シーラー プライマー 違いと下塗り材選びの基本

シーラー プライマー 違いと下塗り材選びの基本

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シーラー プライマー 違い

この記事のポイント
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シーラーとプライマーは基本的に同じ

建築現場では下塗り材として同じ意味で使われることが多い塗料です

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それぞれ得意分野が異なる

シーラーは吸い込み防止、プライマーは密着性向上に特化しています

素材に合わせた選定が重要

外壁材や屋根材の種類によって適切な下塗り材が異なります

シーラーの基本的役割と特徴

 

シーラーは英語の「seal(密着する、覆い隠す)」を語源とする下塗り材で、主に外壁や屋根の下地と上塗り塗料を密着させる役割を担います。最大の特徴は、下地への塗料の吸い込みを防ぐ「吸い込み止め効果」です。シーラーは粘度が低くサラサラとした液状であり、下地に浸透しながら劣化した部分を補強します。
参考)https://xn--rms9i4i661d4ud435c.net/blog/75030.html

モルタルやサイディング、ALC、コンクリートなど幅広い建材に使用されており、特に吸水性の高い素材に効果を発揮します。水性タイプと油性タイプの2種類が存在し、劣化の軽度な下地には臭いの少ない水性シーラーを、劣化が進んだ下地には浸透性の高い油性シーラーを使用するのが一般的です。
参考)https://kita-kensetsu.jp/question/difference-between-primer-sealers/

外壁塗装においてシーラーを使用しないと、塗料が下地に過剰に吸い込まれて色ムラが発生したり、必要な塗膜厚が得られず耐久性が低下したりします。下地の状態を整えることで、中塗り・上塗りの仕上がりを支える重要な下地処理材です。
参考)https://www.my-painter.com/column/20240620ue-gaihekitososealer/

プライマーの基本的役割と特徴

プライマーは「primary(最初の、一番目の)」という英語が語源で、その名の通り最初に塗る下塗り材の総称として使われます。主な役割は、塗装面と中塗り・上塗り塗料との密着性を高めることで、接着剤のような機能を持ちます。
参考)https://saniken.com/blog/4298/

特に金属系の建材(ガルバリウム鋼板、トタン、アルミ、ステンレスなど)や鉄部、プラスチックなど塗料が密着しにくい素材に使用されます。金属は酸化しやすい性質を持つため、プライマーを塗布することで腐食を防ぎ、塗料の剥がれを抑制する防錆効果も期待できます。
参考)https://kizuna.design/blog/5470/

プライマーには水性と油性のタイプがあり、さらに防錆プライマー、マルチプライマー、プラスチック用プライマー、メタルプライマーなど用途に応じた専用品が存在します。塗装面に塗装して機能を持たせるという点で、下地に吸い込ませるシーラーとは作用の仕方が異なります。
参考)https://diyclip.roymall.jp/tool/1171144

シーラー プライマー 実際の使い分け

建築現場では、シーラーとプライマーに厳密な定義はなく、同じものとして扱われることが一般的です。しかし実務上は、素材や下地の状態によって使い分けが行われています。外壁塗装ではシーラーを使用し、鉄部塗装となればプライマーを使うのが一般的な傾向です。
参考)https://www.rhythmpaint.jp/column/sealer_primer_chigai/

具体的な使い分けの目安として、モルタル外壁やサイディング、石膏ボードなど吸水性のある素材にはシーラーが適しています。一方、金属系の屋根や外壁、鉄部、鋼板などにはプライマーの使用が推奨されます。塗料メーカーのカタログには適応する下塗り材が記載されているため、上塗り塗料との相性を必ず確認することが重要です。
参考)https://www.e-tosou.jp/2023/04/08/post-5221/

下地の劣化状態も選定基準となります。劣化が軽度で吸水性が低い下地には水性シーラー、劣化が進行し吸水性が高い下地には浸透性の高い油性シーラーや油性プライマーを使用します。下塗り材の選定ミスは、数年での塗膜剥離という深刻なトラブルを引き起こすため、素材と劣化状態の正確な見極めが不可欠です。
参考)https://www.radiant88.com/blog/71685/

フィラーとの違いと下塗り材選び

下塗り材にはシーラー・プライマー以外に「フィラー」という種類も存在します。フィラーは「filler(詰め物、埋めるもの、充填材)」が語源で、モルタル外壁のひび割れや凹凸を埋めて下地を平滑にする補修用の下塗り材です。シーラーやプライマーが密着性向上を主目的とするのに対し、フィラーは下地調整と補修が主な役割となります。
参考)https://toho-kensou.com/column/244c20ab-e384-4c8a-9204-d64c8b0df77d

フィラーには水性タイプのみが存在し、「砂骨ローラー」という特殊なローラーを使って厚く塗布します。特に「微弾性フィラー」は、シーラーとフィラーの機能を兼ね備えた下塗り材として広く使用されており、ゴムのような柔軟性を持つため、モルタル外壁の細かいひび割れに追従する効果があります。
参考)http://www.gaiso-yamanashi.co/staff_blog/detail/?sid=27429

下塗り材の選び方としては、まず下地の素材を正確に見極めることが最優先です。次に表面の劣化状態(吸い込み、チョーキング、ひび割れの有無)を観察し、既存塗膜の種類を確認します。さらに上塗り塗料との相性を考慮し、塗布量と希釈率、乾燥時間を厳守することで、塗装の品質と耐久性を確保できます。
参考)https://shintoakogyo.co.jp/column/posts/68032/

シーラー プライマー選定時の注意点

下塗り材の選定ミスは、塗装工事における最も多い初期不具合の一つです。よくある失敗例として、ガルバリウム屋根に水性シーラーを使用して全面剥離が発生したケース、モニエル瓦に通常のシーラーを使用して塗装全体が浮き上がったケースなどが報告されています。これらの失敗は素材に合わないシーラーやプライマーを使用したことが原因です。
参考)https://ishiikensou.com/2025/10/07/primer-selection-error/

下地処理の不足も深刻な問題です。ホコリ、油分、水分が残っていると密着性が大幅に低下し、塗装がすぐに剥がれる原因となります。塗装前の清掃・乾燥・補修は必須工程であり、表面の脱脂処理も欠かせません。また、プライマーの厚塗りや乾燥不足も上塗り塗料のひび割れを引き起こすため、製品ごとの標準塗布量と乾燥時間を厳守する必要があります。​
シーラーと上塗り塗料の相性も重要な確認事項です。水性シーラーを使用した場合は水性の上塗り塗料を、油性シーラーには油性の上塗り塗料を組み合わせるのが基本です。相性が悪い組み合わせでは、下塗りと上塗りの塗膜がしっかり密着せず、数ヶ月で剥がれてしまう可能性があります。施工会社から提案された塗料についても、カタログで適応するシーラーやプライマーを必ず確認することが推奨されます。​

不動産管理者が知るべき下塗り材の重要性

不動産従事者の視点では、下塗り材の品質が建物の資産価値維持に直結します。高級な上塗り塗料を選んでも、下塗り材の選定ミスがあれば塗装の性能は発揮されず、数年での再塗装が必要になるリスクがあります。シーラーやプライマーは塗装全体の接着剤的存在であり、その選定が塗装の成否を左右します。
参考)https://www.hm-s.co.jp/blog/gaihekitosou/936/

物件の定期メンテナンスにおいて、下塗り材の種類と施工記録を残しておくことは重要な管理業務です。将来の塗り替え時に既存塗膜の種類を把握していれば、適切な下塗り材を選定しやすくなります。特に難付着系塗膜(フッ素塗料など)が使用されている場合、通常の下塗り材では早期剥離が発生する可能性があるため、専用のプライマーが必要です。
参考)https://aponline.jp/feature/study/21787/

コスト面でも下塗り材の選定は重要です。適切なシーラーやプライマーを使用すれば、下地の吸い込みが抑えられ上塗り塗料の使用量を削減できます。また、塗膜の耐久性が向上することで塗り替えサイクルが延び、長期的な維持管理コストの低減につながります。不動産価値を維持するためには、初回塗装時から下塗り材の重要性を理解し、信頼できる施工会社に適切な提案を求めることが不可欠です。
参考)https://gaiheki-madoguchi.com/articles/3461

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