて耐久性が高く、鉄・木・塩ビなど、さまざまな材質に塗装できることから、主に住宅の外壁や屋内の設備、家具などに用いられています。
ウレタン塗料の外壁塗装におけるメリットと適した使用条件
ウレタン塗料を外壁塗装に使用する際のメリットは多岐にわたります。以下に主なメリットをまとめました。
- 価格の安さ
- シリコン塗料やフッ素塗料と比較して価格が安い
- 30坪の住宅で約70万円前後(シリコン塗料は約87万円)
- 柔軟性と密着性
- 樹脂が柔らかく密着性が高い
- ひび割れしにくい特性がある
- 光沢と高級感
- 光沢があるため高級感を出せる
- 美しい仕上がりになる
- 多様な用途
- 木部や細部など、さまざまな場所に使える
- 塗料の種類が豊富で選択肢が多い
- メンテナンスのしやすさ
- 扱いやすく、ひび割れしにくいため、メンテナンスが比較的容易
- 塗り替え時の下地処理に手間がかからない
ウレタン塗料が特に適している条件としては、以下のような場合が挙げられます。
- 予算を抑えたい場合
- 近い将来(5~8年以内)に建て替えや大規模リフォームを予定している場合
- ひび割れが気になる古い建物の外壁
- 木部を含む多様な素材に統一した塗装をしたい場合
- 高級感のある仕上がりを求める場合
ただし、長期間のメンテナンスフリーを希望する場合や、特に紫外線の強い環境では、より耐候性の高いシリコン塗料やフッ素塗料の方が適しているでしょう。
ウレタン塗料のデメリットと外壁塗装時の注意点
ウレタン塗料には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。外壁塗装を検討する際には、これらのデメリットも十分に理解しておく必要があります。
主なデメリット
- 耐用年数の短さ
- シリコン系塗料(8~12年)やフッ素系塗料(15~20年)と比較して耐用年数が短い(5~8年程度)
- 長期的に見ると塗り替え回数が増えるため、総コストが高くなる可能性がある
- 紫外線への弱さ
- 紫外線に弱く、変色しやすい特性がある
- 特に南向きの外壁では劣化が早まる傾向がある
- ウレタン塗料に含まれるイソシアネートという成分が紫外線により黄色く変色しやすい
- 湿度による性能低下
- 湿度が高い環境では性能が落ちてしまう
- 特に梅雨時期や湿度の高い地域では注意が必要
- 汚れやすさ
- 防水性や耐水性が劣っているため、汚れが付着しやすい
- わずか数年で塗装した部分が薄汚くなり、建物全体が古びた印象になることがある
- 特にツヤ消しタイプの塗料は汚れが目立ちやすい
外壁塗装時の注意点
- 適切な下地処理
- ウレタン塗料の性能を最大限に発揮させるためには、適切な下地処理が不可欠
- 古い塗膜や汚れをしっかりと除去する必要がある
- 天候と施工時期
- 湿度が高い時期や雨天時の施工は避ける
- 理想的には湿度が低く、気温が安定している春や秋に施工するのが望ましい
- 正しい塗装手順
- 下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本
- 2回塗りで済ませると耐久性が大幅に低下する可能性がある
- 専門業者の選定
- 経験豊富な専門業者に依頼することで、塗装の品質を確保できる
- 見積もりの内訳が詳しく記載されているか確認する
これらのデメリットを理解した上で、自分の住宅環境や予算、将来計画に合わせて塗料を選択することが重要です。
ウレタン塗料の高機能タイプと外壁塗装の最新トレンド
近年、基本的なウレタン塗料の性能を向上させた高機能タイプのウレタン塗料が開発され、市場に登場しています。これらの高機能ウレタン塗料は、従来のウレタン塗料のデメリットを克服し、より優れた性能を発揮します。
高機能ウレタン塗料の特徴
- 環境配慮型ウレタン塗料
- 低汚染型ウレタン塗料
- 親水性や撥水性を高め、汚れが付着しにくい特殊な表面処理を施した製品
- 雨で汚れが洗い流される自浄作用を持つものもある
- 防藻・防カビ機能付きウレタン塗料
- 藻やカビの発生を抑制する添加剤を配合
- 湿気の多い地域や日当たりの悪い北側の外壁に特に効果的
- 高耐久ウレタン塗料
- 従来のウレタン塗料より耐久性を高めた製品
- 耐用年数が8~10年と、通常のウレタン塗料より長い
おすすめの高機能ウレタン塗料製品
- キクスイSPパワーウレタン
- 期待耐用年数:8~10年
- 施工方法:はけ、ローラー、エアレススプレー
- 対応素材:鋼材、コンクリート、セメントモルタルなど
- 特徴:オールマイティーなウレタン樹脂塗料で、高耐候性と超低汚染性を兼ね備える
- 速乾性があるため工期短縮にも役立つ
- ファインウレタンU100
- 日本ペイント社の代表的なウレタン塗料
- 優れた耐候性と耐久性を持ち、様々な下地に対応
- 艶の調整が可能で、希望の仕上がりを実現できる
外壁塗装の最新トレンド
- ハイブリッド塗料の台頭
- ウレタンとシリコンを組み合わせたハイブリッド塗料が人気上昇中
- ウレタンの柔軟性とシリコンの耐候性を兼ね備えた製品
- 遮熱・断熱機能付き塗料
- 太陽光の熱を反射し、室内温度の上昇を抑える機能を持つウレタン塗料
- エネルギー効率の向上とともに、外壁の熱による劣化も防止
- デザイン性の高い塗料
- 質感や色調に多様性を持たせた意匠性の高いウレタン塗料
- 石目調や木目調など、様々な表情を演出できる製品
- DIY向け簡易施工型ウレタン塗料
- 専門知識がなくても扱いやすい、一般消費者向けの製品
- 小規模な補修や部分塗装に適している
これらの高機能ウレタン塗料や最新トレンドを取り入れることで、従来のウレタン塗料の弱点を補いながら、コストパフォーマンスの高い外壁塗装を実現することが可能になります。ただし、製品によって性能や価格が大きく異なるため、専門業者に相談しながら最適な選択をすることをおすすめします。
日本ペイントの公式サイトでは、ウレタン塗料の詳細な製品情報が確認できます
ウレタン塗料と他の塗料との比較で見る外壁塗装の選び方
外壁塗装を検討する際には、ウレタン塗料だけでなく、他の塗料との比較検討が重要です。ここでは、主要な外壁塗料との比較を通じて、最適な塗料選びのポイントを解説します。
主要外壁塗料の比較表
塗料の種類 |
耐用年数 |
価格帯(30坪) |
特徴 |
おすすめの条件 |
アクリル系 |
3~5年 |
約50万円 |
最も安価、耐久性は低い |
短期間の使用、予算重視 |
ウレタン系 |
5~8年 |
約70万円 |
柔軟性あり、光沢感がある |
バランス重視、ひび割れ対策 |
シリコン系 |
8~12年 |
約87万円 |
耐候性良好、汚れにくい |
長期使用、メンテナンス軽減 |
フッ素系 |
15~20年 |
約120万円 |
最高耐久性、変色しにくい |
超長期使用、資産価値重視 |
塗料選びの重要ポイント
- 住宅の使用予定期間
- 5年以内に売却や建て替えを予定している場合は、コストの安いウレタン系やアクリル系
- 長期間住み続ける予定なら、耐久性の高いシリコン系やフッ素系が経済的
- 建物の状態と素材
- ひび割れが多い外壁には、柔軟性のあるウレタン系
- 木部を含む複合素材の外壁には、多様な素材に対応できるウレタン系
- 新築や状態の良い外壁には、耐久性重視でシリコン系やフッ素系
- 立地環境
- 海岸沿いや工業地帯など過酷な環境では、耐候性の高いシリコン系やフッ素系
- 日当たりの良い南面は紫外線の影響を受けやすいため、耐候性の高い塗料を選択
- 北面や湿気の多い場所には、防カ