
アルミサッシのガラス交換において、最も重要なのは正確な寸法測定です。基本的な計算方法は、サッシの内法寸法(アルミからアルミまでの距離)に12mmを加算することです。
具体的な計算例。
この12mmの内訳は、上下左右各6mmずつの「飲み込み寸法」と呼ばれる部分です。この寸法は、ガラスがサッシの溝に入り込む部分の長さを表しており、メーカーや商品により多少の差異はありますが、一般的には6mmが標準とされています。
測定時の注意点として、グレイジングチャンネル(ゴムパッキン)部分ではなく、必ずアルミサッシ本体の内側を測定することが重要です。間違った測定箇所で採寸すると、ガラスのサイズが合わずに交換作業に支障をきたす可能性があります。
正確な採寸は、ガラス交換成功の鍵となります。以下の手順に従って測定を行いましょう。
測定前の準備
測定手順
より正確な測定方法
分解可能なサッシの場合、対角線上のビスを外してL字型に枠を外し、ガラスの実寸を直接測定する方法もあります。この方法では、角部分からガラスの端が見えるため、より正確な寸法を把握できます。
測定時は100mm位置から測る場合、メモリの数字から100mmを引くことを忘れないよう注意が必要です。
ガラス交換費用は、寸法とガラスの種類によって大きく異なります。以下に代表的なサイズ別の費用相場を示します。
90cm×90cmまで(窓用サイズ)
190cm×90cmまで(ベランダ用標準サイズ)
210cm×135cmまで(ベランダ用大サイズ)
価格は1㎡あたりの単価で計算され、ガラスの厚みによっても変動します。例えば、フロートガラス3mmの単価は6,180円/㎡、5mmは9,780円/㎡となっています。
ガラスを固定する押縁の仕様によって、測定方法と寸法計算が大きく異なります。これは意外に知られていない重要なポイントです。
縦の押縁が片方のみ外れる場合
上下の押縁が外れる場合
全ての押縁が外れる場合
押縁の種類を事前に確認することで、適切な測定方法を選択し、正確な寸法でガラスを発注できます。間違った測定方法を選択すると、ガラスが入らない、または緩すぎるといったトラブルの原因となります。
実際のガラス交換現場では、様々な寸法トラブルが発生します。事前の対策により、これらの問題を回避できます。
寸法公差の考慮
建材用ガラスの寸法公差は±1.0mmが標準ですが、+0、-2mmでの製作も可能です。精密な設置が必要な場合は、寸法公差を指定して発注することが重要です。
厚み公差への注意
国内製造ガラスはJIS規格により厚み許容差が決められていますが、輸入ガラスは呼び名厚みと実際の厚みが異なる場合があります。4mmガラスでも4.5mm程度になっている場合があるため、サッシとの適合性を事前に確認しましょう。
測定ミスの防止策
緊急時の対応準備
不動産管理では緊急的なガラス交換が必要な場合があります。あらかじめ管理物件の標準的な窓サイズを把握し、よく使用される寸法のガラスを在庫として確保しておくことで、迅速な対応が可能になります。
重量計算の重要性
ガラスの重量は1㎡当たり厚み×2.5kgで計算されます。例えば、厚み5mmで1,000mm×600mmのガラスの場合、1×0.6×5×2.5=7.5kgとなります。大型ガラスの交換時は、重量を考慮した搬入計画と安全対策が必要です。
寸法測定の精度向上により、ガラス交換作業の効率化とコスト削減を実現できます。正確な測定技術は、不動産業務における重要なスキルの一つといえるでしょう。