ドローン点検の資格と種類・取得費用を徹底解説

ドローン点検の資格と種類・取得費用を徹底解説

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ドローン点検に必要な資格と種類・費用の全知識

「ドローンを使った屋根や外壁の点検には、必ず特定の資格が要る」と思っていませんか?実は、資格なしで点検業務に乗り出すと50万円以下の罰金が科される飛行をしてしまうリスクがあります。


🔑 この記事の3つのポイント
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資格は「必須」ではないが「必要」

法律上、資格なしでも飛行許可申請を踏めば点検は可能。ただし住宅街のほとんどはDID地区で、無許可飛行は航空法違反となり50万円以下の罰金リスクがある。

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2025年12月に民間資格の優遇が終了

民間資格による飛行許可申請の簡略化措置が廃止。今後は国家資格(一等・二等)が業務上の標準となる。

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補助金で費用を最大85%削減できる

人材開発支援助成金を活用すれば、二等国家資格の取得費用を大幅に圧縮できる。建設業こそ積極的に活用すべき制度。


ドローン点検に「資格が必要ない」は本当か?法律の実態


「ドローン点検に資格は不要」という情報を見かけたことがある方も多いでしょう。これは半分正しく、半分は大きな誤解につながります。


現行の日本の航空法において、ドローン操縦そのものに対して「この資格がなければ飛ばせない」という絶対的な免許制度は存在しません。自動車の運転免許とは異なり、資格がなくても飛行できる条件は整っています。ただし、条件が整っているのは「所定の申請を正しく行った場合」に限られます。


実際の現場ではどうでしょうか。住宅街での屋根点検や市街地での外壁調査を行う場合、多くの現場は「人口集中地区(DID地区)」に該当します。DID地区は、昭和35年の国勢調査を起点に総務省が定めた人口密集エリアのことで、市区町村の市街地のほぼ全域が対象です。DID地区でドローンを飛ばすには国土交通大臣の許可が必要で、無許可で飛行させると航空法違反となり、最大50万円以下の罰金が科されます。


さらに、建物の屋根点検では多くのケースで「人や物件から30m以上の距離を確保できない飛行」に該当します。近隣の家屋や通行人が近くにいる状況での点検はほぼ必ず承認申請が必要です。つまり「資格なしで無申請のまま現場でドローンを飛ばす」行為は、かなり高い確率で違法になります。


申請なしで飛ばせる条件が整っているのは、広い農地や郊外の人がいない場所など、ごく限られたケースだけです。建築業において、住宅・建物点検にドローンを活用する場面のほとんどは申請が必要と考えておきましょう。法的手続きが条件です。


国土交通省「無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法」|DID地区・150m以上等の飛行規制と申請方法について確認できる公式ページ


ドローン点検で取得したい国家資格「一等・二等」の違いと選び方

2022年12月から始まったドローンの国家資格制度(無人航空機操縦者技能証明)は、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の2種類があります。この2つ、何が違うのでしょうか?


違いの核心は「飛行レベル4ができるかどうか」です。国土交通省はドローンの飛行をリスクに応じてレベル1〜4に分類しています。レベル1・2が目視内での飛行、レベル3が第三者のいない無人地帯での目視外飛行(補助者なし)、そしてレベル4が「有人地帯(第三者がいる場所)での補助者なし目視外飛行」です。


一等資格があればレベル4を含むすべての飛行が可能で、二等資格ではレベル3まで対応できます。つまり一等が上位、二等が下位という位置付けです。


建築業従事者がドローン点検に活用する場合、まず目指すべきは二等資格が現実的です。屋根点検・外壁点検などでは操縦者が目視で機体を確認しながら飛行させるケースが多く、レベル4(有人地帯・目視外)まで必要としない場面が多数あります。二等資格でも、夜間飛行や無人地帯での目視外飛行(レベル3相当)まで対応できるため、多くの点検業務をカバーできます。


費用面では、初学者として二等資格を取得する場合の相場が15万円〜40万円程度(スクール講習料+学科試験料+交付手数料の合計)。一等資格の初学者は60万円〜100万円が相場で、費用面の差は相当大きくなります。いきなり一等を目指すよりも、二等で実績を積んでから一等にステップアップするルートが、コスト面でも無理がありません。


なお国家資格を取得していても、空港周辺や高度150m以上の空域、25kg以上の大型機などの飛行には別途個別申請が必要です。資格があれば「何でも飛ばせる」わけではない点に注意が必要です。


| 資格種別 | 対応飛行レベル | 取得費用目安(初学者) | 建築点検での主な活用場面 |
|---|---|---|---|
| 二等無人航空機操縦士 | レベル1〜3 | 15万〜40万円 | 屋根点検・外壁点検(目視飛行) |
| 一等無人航空機操縦士 | レベル1〜4 | 60万〜100万円 | 有人地帯での目視外点検・大規模インフラ点検 |


ドローンフロンティア「ドローン点検に資格は必要?取得しておきたい資格の種類と活用」|一等・二等の違いと点検実務での活かし方を詳しく解説


2025年12月に変わった民間資格の扱いと今後の注意点

「JUIDA資格を持っていれば大丈夫」と思っている方は要注意です。制度が変わっています。


2022年にドローン国家資格制度が始まった際、国土交通省は既存の民間資格保有者への経過措置として3年間の優遇期間を設けていました。民間資格を持っていれば飛行許可申請の書類の一部を省略できる、という手続き上のメリットです。ところが2025年12月5日をもってこの優遇措置は廃止されました。


廃止後は、民間資格(JUIDA・DPA・DJI CAMPなど)を持っていても、国土交通省への飛行許可申請は従来どおり全項目の記入が必要となります。民間資格が「無意味」になったわけではありませんが、行政手続き上のメリットはなくなったということです。


では民間資格はまったく不要かというと、そうではありません。民間資格取得者は国家資格の講習において「経験者」として認定されます。経験者コースでは初学者の半分以下の講習時間で修了できるため、スクール費用も大幅に抑えられます。たとえば二等資格の場合、初学者コースが15万〜40万円のところ、経験者コースは7万〜25万円程度が相場です。これは大きな差です。


建築業でこれからドローン点検を始める方にとって理想的なルートは、まず民間資格を取得して基礎知識・操縦スキルを習得し、その後、経験者枠で国家資格(二等)を取得するという流れです。民間資格取得には約10万〜20万円程度かかることが多いですが、国家資格取得時のコスト削減効果で十分に回収できます。


いきなり国家資格の初学者コースを受けるよりも、民間資格→国家資格(経験者枠)の順番のほうが費用・習熟度の両面で合理的です。これが基本です。


建築基準法12条点検とドローン資格の関係:意外と知られていない落とし穴

建築業従事者が特に知っておきたいのが、建築基準法第12条に基づく「定期報告制度(12条点検)」とドローンの関係です。ここに意外な盲点があります。


12条点検は、特定建築物(学校・病院・百貨店・ホテルなど不特定多数が使用する建物)の所有者・管理者に対して定期的な調査と行政への報告を義務付ける制度です。外壁の落下防止調査もその中に含まれます。2020年以降、国土交通省が正式に「赤外線装置を搭載したドローン等による外壁調査手法」を定期報告の調査方法として認めたため、現在ではドローンを使った12条点検の外壁調査が合法的に行えます。


ただし、ここで重要な点があります。12条点検そのものの調査は一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員資格者のいずれかが実施しなければなりません。ドローンの国家資格(一等・二等)だけでは12条点検の調査員にはなれないのです。


つまり、ドローンを12条点検に活用する場合、「ドローンを飛ばす操縦者」と「点検調査を実施・報告できる有資格者」の2役が必要となります。建築業の会社であれば一級・二級建築士が在籍しているケースも多いでしょう。その場合、建築士の方がドローン国家資格(二等)を取得すれば一人で対応できる場面も増えます。これは使えそうです。


さらに、外壁の赤外線調査には「赤外線建物診断技能師」という民間資格も役立ちます。一般社団法人「街と暮らし環境再生機構(TERS)」が認定する資格で、受験に特別な前提資格は不要です。この資格を持っていることで、クライアントへの報告書の信頼性が上がるだけでなく、公共施設の入札参加要件を満たせるケースもあります。資格取得後は2年ごとの更新が必要です。


国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」|ドローン赤外線調査が12条点検の正式手法として認められた根拠を確認できる公式ページ


補助金を活用したドローン点検資格の賢い取得戦略

「費用が高くて踏み出せない」という方に、ぜひ知っておいてほしい制度があります。それが「人材開発支援助成金」です。


人材開発支援助成金は厚生労働省が管轄する助成金制度で、事業主が従業員に対して職業訓練(スクール受講など)を実施した際に、訓練費用の最大75〜85%が助成される制度です。ドローン国家資格の取得に対応しているスクールも多く、建設業の場合は「事業展開等リスキリング支援コース」の活用が特に有効です。


具体的なシミュレーションで見てみましょう。



  • 🏗️ 二等国家資格(初学者コース)の受講費用:約30万円

  • 💸 助成金を75%活用した場合の実質負担:約7.5万円

  • 📉 経験者コース(民間資格取得後)+助成金を組み合わせれば、実質負担は3万〜5万円台も視野に


一等資格(初学者コース)でも同様の助成金を活用でき、60万〜100万円かかる費用が15万〜25万円程度まで圧縮できる可能性があります。東京ドームのグラウンド面積(約1.3万㎡)をすべて有料駐車場にしたとしても埋まらないほどの金額差を、制度利用一つで解消できるのです。


申請には事前手続きが必要で、スクール受講開始の前に所轄のハローワーク(公共職業安定所)への届出が必要です。受講後の申請では対象外になるため、スクールを検討する段階で同時に助成金の手続きも確認しておくことが条件です。


なお、助成金の対象要件には「雇用保険適用事業主であること」「労働者への訓練計画を届出ること」などがあります。個人事業主では利用できないケースもあるため、詳細は各スクールまたは最寄りのハローワークで確認しましょう。対象となるドローンスクールが助成金の申請をサポートしてくれる場合も多いため、スクール選びの段階で「補助金対応か否か」を確認するのが賢明です。


ドローンスクール埼玉「助成金を活用したスクール受講について」|建設会社がドローン点検事業を新規開始する際の助成金活用例を具体的に紹介


| 助成金の種類 | 補助率 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 最大75% | 雇用保険適用事業主 |
| 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 最大75〜85% | 新規事業展開を行う事業主 |




水中ドローンビジネス調査報告書2022