
エキスパンドメタルのJIS規格(JIS G 3351)には、主にGタイプとSタイプの2種類が規定されています。Gタイプは「グレーチング型」とも呼ばれ、XG11からXG24までの規格があり、ボンド部が広い亀甲型の形状が特徴です。一方、Sタイプは「一般用」として位置づけられ、XS31からXS93まで幅広い規格が設定されています。
🔹 Gタイプの主な特徴
🔹 Sタイプの主な特徴
特に注目すべきは、XS63を除くSタイプ標準品とGタイプ標準品の在庫状況です。これらの標準品は、ソロバン目(長目方向が寸法の長い方向)とタタミ目(短目方向が寸法の長い方向)の両方で供給されており、用途に応じた選択が可能です。
エキスパンドメタル規格表でメッシュ寸法を正しく理解するには、SW(Short Way)とLW(Long Way)の概念を把握することが重要です。SWはメッシュの短目方向中心間距離、LWはメッシュの長目方向中心間距離を表します。
📐 メッシュ寸法の測定方法
例えば、XG12規格では SW34mm×LW135.4mm となっていますが、実際の開口部寸法は板厚6.0mm、ストランド幅7.0mmを考慮して計算する必要があります。この場合、実効開口寸法は SW方向で約27mm、LW方向で約128.4mm程度になります。
メッシュ寸法の選定では、通過させたい物質のサイズと、必要な強度のバランスを考慮することが重要です。細かいメッシュほど高い分離性能を発揮しますが、開口率が低下し、通気性や軽量性が犠牲になる傾向があります。
エキスパンドメタルの構造を理解する上で、板厚(T)とストランド寸法(W)は非常に重要な要素です。板厚はエキスパンドメタルの基本的な厚みを示し、ストランド寸法は製造時の刻み幅(送り幅)を表します。
⚙️ 板厚による性能の違い
ストランド寸法は、エキスパンドメタルの製造プロセスで決まる重要な要素です。この寸法が大きいほど、材料の利用効率が向上し、開口率も高くなります。例えば、XS42規格では板厚2.3mm、ストランド幅2.5mmの組み合わせで、開口率74%を実現しています。
全厚(D)は、エキスパンドメタルを引き伸ばした結果として生じる立体的な厚みを表し、平面的な板厚とは異なる概念です。この全厚は、製品の剛性や強度に大きく影響するため、構造計算では必ず考慮する必要があります。
エキスパンドメタル規格表における単位重量(kg/㎡)は、材料コストの算出や構造計算に欠かせない重要な数値です。この単位重量から、実際の製品重量を正確に計算することで、輸送コストや施工計画を適切に立てることができます。
💰 重量計算の実例
標準的な製品サイズでの重量計算例を示します。
例えば、XG12規格(単位重量19.4kg/㎡)の場合。
単位重量は、材料の密度、板厚、開口率によって決まります。開口率が高いほど単位重量は軽くなりますが、強度は低下する傾向があります。そのため、用途に応じた最適なバランスを見つけることが重要です。
🔍 重量最適化のポイント
エキスパンドメタル規格表から最適な製品を選定するには、用途別の性能要求を明確にすることが重要です。単純にメッシュサイズだけで選ぶのではなく、強度、重量、開口率、コストの総合的なバランスを考慮する必要があります。
🎯 用途別選定指針
フィルター用途
構造材用途
装飾材用途
意外と知られていないのが、エキスパンドメタルの「引伸率」という概念です。これは元の平板からどの程度引き伸ばされたかを示す数値で、材料効率と強度のバランスを表す重要な指標です。引伸率が高いほど材料効率は良くなりますが、ストランド部の断面積が小さくなり、強度は低下します。
最適な選定のためには、JIS規格品の在庫状況も考慮すべきです。標準品であれば短納期での調達が可能ですが、特殊仕様では製造期間が長くなる場合があります。プロジェクトのスケジュールに合わせて、標準品の活用も積極的に検討することをお勧めします。