
アパートローンは投資用不動産の取得を目的とした融資商品であり、住宅ローンとは根本的に異なる性質を持っています。最も重要な違いは、アパートローンは住宅ローン控除の対象外であることです。
住宅ローンとアパートローンの主な違いを以下の表で整理します。
項目 | 住宅ローン | アパートローン |
---|---|---|
目的 | 自己居住用住宅の取得 | 投資用不動産の取得 |
金利 | 0.3~1.5%程度 | 1.5~4.5%程度 |
住宅ローン控除 | 適用可能 | 適用不可 |
返済期間 | 最長35年 | 最長30年程度 |
審査基準 | 比較的緩い | 厳格 |
アパートローンの利息は経費として計上できるため、不動産所得の計算において重要な節税効果を発揮します。特に副業として不動産投資を行う場合、不動産所得の赤字を給与所得と損益通算することで、総合的な課税所得を抑制できる可能性があります。
住宅ローン控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
2024年1月以降の新築住宅では、年末時点のローン残高の0.7%を最長13年間控除できます。控除額の上限は年間35万円(認定住宅は45万円)となっています。
控除額の計算例。
賃貸併用住宅では、自宅部分と賃貸部分の面積比率によって住宅ローン控除の適用可否が決まります。自宅部分が全体の50%以上を占める場合、住宅ローンを利用して住宅ローン控除を受けることができます。
面積比率による適用パターン。
自宅部分60%、賃貸部分40%の場合
自宅部分40%、賃貸部分60%の場合
区分登記を行うことで、それぞれの部分に適した融資を受けられますが、手続きが複雑になり、管理コストが増加する点に注意が必要です。
賃貸併用住宅における住宅ローン控除の詳細な適用条件について、以下の参考リンクで確認できます。
賃貸併用住宅で住宅ローン控除を受ける条件と注意点
アパートローンを利用した不動産投資では、毎年の確定申告が必要となります。住宅ローン控除とは異なり、アパートローンの利息は不動産所得の必要経費として計上できるため、異なる節税アプローチが可能です。
アパートローンで計上できる主な経費。
特に建物の減価償却は、実際の現金支出を伴わない経費として計上できるため、キャッシュフローと所得計算に大きな差を生み出します。木造アパートの場合、耐用年数22年で定額法により毎年建物価格の約4.5%を経費計上できます。
副業として不動産投資を行う給与所得者の場合、不動産所得の赤字を給与所得と損益通算することで、源泉徴収された所得税の還付を受けられる可能性があります。ただし、この仕組みは税制改正の対象となりやすいため、最新の税制動向を常に確認することが重要です。
転勤により自宅を賃貸に出す場合、住宅ローン控除の取り扱いには特別な注意が必要です。転勤期間中に賃貸を行った年度は住宅ローン控除の適用を受けられませんが、帰任後に残存期間があれば住宅ローン控除が再適用されます。
転勤時の住宅ローン控除の流れ。
この制度を活用することで、転勤期間中はアパートローンと同様の税務処理を行い、帰任後は再び住宅ローン控除の恩恵を受けることができます。ただし、転勤の事実を証明する書類の保管や、適切な申告手続きが必要となります。
転勤期間中の賃貸収入に対しては、住宅ローンの利息を必要経費として計上できるため、実質的にアパートローンと同様の節税効果を得られます。この仕組みは、転勤族の住宅取得において重要な判断材料となります。
意外に知られていない点として、転勤先での社宅利用期間中も、元の住宅のローン残高に対する住宅ローン控除の権利は保持されます。帰任時期が確定している場合、この制度を活用した資金計画の立案が可能です。