ガードレール寸法一覧|種別と設置工事の仕様規格

ガードレール寸法一覧|種別と設置工事の仕様規格

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ガードレール寸法一覧と種別仕様

ガードレール規格の基本分類
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強度別種別分類

A種(高速道路用)からC種(一般道路用)まで用途に応じた強度設計

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寸法規格統一

全国統一規格により互換性を確保し施工効率を向上

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設置条件対応

土中建込・コンクリート建込など現場条件に最適化

ガードレール基本寸法と種別規格一覧

ガードレールの種別は強度と設置場所により明確に分類されています。最も重要な基本寸法を種別ごとに整理すると、以下のような体系になっています。

 

強度別種別分類

  • C種:板厚2.3mm、ビーム幅350mm、支柱φ114.3mm(一般道路用)
  • B種:板厚3.2mm、ビーム幅350mm、支柱φ114.3mm(一般道路用)
  • A種:板厚4.0mm、ビーム幅350mm、支柱φ139.8mm(高速道路用)

高強度規格シリーズ

  • SC種:板厚4.0mm、ビーム幅500mm、支柱φ139.8mm(高速道路用)
  • SB種:板厚4.0mm、ビーム幅500mm、支柱□125×125mm(高速道路用)
  • SA種:板厚4.0mm、ビーム幅500mm、支柱□125×125mm(高速道路用)
  • SS種:板厚4.0mm、ビーム幅500mm、支柱□125×125mm(高速道路用)

特に注目すべきは、高速道路用のSシリーズでは従来の円形支柱から角形支柱への変更により、より高い強度を実現している点です。この技術革新により、衝突時のエネルギー吸収性能が大幅に向上しています。

 

分離帯用規格(m種)
各基本規格にm(分離帯用)を付加した規格も存在し、中央分離帯での設置に特化した仕様となっています。分離帯用では両面からの衝突を想定した設計となっており、一般的な路側用とは異なる構造的特徴を持っています。

 

ガードレールの規格選定において重要なのは、設置場所の交通量と速度域を正確に把握することです。例えば、制限速度60km/h以下の一般道路ではC種で十分ですが、80km/h以上の高速道路ではA種以上の選定が安全基準上必須となります。

 

ガードレール支柱間隔と設置仕様詳細

支柱間隔は安全性と経済性のバランスを取る重要な設計要素です。標準的な支柱間隔と各種設置仕様について詳しく解説します。

 

標準支柱間隔

  • 土中建込用:4.0m間隔(標準)
  • コンクリート建込用:2.0m間隔(標準)
  • 特殊部:1.0m~1.5m間隔(橋梁部等)

土中建込では地盤の支持力を活用できるため4m間隔が可能ですが、コンクリート建込では構造物への固定となるため、より密な2m間隔が必要になります。

 

積雪地域対応(耐雪型)
積雪ランク1~3に応じて、支柱の根入れ深さと間隔が調整されます。積雪による横圧力を考慮し、標準仕様より強化された設計となっています。

 

  • 積雪ランク1:標準仕様から10%強化
  • 積雪ランク2:標準仕様から20%強化
  • 積雪ランク3:標準仕様から30%強化

設置工法による寸法変更
着脱式(MO仕様)では、メンテナンス性を考慮した特殊な支柱設計となります。通常の埋込み式と比較して、支柱上部に専用の着脱機構が設けられ、全体の高さが約100mm増加します。

 

設置現場での実際の施工では、支柱間隔の微調整が頻繁に発生します。特に既存構造物との取り合い部分では、設計上の標準間隔から±200mm程度の調整が一般的です。この調整に対応するため、ビーム長さにも複数のバリエーションが用意されています。

 

ガードレール板厚とビーム寸法規格表

ガードレールの安全性を決定する最重要要素である板厚とビーム寸法について、実務で必要な詳細データを整理しています。

 

板厚規格と強度特性

種別 板厚(mm) 引張強度(N/mm²) 適用道路
C種 2.3 400以上 市道・県道
B種 3.2 400以上 国道・主要地方道
A種 4.0 400以上 高速道路・自動車専用道路

板厚の違いは単純な強度差だけでなく、衝突時のエネルギー吸収特性にも大きく影響します。C種の2.3mm厚では軽微な接触事故での変形復元性を重視した設計となっており、B種・A種では重大事故での確実な車両誘導を目的とした剛性重視の設計となっています。

 

ビーム断面寸法詳細
標準的なビーム断面は波形形状となっており、この波形ピッチも強度に大きく影響します。

 

  • 350mm幅ビーム:波数2山、波ピッチ175mm
  • 500mm幅ビーム:波数3山、波ピッチ166.7mm

500mm幅ビームは高速道路の高強度規格で採用されており、より多くの波を設けることで剛性を高めています。この設計により、大型車両の衝突に対しても安定した性能を発揮します。

 

材質規格と表面処理
ガードレール用鋼材はJIS G 3101 SS400相当品が標準となっており、亜鉛めっき処理(HDZ55)による防錆対策が施されています。沿岸部では塩害対策として、より厚い亜鉛めっき(HDZ70)が選択される場合もあります。

 

実際の現場では、板厚の測定により製品の品質確認を行うことが重要です。納入時の厚さ測定では、めっき厚を含んだ数値となるため、基材厚との区別を明確にする必要があります。

 

ガードレール工事費用と施工期間の経済性分析

ガードレール設置工事において、寸法選択が工事費用と施工期間に与える影響は意外に大きく、適切な規格選定により大幅なコスト削減が可能です35。

 

規格別施工コスト比較
設置工事費用は材料費と施工費の合計で構成されますが、規格による差異は材料費だけでなく施工効率にも現れます。

 

  • C種設置:100万円/100m(基準)
  • B種設置:125万円/100m(25%増)
  • A種設置:160万円/100m(60%増)

A種では支柱径が大きく根入れも深いため、掘削作業と埋戻し作業に時間を要し、人件費も増大します。

 

支柱間隔による施工効率変化
支柱間隔4mと2m設置では、必要支柱数が倍になるため材料費だけでなく、基礎工事回数も倍増します。

 

4m間隔設置時。

  • 支柱設置作業:25本/100m
  • 基礎掘削:25箇所
  • 施工期間:3日間

2m間隔設置時。

  • 支柱設置作業:50本/100m
  • 基礎掘削:50箇所
  • 施工期間:5日間

特殊仕様による追加コスト
耐雪型や着脱式など特殊仕様では、標準仕様に比べて20~40%のコスト増となります。しかし、将来のメンテナンス性を考慮すると、初期投資の増加分は数年で回収される場合が多いです。

 

積雪地域での標準仕様と耐雪型の生涯コスト比較では、除雪作業による損傷リスクを考慮すると耐雪型の優位性が明確に現れます。特に年間降雪量2m以上の地域では、耐雪型選択による経済効果が顕著です。

 

リース活用による初期コスト削減も有効な選択肢です。建設会社のジェコスでは、5mタイプガードレールのリースサービスを提供しており、短期工事では購入より30~40%のコスト削減が可能となっています。

 

ガードレール設置場所別の最適仕様選定基準

設置場所の特性に応じた最適な仕様選定は、安全性確保と経済性の両立において極めて重要です。実際の選定では、交通条件だけでなく地域特性も考慮する必要があります。

 

道路種別による基本選定
高速道路、国道、県道、市道といった道路種別により、要求される安全基準が明確に区分されています。

 

高速道路(制限速度80km/h以上)。

  • 本線:A種以上(板厚4.0mm)
  • 分離帯:Am種またはSBm種
  • ランプ部:B種(カーブ部はA種)

一般国道(制限速度60km/h)。

  • 主要部:B種(板厚3.2mm)
  • 市街地:C種(歩行者への配慮)
  • 橋梁部:A種(落下防止重視)

地域条件による仕様調整
積雪地域では標準仕様に加えて耐雪型の検討が必要です。積雪ランクは気象庁の地域区分に基づいて設定されており、過去30年の平均積雪深により客観的に決定されます。

 

積雪ランク1(積雪深50cm未満)。

  • 標準仕様で対応可能
  • 除雪作業時の接触頻度は年1~2回程度

積雪ランク2(積雪深50~100cm)。

  • 耐雪型推奨(支柱根入れ深さ+30cm)
  • 除雪作業時の接触頻度は年5~10回程度

積雪ランク3(積雪深100cm以上)。

  • 耐雪型必須(支柱根入れ深さ+50cm)
  • 除雪作業時の接触頻度は年15~20回程度

特殊条件での仕様選定
曲線部では車両の遠心力による衝突エネルギーが増大するため、直線部より1ランク上の仕様選定が推奨されます。

 

曲線半径別推奨仕様。

  • R=30m以下:C種→B種、B種→A種
  • R=40m以下:B種→A種(C種は使用不可)
  • R=70m以下:A種推奨(高速道路では必須)

橋梁部やトンネル坑口部では、構造物保護の観点から高強度仕様の選定が重要です。特に橋梁部では車両の落下防止が最優先となるため、経済性よりも安全性を重視した仕様選定が求められます。

 

沿岸部では塩害対策として、標準の亜鉛めっき厚55μmから70μmへの変更や、支柱基部への追加防錆処理が効果的です。初期コストは10~15%増となりますが、耐用年数が1.5~2倍に延長されるため、ライフサイクルコストでは有利になります。