

一般社団法人日本冷蔵倉庫協会(英文略称:JARW)は、昭和48年10月4日に設立された冷蔵倉庫業の業界団体です。本部所在地は東京都中央区豊海町4-18に置かれており、元国土交通省所管の組織として運営されています。会長は的埜明世氏(日本水産代表取締役社長執行役員)が務めています。
参考)協会概要 
同協会は、冷蔵倉庫業者が各地で組織する46地区協会を正会員とする中央団体であり、2023年6月末現在で事業所会員1,205事業所、賛助会員29社が加盟しています。全国の冷蔵倉庫協会のネットワークを構築しており、北海道から沖縄県まで各都道府県に地区協会が存在しています。
参考)協会組織 
協会の目的は、食料等の保管及び流通に果たす冷蔵倉庫の重要性に鑑み、冷蔵倉庫業等の経済活動の活性化及び業務の高度化を推進し、食の安全・安心等を通じて国民生活の安定向上に寄与することです。冷蔵倉庫は、水産物、畜産物、農産物や冷凍食品等の低温保管に必要なインフラであり、食の安全・安心に寄与し、コールドチェーンの中で重要な機能を果たしています。
参考)一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会
日本冷蔵倉庫協会は、会員事業者を支援するため多岐にわたる事業を展開しています。主な事業内容として、物流の効率化、事業基盤活性化等に関する調査研究、普及啓発及び指導を行っています。これにより、冷蔵倉庫業界全体の競争力向上と近代化を推進しています。
食料等の保管・流通に関する統計資料等の蒐集・公表及び知識の普及も重要な活動の一つです。業界の実態把握と情報共有により、適切な経営判断を可能にする環境を整備しています。同協会の会員事業所数は1,188で、所管容積は国内の冷蔵倉庫の約2/3に及ぶなど、まさに国内コールドチェーンの「ノード」の大半をカバーする中心団体となっています。
参考)日本冷蔵倉庫協会・土屋理事長に聞く業界の今|物流クロスオーバ…
冷蔵倉庫の管理運営能力向上のための従事者に対する教育研修も実施しており、冷蔵倉庫業従事者に対する安全教育、業界功労者への顕彰などを行っています。特に、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律に定められた冷媒フロン類取扱知見者の講習機関として経済産業省に認定されており、専門的な講習会を定期的に開催しています。
参考)日本冷蔵倉庫協会 - Wikipedia
建築業従事者にとって、日本冷蔵倉庫協会の活動を理解することは極めて重要です。なぜなら、冷蔵倉庫の建設には倉庫業法、建築基準法、消防法、食品衛生法など複数の法令への適合が必須だからです。営業倉庫では全部で23の施設設備基準があり、10℃以下で製品を保管する冷蔵倉庫では、そのうちの12項目を満たす必要があります。
参考)冷蔵倉庫業に関連する法令と必要な責任者 
冷蔵倉庫の設備基準として、冷蔵室の保管温度が常時摂氏10度以下に保たれること、見やすい場所に冷蔵室の温度を表示する温度計が設けられていることなどが規定されています。また、構造及び設備が、倉庫内への水の浸透を防止するに足るものとして国土交通大臣の定める基準に適合していることも求められます。
参考)冷蔵倉庫の施設設備基準とは?建設前に確認しよう|倉庫建築の基…
建築設計から施工までを一貫して対応する場合、外構や動線、物流効率といった運用面も含めたトータルな提案が必要です。特殊倉庫建設においては、単に建物を建てるだけでなく、各地域の消防法や建築基準法の解釈の違いにも柔軟に対応し、最適な計画を立てることが重要です。日本冷蔵倉庫協会は、こうした技術的な情報提供や相談対応を通じて、建築業者と冷蔵倉庫事業者の橋渡し役を担っています。
参考)冷凍冷蔵倉庫を建設・設計する前に確認すべき7つのポイントをご…
一般社団法人日本冷蔵倉庫協会公式サイト - 協会の最新情報や各種手引書が入手可能です
日本冷蔵倉庫協会には、正会員、事業所会員、賛助会員の3種類の会員制度があります。正会員は各地区の冷蔵倉庫協会等で構成され、全国46地区協会が加盟しています。事業所会員は、営業冷蔵倉庫業を営む事業者(事業所会員Ⅰ)、自家用冷蔵倉庫や製氷・凍結事業等を営む事業者(事業所会員Ⅱ)、冷蔵倉庫業者の持ち株会社及び本社等(事業所会員Ⅲ)に分類されます。
参考)ご入会のご案内 
入会方法は、全国各地にある地区協会に入会することで、日本冷蔵倉庫協会の「事業所会員Ⅰ」となることができます。地区協会への入会方法は、協会ホームページサイト内「地域別事業所会員名簿」を確認し、該当する地区協会にお申込みすることになります。
会員へのサービスとして、総会出席の案内、冷蔵倉庫事業に役立つ委員会活動とその情報の提供、倉庫税制補助金等への要望活動と情報の提供、講演会・研修会など各種行事への参加案内などが提供されます。また、冷蔵倉庫業者賠償責任保険、自家貨物動産総合保険、冷蔵倉庫等団体機械保険、冷蔵倉庫等施設所有管理者賠償責任保険などの各種団体保険への加入案内も行われています。
コールドチェーン(低温物流体系)とは、食品や医薬品など、品質を保つために温度管理が必要な商品を、生産から消費されるまで、一貫して低温かつ最適な温度管理状態に保つ物流のことです。日本冷蔵倉庫協会の会員事業者である営業冷蔵倉庫は、倉庫業法にもとづき国土交通省の登録を受けた冷蔵倉庫であり、国民の食生活を安定的に支えている重要な社会インフラ施設です。
参考)ごあいさつ 
コールドチェーンの主な目的は、「低温状態に保つことで商品の品質を維持する」ことであり、サプライチェーンの全ての工程で、徹底した温度管理を行うことが重要なポイントとなります。冷蔵倉庫は、このコールドチェーンの中で保管機能を担う中核的な存在として位置づけられており、水産物・畜産物・農産物・冷凍食品などの貨物の保管・輸配送・流通加工等を行うことによって、食料の安定供給に貢献しています。
参考)コールドチェーン(低温物流)の仕組みや必要性を解説 
日本冷蔵倉庫協会は、コールドチェーンの高度化に向けた取り組みを推進しており、低温物流技術の向上や省エネルギー化、環境負荷の低減などに関する研究開発を支援しています。特に近年では、冷凍食品の需要拡大への対応や廃棄ロスを削減する手段としても注目が集まっており、協会は業界全体の技術革新を牽引する役割を果たしています。
参考)https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2024/11/25/20241121_takashima.pdf
日本冷蔵倉庫協会の協会概要 - 組織体制や活動内容の詳細が確認できます
日本冷蔵倉庫協会の設立は昭和48年(1973年)10月4日ですが、地区協会の中には協会設立以前から活動していた組織もあります。例えば、東京冷蔵倉庫協会は昭和48年6月に、東京冷凍業協同組合と東京冷凍事業協会から営業倉庫部門を分離して創立されました。当初、会員数87社でスタートし、協会内に運営、企画、料率、輸出入、荷役対策の5つの委員会を設けて業務を開始しました。
参考)東京冷蔵倉庫協会|協会の歴史
昭和48年当時の東京都内冷蔵能力は718千トン(131工場)で、入庫量は134万トンでしたが、10年後の昭和58年には能力が1,138千トン(163工場)、入庫量は213万トンと大幅に拡大しました。平成5年には協会創立20周年を迎え、会員数99社となるなど、冷蔵倉庫業界は日本の経済成長とともに発展してきました。
全国各地の地区協会は、北海道冷蔵倉庫協会、青森県冷凍事業協同組合、八戸冷凍事業協会、秋田県冷蔵協会、宮城県冷蔵倉庫協会など、各都道府県の地域特性に応じた活動を展開しています。近畿地方では、京滋冷蔵倉庫協会、大阪府冷蔵倉庫協会、兵庫県冷蔵倉庫協会、和歌山県冷蔵倉庫協会などが活動しており、建築業従事者が地域の冷蔵倉庫業界とつながる窓口となっています。
参考)地域別事業所会員名簿