ベイト工法とシロアリ駆除の効果や費用と安全性の比較

ベイト工法とシロアリ駆除の効果や費用と安全性の比較

記事内に広告を含む場合があります。

ベイト工法とシロアリ

ベイト工法の要点まとめ
💊
巣ごと根絶

脱皮阻害剤を利用し、働きアリから女王アリまで巣全体を崩壊させる。

💰
費用は高め

バリア工法と比較してイニシャル・ランニングコスト共に割高になる傾向。

🏗️
基礎断熱に最適

薬剤散布が困難な基礎断熱工法や、床下空間がない建物での採用が推奨。

ベイト工法の仕組みとシロアリ駆除のメリット

 

ベイト工法は、シロアリの生態を利用して巣(コロニー)ごと根絶させる、非常に合理的かつ科学的な駆除および予防の手法です。従来の薬剤を散布するバリア工法とは異なり、遅効性の毒餌(ベイト剤)を働きアリに食べさせ、それを巣に持ち帰らせることで効果を発揮します 。
参考)http://siroari.iinaa.net/kujobeit.html

この工法の核となるのは、薬剤に含まれる「脱皮阻害剤(IGR剤:Insect Growth Regulator)」です。具体的には、ビストリフルロンやヘキサフルムロンといった成分が使用されます 。シロアリは脱皮を繰り返して成長する昆虫ですが、この薬剤を取り込むと新しい外骨格(殻)を形成できなくなり、脱皮のタイミングで死亡します。
参考)ベイト工法の効果とは?シロアリ対策にオススメできる本当の理由…


  • トロファラキシス(口移し)の利用: シロアリには、餌を採取した働きアリが、女王アリや兵隊アリ、幼虫に口移しで餌を分け与える「グルーミング」や「栄養交換(トロファラキシス)」という習性があります 。ベイト工法はこの習性を逆手に取り、毒餌を安全な食料だと思わせて巣全体に循環させます。
    参考)ベイト工法で安全にシロアリを駆除!毒餌を使うメリット・デメリ…


  • 警戒されない遅効性: 即効性のある毒だと、仲間が次々と死んでいくのを察知してシロアリは警戒し、その餌を食べなくなります。しかし、脱皮阻害剤は効果が出るまでに時間がかかるため、巣の奥深くまで薬剤が行き渡り、気づかないうちに巣全体が崩壊に向かいます 。
    参考)シロアリ駆除のベイト工法を徹底紹介|デメリットや費用も詳しく…

建築従事者として押さえておくべき最大のメリットは、建物の構造に依存せず設置が可能である点です。特に、既存住宅のリフォーム案件や、床下点検口がない建物、あるいは地下室がある物件など、物理的に床下への薬剤散布が不可能なケースにおいて、ベイト工法は唯一の確実な解決策となり得ます 。また、薬剤を空中に散布しないため、施工中の臭気が全くなく、居住者が在宅のままでも安全に施工を進めることができる点も、施主への提案における大きな強みとなります 。
参考)ベイト工法ならシロアリをまるっと撃退できる!ベイト剤の特徴と…

公益社団法人 日本しろあり対策協会:防除施工標準仕様書(ベイト工法の定義と手順について詳述されています)

ベイト工法とバリア工法の費用と施工比較

施主へ提案する際、最もネックになりやすいのが費用の問題です。ベイト工法は、高度な管理と定期的なモニタリングが必要となるため、一般的なバリア工法と比較してコストが高くなる傾向があります。ここでは、建築のプロとして説明できるように、具体的なコスト構造と施工特性の違いを整理します。
バリア工法は、一度の施工で薬剤を散布し、約5年間の保証期間中はメンテナンスフリーであることが一般的です。一方、ベイト工法は「管理型」の手法であり、初期導入費(イニシャルコスト)に加えて、年間の管理費(ランニングコスト)が発生する場合が大半です 。
参考)【プロが監修】バリア工法とベイト工法を徹底比較|シロアリ駆除…

比較項目 ベイト工法(管理型) バリア工法(薬剤散布)
初期費用目安 15万円〜(外周長による) 10万円〜(床面積による)
坪単価(目安) 費用算出は外周m単価が主 4,000円〜8,000円/坪
維持管理費 年間3〜5万円程度が必要 基本的になし(5年後再施工)
施工場所 建物外周の土壌またはコンクリート 床下木部および土壌
建物への影響 穿孔不要(土壌の場合)で無傷 木部穿孔や床下進入が必要
即効性 なし(数ヶ月かかる) あり(接触直後に死亡)


※費用は一般的な戸建て住宅(30坪程度)を想定した概算であり、業者や使用するステーション(器材)によって大きく変動します 。
参考)シロアリ駆除の費用や相場の仕組みをプロが徹底解説!|シロアリ…

特に注意が必要なのは、バリア工法が「平米(坪)単価」で計算されるのに対し、ベイト工法は「外周の長さ(メートル)」や「ステーションの設置個数」で見積もりが決まる点です 。したがって、建物の面積が小さくても、形状が複雑で外周が長い建物の場合、割高になる可能性があります。​
また、施工面での違いも重要です。バリア工法では床下に作業員が潜る必要があるため、配管や配線の損傷リスクがゼロではありませんが、ベイト工法は屋外作業が中心となるため、建物内部の設備を傷つけるリスクは極めて低いです 。一方で、犬走り(建物周囲の通路)が全面コンクリートで覆われている場合は、コアドリルを用いてコンクリートに穴を開けてステーションを埋設する必要があり、このハツリ工事費が追加で発生することも見積もり作成時に考慮すべきポイントです 。
参考)狭山市のシロアリ駆除業者4選!ベイト工法とバリア工法の違いも…

ベイト工法の薬剤の安全性とペットへの影響

近年、健康志向の高まりやペットブームにより、施主から「化学物質過敏症」や「ペットへの安全性」に関する質問を受ける機会が増えています。この点において、ベイト工法はバリア工法よりも圧倒的に推奨しやすい工法です。
前述の通り、使用される薬剤(脱皮阻害剤)は、昆虫特有の「脱皮」という生理現象に作用するものです。人間や犬、猫などの哺乳類は脱皮を行わないため、万が一薬剤に触れたり、誤って微量を摂取してしまったとしても、生理的な影響は極めて低いとされています 。毒性試験においても、普通物(劇物や毒物に該当しない)として扱われるレベルの安全性が確認されています。​


  • 薬剤の飛散リスクゼロ: バリア工法では、液剤を噴霧するため、どうしても微量の薬剤が床下の空気に混ざり、室内に漏れ出てくる可能性を完全に否定することは難しい場合があります。しかし、ベイト工法は固形のベイト剤を専用の容器(ステーション)に入れて地中に埋設し、蓋をしてロックをかけるため、薬剤が空中に飛散することは物理的にあり得ません 。
    参考)安心安全なベイト工法


  • 誤飲防止の設計: ステーションは専用の工具がないと開けられない構造になっているものが多く、子供やペットが庭で遊んでいても、中の薬剤を取り出して口に入れることは非常に困難です 。
    参考)【プロが監修】ベイト工法DIYの完全ガイド|具体的な手順から…

ただし、いくら安全といっても「殺虫剤」であることに変わりはありません。建築従事者としては、「絶対に安全」と言い切るのではなく、「哺乳類には作用しにくいメカニズムであり、容器に封入されているため曝露リスクが極限まで低い」という論理的な説明が求められます。特に、井戸水を使用している現場や、池で鯉などを飼育している現場では、土壌処理剤の流入事故が懸念されますが、ベイト工法であれば薬剤が土壌に溶け出すリスクも極めて低いため、水質汚染を気にする施主に対しても強力な解決策となります 。
参考)新築のシロアリ対策は必須!工法の種類や保証期間を徹底解説!

住化エンバイロメンタルサイエンス:日本しろあり対策協会認定のベイト工法に関する技術資料(認定番号や製品詳細)

基礎断熱や外構工事におけるベイト工法の採用基準

ここからは、一般的なウェブ検索ではあまり語られない、建築現場の施工管理や設計視点での「独自の採用基準」について解説します。特に、近年の高気密・高断熱住宅で標準となりつつある「基礎断熱工法」において、ベイト工法は必須の選択肢となりつつあります。
国土交通省の補助事業による調査でも、基礎断熱工法の建物は、従来の床断熱工法の建物と比較して、シロアリ被害のリスクが高いというデータがあります 。これは、基礎の外側または内側に貼り付けられた断熱材自体がシロアリの格好の侵入経路(蟻道)となってしまうためです。シロアリは断熱材の内部を食い進んで土台に到達するため、床下からどれだけ薬剤を散布しても、断熱材の中までは薬剤が届かず、駆除も予防も不完全になりがちです 。
参考)基礎断熱構造のシロアリ被害ケース


  • 基礎断熱での優位性: 基礎断熱の場合、シロアリの侵入を水際(建物の外周)で食い止める必要があります。ベイト工法は建物の外周ラインに防衛線を張るため、断熱材に到達する前にコロニーを叩くことが可能です。設計段階で基礎断熱を採用する場合は、セットでベイト工法を推奨するのがリスク管理として正解に近いでしょう 。
    参考)基礎断熱のある住宅でのベイト工法事例(さいたま市)|シロアリ…


  • 外構計画との干渉: 現場監督が注意すべきは、設置スペースの確保と外構工事との工程調整です。ベイトステーションは通常、建物基礎から30〜50cm以内の位置に、約3m間隔で埋設します 。しかし、この位置には雨水配管、汚水桝、水道メーター、ガス管などが埋設されていることが多く、激しく干渉します 。
    参考)外構で水道管を後付けする前に知っておきたいリスクと対策 | …


  • 施工のタイミング: 外構工事でコンクリートやタイルを打設してしまうと、後からステーションを埋めるにはコア抜きが必要となり、コストが跳ね上がります。理想的なのは、外構の整地が終わった段階、かつコンクリート打設前に先行してスリーブ(ボイド管など)を入れておくか、植栽エリアとして土を残す計画にしておくことです。建物引き渡し直前のドタバタした時期にベイト工法を依頼すると、配管を切断する事故も起きやすいため、基礎工事完了後の早い段階で配管ルートとステーション位置のすり合わせを行うことが重要です 。
    参考)木造住宅のシロアリ対策設計と材料選定

また、隣家との境界が極端に狭い狭小地(民地境界まで30cm未満など)では、作業員が入れず、ステーションの埋設も点検もできないため、ベイト工法が採用できないケースがあります 。この「施工不可条件」を事前に把握しておかないと、着工後にトラブルになるため注意が必要です。
参考)【プロが監修】シロアリ駆除のベイト工法|注意すべき7つのデメ…

国土交通省:施工管理・工事監理に関する留意事項集(木造建築における劣化対策の工程管理について言及あり)

シロアリの巣の根絶までの期間と定期点検の重要性

ベイト工法を採用する上で、施主に対して最も丁寧に説明し、合意形成を図らなければならないのが、効果が現れるまでの期間と、その後の点検プロセスです。ここを曖昧にすると、「施工したのにまだ羽アリが出た」というクレームに直結します。
ベイト工法は、設置してからシロアリが餌を見つけ、巣に持ち帰り、巣全体に薬剤が蔓延して根絶に至るまで、通常1ヶ月〜3ヶ月、冬場など活動が鈍い時期を含めると半年近くかかることもあります 。この「タイムラグ」は工法の欠点ではなく、巣を全滅させるために必要なプロセスです。施工直後に羽アリが発生した場合でも、それは駆除失敗ではなく「薬剤が効き始めている最中」である可能性が高いことを、事前にアナウンスしておく必要があります 。​


  • モニタリングの重要性: ベイト工法は「設置して終わり」ではありません。定期的な点検(モニタリング)こそが命です。多くの契約形態では、年に1回〜数回の点検が含まれています 。点検員は、ステーション内の餌が食べられているか(喫食があるか)、カビが生えていないか、別の虫が侵入していないかを確認します。​

  • 餌の交換と補充: シロアリの喫食が確認された場合、薬剤入りの餌を追加投与します。逆に、長期間喫食がない場合は、ステーションの位置をずらすなどの調整が必要になることもあります。この「細やかな調整」こそがベイト工法のキモであり、技術力の差が出る部分です。

  • 施主への協力要請: 意外と見落としがちなのが、施主によるステーション周辺の環境変更です。「ステーションの上に植木鉢を置いてしまった」「犬走りに砂利を厚く敷き詰めて埋めてしまった」「除草剤を撒いてしまった」などの行為は、点検の妨げになるだけでなく、シロアリが餌を嫌避する原因になります 。引き渡し時に、「建物の周りにある丸い蓋はシロアリ対策の重要拠点なので、物を置いたり埋めたりしないでください」と明確に伝えることが、長期的な建物維持管理において極めて重要です。
    参考)https://www.hakutaikyo.or.jp/boujo/files/anzenkanri.pdf

もし、施主が「今すぐ目の前の羽アリをどうにかしてほしい」という即効性を求めている場合は、ベイト工法単独ではなく、部分的な薬剤処理(穿孔注入など)を併用するハイブリッドな提案も視野に入れるべきです。建築のプロとして、工法の特性(時間軸)と施主のニーズ(心理的安心)のギャップを埋める説明能力が問われます。
シロアリ110番:ベイト工法の注意点とデメリットの詳細(期間や点検頻度に関するリスク説明の参考に)

 

 


3本 or 7本(6+1本) シロアリ床下予防剤 シロアリハンターエアゾール ノズル付き シロアリ駆除 シロアリ対策 シロアリ予防 害虫対策 ベイト工法 プロ 白蟻 スプレー シロアリスプレー 簡単 家庭用 玄関 床下 赤ちゃん 子供 ペット 安心 安全 ごちそうマーケット