

微弾性下地フィラー材は、下塗材の中でも「下地材の凹凸や段差を埋める」目的で使われるフィラー系に位置づけられます。
一般に微弾性フィラーは、シーラーのような「下地材表面に浸透して固める」働きは得意ではなく、塗膜厚を付けて微細なひび割れや既存塗膜の模様を整える目的で使われます。
一方で、製品設計としてフィラー機能だけでなく、吸い込み止め・付着性向上(シーラー機能)やテクスチャー機能を併せ持つタイプもあり、現場では「どの機能を主目的に採用したのか」を明確にする必要があります。
施工計画の段階では、下塗材の基本的役割(付着性、吸い込み止め、凹凸調整)を分解して、仕様に不足がないか確認します。
参考)外壁塗装における微弾性フィラー活用ガイド|効果・選び方・スタ…
例えば「付着性はプライマー」「吸い込み止めはシーラー」「凹凸調整は微弾性フィラー」と役割が分かれる前提で考えると、材料を一つに寄せた時に何が犠牲になるかが見えます。
この整理が甘いと、上塗材の性能を出し切れず、剥離や膨れなど早期不具合につながるため、材料の“呼び名”ではなく“働き”で判断します。
微弾性下地フィラー材が活きる代表例が、モルタルやコンクリート面などで見られるヘアークラック(微細ひび割れ)への対応です。
規格品の例では「ヘアークラックを充填するフィラー機能」や「下地のヘアークラックに追従する微弾性タイプ」であることが明記されており、微細な動きに追随することを狙っています。
ただし、ひび割れが“ヘアー”の範囲を超えている場合は、微弾性下地フィラー材だけに頼らず、先行してクラック補修(充填・シール等)で欠損を止めるのが現実的です。
現場の落とし穴は「見た目上、埋まったように見える」ことです。
厚みを付ける材料は、表面の谷をなだらかに見せる効果がある一方、下地側で割れが継続していると追従限界を超えて再発します。
参考)https://www.monotaro.com/s/q-%E5%BE%AE%E5%BC%BE%E6%80%A7%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%83%BC/
工程写真で“きれいになった”で止めず、ひび割れ原因(躯体の動き、既存塗膜の脆弱化、雨水侵入など)をセットで潰すのが、改修の再現性を上げます。
下地が劣化して吸い込みが強いと、上塗材が下地に吸われて塗膜が薄くなり、性能を発揮できないリスクが上がります。
この「吸い込み止め」は本来シーラーの得意領域で、下地に浸透して吸収を抑える役割が説明されています。
そのため、既存塗膜のチョーキング等で劣化が著しい場合や、セメント系の新設下地などで微弾性フィラーの付着が悪くなる可能性がある場合は、事前にシーラー塗布を推奨する見解があります。
逆に、製品によっては「吸い込み止め・付着性を向上するシーラー機能」を併せ持つとされるものもあり、仕様を単純化できるケースもあります。
ただし実務では、下地の状態(脆弱、粉化、旧塗膜の種類、吸水)と、採用する微弾性下地フィラー材の設計(単機能か、多機能か)を突き合わせて、工程を決めるのが安全です。monotaro+1
材料選定の根拠を残すなら、見積・仕様書の段階で「吸い込み止めが必要な下地か」「付着性を誰が担保するか(シーラー/プライマー/フィラー)」を文章化しておくと、手戻りが減ります。
微弾性下地フィラー材は粘度が高く、ローラー選定によって仕上がりと塗布量が大きく変わります。
凹凸の程度や表現したい模様(例:ゆず肌、さざ波)でローラーが変わることが説明されており、施工者の“癖”より「下地と要求意匠」に合わせた器具選定が重要になります。
規格品の例でも、ウールローラーで既存模様を生かす、パターンローラーでさざなみ模様にするなど、工法が前提として組み込まれています。
また、同一材料でも工法によって塗付量や希釈率、工程間隔が変わるため、現場管理では「材料名」だけでなく「ローラー種・希釈・所要量・乾燥時間」までセットで指示するのが事故防止になります。
例えば、ある製品ではパターンローラー工法とウールローラー工法で、標準塗付量や希釈率、工程間隔が異なることが表として示されています。
この差を無視すると、乾燥不足のまま上塗りに入って膨れや密着不良を誘発するため、工程表は“工法別”に作るのが堅い運用です。
検索上位の解説では「微弾性=ひび割れに強い」が強調されがちですが、改修で効くのは“ひび割れ以外”の地味なトラブル潰しです。
具体的には、既存塗膜の模様(吹付の凹凸など)を整えて上塗材を均一に塗布しやすくする目的が示されており、意匠ムラ・塗膜厚ムラの抑制に効きます。
この「均一に塗れる状態を作る」ことが、耐候性の再現性(=塗膜が薄い箇所から先に傷む問題)を抑える、現場的に大きいメリットです。
もう一つの盲点は、微弾性下地フィラー材を“万能の下塗り”として使うほど、下地の吸い込みや脆弱層の固着が未解決になりやすい点です。
メーカー系の技術記事でも、下塗材が下地に適応しないと早期に剥がれや膨れが起きうるとされ、適材適所の重要性が強調されています。
現場で差が出る運用としては、下地の劣化が激しい面はシーラーを先行して“吸い込みと粉化”を止め、凹凸調整として微弾性下地フィラー材を使う、という二段構えが有効です。
下塗材(プライマー・シーラー・微弾性フィラー)の役割整理と注意点の根拠:
https://aponline.jp/feature/study/19205/
微弾性タイプでヘアークラック追従・シーラー機能・ローラー工法や塗付量の具体例:
https://www.suzukafine.co.jp/seihin/seihin.php?code=03610