
NSKベアリングは建築業界において、クレーン、エレベーター、建設機械など様々な設備で重要な役割を担っています。適切なベアリング選定には正確な規格寸法表の理解が不可欠です21。
NSKの軸受寸法表は、JIS規格に準拠した標準的な分類システムを採用しており、呼び番号によって内径、外径、幅が体系的に決められています。建築現場で使用される機械設備の保守・交換作業において、この規格寸法表は必携の資料となります。
深溝玉軸受は建築機械で最も多用される軸受タイプです。NSKの6000番台シリーズは以下の規格で構成されています。
6000番台(超軽荷重用)の主要寸法
6200番台(軽荷重用)の主要寸法
呼び番号の読み方として、最初の「6」は深溝玉軸受を表し、続く数字が軸受の荷重容量と寸法シリーズを示します。末尾の2桁は内径を5倍した値を表しており、例えば6204なら内径20mm(04×5=20)となります。
建築現場でよく使用される面取寸法(rs min)も規格化されており、6000番台では0.3-1.1mm、6200番台では0.6-1.5mmの範囲で設定されています。
アンギュラ玉軸受は、建築機械のスピンドルやギアボックスで使用される高精度軸受です。NSKのアンギュラ玉軸受は接触角によって分類されます。
接触角による分類
7200番台(軽荷重用)から7400番台(重荷重用)まで豊富なラインナップがあり、建築機械の用途に応じて選定できます。
ニードルベアリングは、限られたスペースで高い荷重容量が必要な箇所に使用されます。主な形式として。
建設機械のオイルシリンダーやピン連結部分で多用されており、コンパクトな設計が可能になります。
建築現場での緊急メンテナンスでは、他メーカーとの互換性確認が重要です。NSKベアリングの相互参照表により、SKF、FAG、NTNなどの他ブランドとの対応関係を確認できます。
主要メーカー間の呼び番号対応例
サフィックス(接尾記号)の対応も重要で、シールタイプの表記が各メーカーで異なります。
シール・シールド記号の対応表
特に注意すべきは、保持器材質の表記で、NSKの「M」(銅合金製)はSKFでも「M」ですが、樹脂製保持器はNSK「TY」に対してSKF「P」と表記が異なります。
建築機械の定期点検時には、この相互参照表を活用することで、在庫切れの際の代替品選定がスムーズに行えます。
建築現場で使用される機械は過酷な環境下で稼働するため、適切なベアリング選定が設備の信頼性に直結します。
負荷特性による選定基準
許容回転数の確認も重要で、グリース潤滑と油潤滑で大きく異なります。例えば6204軸受の場合。
建設機械では一般的にグリース潤滑が採用されるため、この値を基準に選定します。
環境条件への対応
屋外使用が多い建築機械では、防塵・防水性能が重要です。
温度条件も考慮が必要で、NSKのX28サフィックス軸受は200℃までの高温使用に対応します。
適切な軸受性能を発揮するには、軸とハウジングとの寸法精度が重要です。JIS B 1566規格に基づくはめあい公差の理解が必要です。
軸のはめあい推奨値
ハウジングのはめあい推奨値
軸受取付寸法として、軸の肩径(ds)とハウジング肩径(DH)の関係も規格化されています。
この肩高さ「h」は軸受サイズによって決まり、適切な軸受支持を確保します。
面取寸法(R)の管理も重要で、軸受の面取寸法(rs)よりも小さく設定する必要があります。例えば6204軸受(rs=1.0mm)の場合、軸とハウジングの面取Rは最大1.0mmまでとなります。
内部すきまの選定
建築機械の用途に応じた内部すきま選択。
特に建設機械では温度上昇や荷重変動が大きいため、C3すきまの選定が推奨されることが多くあります。
これらの技術基準を理解することで、建築現場での軸受トラブルを未然に防ぎ、設備の稼働率向上に貢献できます。