
足場階段の寸法選定において最も重要となるのが、労働安全衛生規則第552条に基づく法定基準です。踏面の幅は20cm以上、けあげの高さは30cm以下と規定されており、これらの基準を満たさない階段は現場での使用が禁止されています。
また、勾配についても厳格な規定があり、15°を超える階段には踏さんその他の滑止めの設置が義務付けられています。建設現場では安全性が最優先されるため、これらの基準値を下回る製品は選択肢から除外する必要があります。
現場での実用性を考慮すると、踏面幅は22cm程度、けあげ高さは18~20cm程度が最も昇降しやすいとされており、多くのメーカーがこの範囲での製品開発を行っています。
足場階段の材質は主に鋼製とアルミ製の2種類に分かれ、それぞれ寸法特性が大きく異なります。重量面ではアルミ製が圧倒的に優位で、同一寸法でも約40~50%の軽量化が実現されています。
鋼製階段の寸法特性
鋼製階段は重量があるため、構造的な安定性に優れています。代表的な製品では以下の寸法仕様となっています。
アルミ製階段の寸法特性
アルミ製階段は軽量性を活かした設計が特徴で、現場での運搬・設置作業の効率化に大きく貢献します。
軽量なアルミ製は強風や振動で揺れやすい特性があるため、高所作業や重量物取扱い現場では慎重な選定が必要です。
足場階段の設置には複数の法令が関わり、それぞれ異なる寸法要件を定めています。労働安全衛生規則では基本的な安全基準を、足場先行工法のガイドラインではより具体的な寸法基準を規定しています。
労働安全衛生規則による基準
高さ1.5mを超える作業場所では安全な昇降設備の設置が義務付けられており、以下の要件を満たす必要があります。
踊り場の寸法要件
建設工事において高さ8m以上の登りさん橋には、7m以内ごとに踊り場の設置が法的に義務付けられています。踊り場は転落事故防止だけでなく、建築材料の仮置きスペースとしても機能するため、現場の作業効率向上にも寄与します。
一般建物では建築基準法施行令第24条により、高さ4mを超える場合は4m以内ごとの踊り場設置が求められており、足場階段においても同様の配慮が推奨されています。
主要メーカーの足場階段製品について、詳細な寸法データと重量仕様を一覧形式で整理しました。製品選定時の参考として活用できます。
小牧木材株式会社(シンワキャッチャー)
くさび緊結式足場システムの代表的製品群です。
SQ-N補助ステップは2基1組での施工が標準仕様となっており、踏板SD-2506を2枚使用する設計です。
株式会社かねなか(アルミ製階段枠)
枠組足場に対応したアルミ製階段枠の専門メーカーです。
株式会社ナカオ(勇馬シリーズ)
可搬式作業台を中心とした製品展開で、階段角度72.5°の安全設計が特徴です。
株式会社三共(枠用アルミ階段)
インチタイプに対応した枠組足場用階段の標準的製品です。
実際の建設現場では、カタログ寸法だけでは判断できない要素が多数存在します。経験豊富な現場監督が重視する選定ポイントを紹介します。
スペース制約への対応策
狭小な現場では標準的な1800mmスパンの階段設置が困難な場合があり、そのような状況ではハーフステップ階段の活用が効果的です。900mmスパンで設置可能なハーフステップは省スペース性に優れますが、昇降時の安定感が低下するため、1度に1人での使用が基本となります。
重量バランスの考慮事項
アルミ製階段は軽量で取り扱いやすい反面、強風時の安定性に課題があります。海岸部や高層建築現場では、鋼製階段の採用も検討すべきです。一方、改修工事や戸建て住宅工事では、アルミ製の軽量性がメリットとなります。
運搬効率と設置効率
3m以下にコンパクト収納できる製品は、長尺運搬が困難な現場で重宝します。特に都市部の狭い道路環境では、運搬車両の制約を考慮した寸法選定が重要となります。
耐荷重と使用頻度
昇降作業が頻繁な現場では、より堅牢な構造の階段選定が推奨されます。材料運搬の頻度や作業員数を考慮し、適切な耐荷重性能を持つ製品を選択することが、長期的な安全性確保につながります。
現場の安全管理責任者向けの権威的な情報として、厚生労働省の足場関連規則改正情報を参考にしてください。