
足場アンチの寸法規格には、主にインチ規格とメーター規格の2つの系列が存在します。これらの規格は微妙に寸法が異なるため、現場では絶対に混用してはいけません。
主要規格の特徴:
現在の建築現場では、幅40cm(通称「ヨンマル」)のアンチが主流となっています。しかし、平成27年7月に施行された安全衛生法規則の改定により、今後は幅50cm(通称「ゴーマル」)タイプへの移行が予想されています。
この法改定では、高さ2m以上の作業場所において床材と建地との隙間を12cm未満とすることが義務付けられ、さらに12cm未満であっても落下防止措置を講じることが求められるようになりました。
インチサイズの足場アンチは、建築現場で最も普及している規格です。以下に主要なインチサイズアンチの詳細寸法を示します。
標準的なインチサイズアンチ:
インチサイズアンチの特徴として、つかみ金具がΦ48.6とΦ42.7兼用設計となっているため、様々な現場での使用が可能です。また、内爪式のアンチでは、つかみ金具が緊結部に当たらないためガタつきが発生しにくく、安定した作業環境を提供します。
建築現場での実用性を考慮すると、500mm幅のアンチは作業効率と安全性のバランスが良く、多くの現場で採用されています。一方、240mm幅は住宅密集地や狭小地での足場組立に重宝されています。
メーターサイズの足場アンチは、日本のメートル法に基づいて設計されており、寸法計算が簡単で現場での取り扱いが容易です。
主要なメーターサイズアンチ:
メーターサイズアンチの重量は、材質や厚みにより異なりますが、500mm幅で約13-15kg程度が標準的です。インチサイズと比較して、長さが2,000mmと統一されているため、現場での管理が簡単という利点があります。
特に住宅建築現場では、メーター単位での設計が一般的なため、メーターサイズアンチの需要が高まっています。また、新築現場では計画段階からメーター規格で統一することで、効率的な足場計画が可能になります。
メーターサイズアンチの材質は主に鋼製で、表面には滑り止め加工が施されています。この滑り止め加工により、雨天時や朝露で濡れた状態でも安全な作業が可能となります。
足場アンチの重量と価格は、サイズや材質、製造メーカーによって大きく異なります。現場での運搬効率や作業性を考慮した重量設計が重要です。
重量別分類:
価格相場については、以下の傾向が見られます。
価格に影響する要因として、以下が挙げられます。
最近では、軽量化技術の向上により、従来と同等の強度を保ちながら重量を20-30%軽減したアンチも登場しています。これにより作業員の負担軽減と作業効率の向上が図られています。
足場アンチの選定は、現場の特性と作業内容を総合的に判断して行う必要があります。適切な選定により、安全性と作業効率を両立できます。
住宅建築現場での選定基準:
商業建築・大型現場での選定基準:
特殊現場での選定ポイント:
現場での実際の選定では、以下の手順で検討することが推奨されます。
また、近年注目されているのが、IoT技術を活用したアンチ管理システムです。ICタグを取り付けることで、アンチの使用履歴や点検状況をデジタル管理し、より安全で効率的な現場運営が可能になっています。
足場アンチの選定において最も重要なのは、現場の安全性を最優先に考えることです。価格や作業効率も重要な要素ですが、作業員の安全を確保するための適切な仕様選定が、結果的に現場全体の生産性向上につながります。