アパートローン住宅ローン控除の適用条件と賃貸併用住宅での活用法

アパートローン住宅ローン控除の適用条件と賃貸併用住宅での活用法

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アパートローンと住宅ローン控除の関係性

アパートローンと住宅ローン控除の基本知識
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住宅ローン控除の基本仕組み

年末時点のローン残高の0.7%を最長13年間所得税から控除する制度

🏢
アパートローンの特徴

投資用不動産向けのローンで住宅ローン控除の対象外

⚖️
賃貸併用住宅での適用

自宅部分のみが控除対象となり按分計算が必要

アパートローンの基本的な仕組みと住宅ローンとの違い

アパートローンは投資用不動産の取得を目的とした融資商品であり、住宅ローンとは根本的に異なる性質を持っています。最も重要な違いは、アパートローンは住宅ローン控除の対象外であることです。

 

住宅ローンとアパートローンの主な違いを以下の表で整理します。

項目 住宅ローン アパートローン
目的 自己居住用住宅の取得 投資用不動産の取得
金利 0.3~1.5%程度 1.5~4.5%程度
住宅ローン控除 適用可能 適用不可
返済期間 最長35年 最長30年程度
審査基準 比較的緩い 厳格

アパートローンの利息は経費として計上できるため、不動産所得の計算において重要な節税効果を発揮します。特に副業として不動産投資を行う場合、不動産所得の赤字を給与所得と損益通算することで、総合的な課税所得を抑制できる可能性があります。

 

住宅ローン控除の適用条件と控除額の計算方法

住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
  • 登記簿上の床面積が50㎡以上であること
  • 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 物件を取得してから6か月以内に入居すること
  • 現行の耐震基準に適合していること

2024年1月以降の新築住宅では、年末時点のローン残高の0.7%を最長13年間控除できます。控除額の上限は年間35万円(認定住宅は45万円)となっています。

 

控除額の計算例。

  • ローン残高3,000万円の場合:3,000万円 × 0.7% = 21万円
  • 所得税額が15万円の場合:所得税から15万円控除、残り6万円は住民税から控除(上限9万7,500円)

賃貸併用住宅でのアパートローンと住宅ローンの使い分け

賃貸併用住宅では、自宅部分と賃貸部分の面積比率によって住宅ローン控除の適用可否が決まります。自宅部分が全体の50%以上を占める場合、住宅ローンを利用して住宅ローン控除を受けることができます。

 

面積比率による適用パターン。
自宅部分60%、賃貸部分40%の場合

  • 住宅ローン控除対象:ローン残高の60%分
  • 経費計上対象:ローン利息の40%分

自宅部分40%、賃貸部分60%の場合

  • 住宅ローン控除:適用不可
  • 区分登記により自宅部分は住宅ローン、賃貸部分はアパートローンの利用が可能

区分登記を行うことで、それぞれの部分に適した融資を受けられますが、手続きが複雑になり、管理コストが増加する点に注意が必要です。

 

賃貸併用住宅における住宅ローン控除の詳細な適用条件について、以下の参考リンクで確認できます。
賃貸併用住宅で住宅ローン控除を受ける条件と注意点

アパートローン利用時の確定申告と節税効果

アパートローンを利用した不動産投資では、毎年の確定申告が必要となります。住宅ローン控除とは異なり、アパートローンの利息は不動産所得の必要経費として計上できるため、異なる節税アプローチが可能です。

 

アパートローンで計上できる主な経費。

  • ローン利息(元本返済分は除く)
  • 建物の減価償却費
  • 管理費・修繕費
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 税理士報酬

特に建物の減価償却は、実際の現金支出を伴わない経費として計上できるため、キャッシュフローと所得計算に大きな差を生み出します。木造アパートの場合、耐用年数22年で定額法により毎年建物価格の約4.5%を経費計上できます。

 

副業として不動産投資を行う給与所得者の場合、不動産所得の赤字を給与所得と損益通算することで、源泉徴収された所得税の還付を受けられる可能性があります。ただし、この仕組みは税制改正の対象となりやすいため、最新の税制動向を常に確認することが重要です。

 

転勤時のアパートローンと住宅ローン控除の特殊な取り扱い

転勤により自宅を賃貸に出す場合、住宅ローン控除の取り扱いには特別な注意が必要です。転勤期間中に賃貸を行った年度は住宅ローン控除の適用を受けられませんが、帰任後に残存期間があれば住宅ローン控除が再適用されます。

 

転勤時の住宅ローン控除の流れ。

  1. 転勤開始年:住宅ローン控除の適用停止
  2. 転勤期間中:賃貸収入は不動産所得として申告
  3. 帰任年:住宅ローン控除の適用再開(残存期間内)

この制度を活用することで、転勤期間中はアパートローンと同様の税務処理を行い、帰任後は再び住宅ローン控除の恩恵を受けることができます。ただし、転勤の事実を証明する書類の保管や、適切な申告手続きが必要となります。

 

転勤期間中の賃貸収入に対しては、住宅ローンの利息を必要経費として計上できるため、実質的にアパートローンと同様の節税効果を得られます。この仕組みは、転勤族の住宅取得において重要な判断材料となります。

 

意外に知られていない点として、転勤先での社宅利用期間中も、元の住宅のローン残高に対する住宅ローン控除の権利は保持されます。帰任時期が確定している場合、この制度を活用した資金計画の立案が可能です。