

ガス配管用のヘルメシールは、ねじ継手の「すき間」を埋めて気密を確保するためのシール剤で、まず用途に合う品番を選ぶのが最優先です。日本ヘルメチックスの資料では、ヘルメシールG-1は「都市ガス、プロパンガス、天然ガス、LPGなどのガス配管・ガス器具類の漏止め」に使える一方、LPG“液体”には適応できないと明記されています。
同じく、G-2もガス配管用で、ハイカロリーガスに耐える「ガス用液状ガスケット」とされ、粘着形態が“半乾性”である点がG-1(不乾性)と違います。
つまり、選定の基準は「ガス種」だけでなく、“LPGが液体として存在し得る条件や設備か”まで含めて考える必要があり、ここを曖昧にすると後工程が正しくてもリスクが残ります。
また、メーカーはG-1とG-2のどちらも「飲料水には使用しないで下さい」と注意書きを出しています。
参考)日本ヘルメチックス株式会社
水道の修理記事を書いていると「水道にも効くならガスにも…」と発想しがちですが、用途外使用は避け、ガスはガス用、水は水用で分けるのが前提です。
特に“家の中のついで作業”で混同が起きやすいので、容器ラベル・品番・用途の3点セットで確認する癖を付けると事故予防になります。
ヘルメシールの性能は「塗れば終わり」ではなく、接合面の状態で大きく変わります。メーカーはG-1もG-2も共通して、接合面の油分・水分・ホコリ等を十分に拭き取ることを使用方法の先頭で求めています。
この“水分”が曲者で、見た目が乾いていても、結露や配管内の湿気がねじ山に残ると、シール剤が薄まったり密着が乱れたりして、微小漏れの原因になり得ます(特に冬場の屋外・床下)。
やることは単純で、ウエスでの拭き取り+必要なら時間を置いて乾かす、これだけで失敗率は下げられます。
次に「攪拌(かくはん)」です。G-1は“刷毛塗り用に調整されているので使用前によく攪拌し、そのまま塗布”とされ、G-2も“使用前によく攪拌”が指定されています。
攪拌をサボると、缶の上澄みと沈殿で粘度や成分の偏りが起き、同じ量を塗っても埋まり方が変わることがあります。
「昨日はうまくいったのに今日は漏れる」系の再現性のないトラブルは、実はこの工程の抜けが原因になりやすいので、最初に“混ぜる時間を決め打ち”してルーチン化すると安定します。
塗布の基本は「刷毛で均一に塗る」ことです。メーカーはG-1について“刷毛で均一に塗布し、規定トルクで締付け”、G-2についても“刷毛で均一に塗布し2〜3分放置してから規定トルクで締付け”と明確に手順を分けています。
この“2〜3分放置”は、G-2が半乾性粘着形であることと整合していて、締め込む直前に表面が少し落ち着くことで、はみ出しや流れを抑えつつ、ねじ山の隙間に留まりやすくする意図が読み取れます。
逆に、G-1は不乾性粘着形なので、放置時間を前提にせず、均一塗布→締付けの流れになっている点が設計思想の違いです。
塗布量は「多いほど安全」とは限りません。シール剤がねじの内側(配管内)に押し出されすぎると、ガス機器側の狭い通路やバルブ部に異物として残る可能性があり、別の不具合(点火不良や圧力低下など)に繋がるリスクがあります(特に小口径・短い継手)。
実務的には、ねじ山全体に“薄く均一”を守り、端面にダマを作らないのがコツです。
締付けも同様で、メーカーが「規定トルク」と書いている以上、感覚で「増し締め」を続けるより、継手の仕様に沿って止めるのが安全側です。
意外と見落としがちなのが「稀釈」の扱いです。G-2では“稀釈には当社の専用稀釈剤を使用し、稀め過ぎない”と注意されています。
つまり、手元の溶剤(パーツクリーナー等)で勝手に伸ばすのは前提外で、粘度を崩すと本来の充填性・気密維持が期待できません。
DIY記事では“使いやすさ”に寄せて薄めたくなりますが、ガス用途は「楽さ」より「仕様通り」を優先してください。
施工で最も重要なのは、塗布そのものより「漏れ確認」と「異常時の動き」をセットで決めることです。ヘルメシールはガス配管の漏止め用途として位置付けられている一方、施工条件はメーカー管理外で“使用に際してはテストの上確かめる”旨も記載されています。
この一文は重く、つまり“塗ったからOK”ではなく、使用環境・継手状態・締付け精度によって結果が変わるので、必ず検査を組み込め、というメッセージです。
検索上位の多くは「塗り方」中心になりがちですが、読者が本当に困るのは「漏れていた場合にどうするか」なので、ここを独自に深掘りします。
家庭でできる現実的な確認としては、ガス会社や有資格者による検査が最も安全で確実です(法令・契約・地域ルールの制約もあるため)。
もし作業直後に異臭や“シュー”という音など異常を感じたら、最優先は「火気厳禁」「換気」「元栓を閉める」「電気スイッチに触れない(火花リスク)」の順で、作業続行や原因追及は後回しにします。
ここでのポイントは、“漏れ箇所を探すために近づく”行為が危険になり得ることです(特に閉鎖空間の床下・収納内)。
さらに、漏れが疑わしいときに「増し締めで止める」は短期的に止まっても、ねじ山を傷めたり、塗布膜が偏って逆に漏れ経路を作ったりします。メーカーが規定トルクを求めるのは、適正な締付け範囲でシール剤が最も安定して働く前提があるからで、無制限の増し締めを推奨していないと解釈できます。
対処は、いったん分解して清掃→再塗布→手順通りに締付け→検査、の“やり直しループ”を想定しておく方が安全です。
ヘルメシールは使った後の管理も重要です。メーカーはG-1/G-2ともに、使用後は密封して冷暗所に保存するよう指示しています。
密封が甘いと、缶の縁に固着物ができてフタが完全に閉まらず、次回使用時に粘度が変わったり、刷毛が引っかかって均一塗布が難しくなったりします。
DIYだと「少し残して次回」が起きやすいので、フタ周りの清掃→密封→冷暗所、を作業終了のチェック項目に入れると失敗を減らせます。
また、やり直し時の考え方として、G-1は“不乾性粘着形で取りはずしが安易”という特長が明記されています。
この特長は、施工ミスの修正が必要になりがちな現場で効いてきますが、だからこそ“簡単に外せる=適当にやってよい”ではなく、外せるうちに正しい手順でやり直して気密を取り直す、という安全側の使い方ができます。
最後に、ガス用途では「飲料水に使用しない」の注意が繰り返し出ているため、工具箱や保管棚でも水道用シール剤と物理的に場所分けし、取り違えを防ぐ運用が現実的です。
ガス配管用の製品ページ(用途・特長・使用方法の一次情報)
http://www.nihon-hermetics.co.jp/product/singlepage/hermesealG-1.html
G-2の放置時間(2〜3分)や稀釈の注意など、施工手順の差が確認できる一次情報
日本ヘルメチックス株式会社