社会インフラ一覧と種類、整備と維持管理の重要性

社会インフラ一覧と種類、整備と維持管理の重要性

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社会インフラ一覧と種類

社会インフラの主要分類
5大インフラ

電気・水道・ガス・通信・交通が社会の基盤を構成

🏗️
物理インフラ

道路・橋梁・トンネル・ダムなどの建設構造物

🏥
生活施設

病院・学校・公園など地域社会を支える公共施設

社会インフラとは、社会が機能するために必要な基盤や設備を指し、私たちの生活や経済活動を根幹から支える重要な役割を担っています。社会インフラの代表的な種類として、電気・水道・ガス・通信・交通の5大インフラがあげられます。これらは人々の暮らしを支える基盤として長年にわたり維持・更新されてきました。道路法で定める道路には、高速自動車道、一般国道、都道府県道、市町村道の4種類があり、それぞれが全国的または地方的な幹線道路網を構成しています。
参考)https://www.mirait-one.com/miraiz/whatsnew/trend-data_0048.html

社会インフラにおける5大インフラの構成要素

5大インフラは社会の基盤を形成する最も重要な要素です。電気インフラには発電所、変電所、送電設備、配電設備などが含まれ、電力を安定的に供給するための基盤となっています。水道インフラは浄水場、給水所、排水管、ポンプ場などで構成され、安全な水の供給を担います。ガスインフラにはLPガス備蓄基地、充填所、輸入基地、ガス導管、ガスメーターなどがあり、クリーンエネルギーとしての都市ガスやLPガスを提供しています。
参考)https://rikeinavi.com/guide/industry_i01

通信インフラはモバイル基地局、光通信網、局内設備などから構成され、現代社会における情報伝達の重要な役割を果たしています。交通インフラには道路、高速道路、港湾、空港、鉄道、バスなどが含まれ、人や物の移動を支える基盤となっています。これらのインフラは日常生活に欠かせないサービスを提供しているため、需要が常に存在し、特に災害時でも早急に復旧が求められる公共性の高い仕事です。
参考)https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/types-of-infrastructure

社会インフラの道路種類と管理体制

道路は社会インフラの基本として、単なる人と物の移動にとどまらず、社会・経済・生活・文化の発展に寄与した交通のネットワークと言えます。道路法で定められる道路は4種類に分類され、高速自動車道は全国的な自動車交通網の基幹部分を構成し、一般国道は高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成します。都道府県道は地方的な幹線道路網を構成し、市町村道は市町村の域内にある道路として機能しています。
参考)https://www.techeyesonline.com/article/tech-eyes/detail/TechnologyTrends-2303/

各道路には管理責任者と費用負担者が明確に定義されており、直轄国道は主に路線番号が1桁から2桁の路線が該当します。道路の構造は複数の層で構成され、最下層の路床は道路全体を支える土台の役割があり、主に砂が使用されて通常1mほどの厚さとなっています。路盤は上層路盤と下層路盤で構成され、粉砕した岩石や選別された砕石が使用されます。表層は道路面の層として車両の通行に直接影響し、平坦性、摩擦抵抗、耐久性、排水性などが考慮されたアスファルトやコンクリートが使用されています。​

社会インフラにおける水道と下水道の役割

上下水道は人々の生活にとって基礎的なインフラであり、川から水を取水し綺麗にした上で地域にポンプで配水し、使用後の水を下水処理場で微生物によって綺麗にして川や海に放流するプロセスで管理されています。上水道は供給先の人口規模によって分類され、5,000人以上を対象とする水道を上水道、5,000人未満を対象とする水道を簡易水道といいます。上水は安全性を確保するため、水源から引いた水にろ過や消毒といった処理を施し、徹底的な管理の下で供給されており、私たちの健康に直結する問題であることから厚生労働省が管轄しています。
参考)https://newsmedia.otemon.ac.jp/3757/

下水道は雨水や生活排水、産業排水を集めて下水処理場に送り、きれいな水にした上で河川や海に戻すためのインフラであり、国土交通省が管轄しています。下水処理場では下水に含まれる汚物が沈殿・ろ過によって除去され、さらに消毒された上で海や川に流されます。これは環境保護のためにも極めて重要な工程です。水道は誰しも当たり前のように利用している公共サービスであり、概ね日本では自治体が運営・供給を担っています。老朽化が進む日本の水道設備において、持続的な公共インフラを維持するには社会全体の利益を考えた行動が求められています。
参考)https://www.sawada-construction.jp/blog/column/147522

社会インフラの生活施設と公共空間

広義のインフラには、道路や鉄道、水道、通信といった公共性が強く国や自治体などが整備するものが含まれ、その中でも道路や鉄道、港湾などは社会インフラ、公園や学校などは生活インフラとも呼ばれます。社会インフラの定義には医療施設としての病院、教育施設としての学校、治安を守る警察、公共施設としての公園、公会堂、図書館、公営住宅なども含まれます。都市の施設・インフラとして都市計画法では、公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地、水道、電気供給施設、ガス供給施設、病院、保育所その他の医療施設または社会福祉施設、市場、と畜場または火葬場などが定義されています。
参考)https://www.n-drain.co.jp/column/content/1158

防災公園は都市公園の中でも地方公共団体の地域防災計画に基づいて整備される公園として特別な役割を果たします。備蓄倉庫や耐震性貯水槽、テント用地などを備え、災害時には避難地や救援物資の中継地としての役割を担います。防災公園の整備は地域住民の安全確保と意識向上に貢献し、備蓄倉庫や耐震性貯水槽、災害用トイレなどが備えられていることで避難者の生存率が高まります。また、オープンスペースである公園は火災時の延焼を防ぐ緩衝地帯としての役割も果たし、防災訓練の場としても使いやすく地域の防災意識を高める上で有効な拠点となっています。
参考)https://jkpi.jvckenwood.com/mediasite/025/

社会インフラの建設業における独自の視点と責任

建設業界の土木分野は道路、上下水道、堤防、鉄道、空港、港湾といったあらゆるインフラを対象に、計画から施工、維持管理までを一貫して担っています。その範囲は非常に広く、同時に専門性の高い領域でもあります。一つの道路工事には地質調査、排水設計、舗装技術、交通量のシミュレーションなど複数の専門知識が要求され、現場での施工管理や安全管理に加え、近隣住民への配慮や環境負荷への対応など多くの判断と調整が求められます。建設業は地域のインフラ整備等の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として国民生活や経済活動を支える重要な役割を果たしています。
参考)https://ssf-hd.com/school/column/842/

社会インフラの整備は老朽化への対策はもちろん、設備・施設を安心・安全に使用するためにも欠かせません。道路や橋が安全であることで交通事故のリスクが低減し、水道や下水道が適切に機能することで清潔な生活を支えます。インフラの整備は産業活動の効率や競争力を向上させる重要な要素でもあり、物流の効率化には道路や港湾の整備が不可欠です。通信インフラの拡充により、ビジネスのデジタル化や遠隔地との連携がスムーズに行われるようになります。建設業界が担う社会基盤の整備には社会の持続性、地域の安全、そして未来の暮らしへの責任が詰まっています。
参考)https://www.oki.com/jp/showroom/virtual/column/c-10.html

インフラの5大分類と具体的な維持管理方法について詳細解説 - ミライト・ワン
道路の法令と構造、管理体制の技術的詳細 - Tech Eyes Online
上水道・中水道・下水道の技術的分類と処理方法 - 澤田建設

社会インフラ維持管理の課題と対策

社会インフラが直面する3つの課題
📉
財源不足

維持管理費はピーク時の約半分、予算削減が続く

老朽化の加速

2040年には道路橋の75%が建設後50年超に

👷
人材不足

技術系職員が5名以下の市町村が全体の半数近く

社会インフラの老朽化が問題になっている背景として、その維持管理に必要な財源の不足、そして技術系職員の減少などが挙げられます。日本の社会インフラの多くは高度経済成長期以降に整備され、インフラの耐用年数は一般的に約50年と言われています。2040年時点では道路橋の約75%、河川管理施設の約65%、港湾施設の約68%が建設から50年以上が経過する見込みであり、今後耐用年数を過ぎたインフラ施設が多くなると予測されています。今後20年間で建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みであり、このように一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められています。
参考)https://www.mirait-one.com/miraiz/whatsnew/trend-data_0040.html

社会インフラにおける財源不足の実態

少子高齢化や人口減少が進む日本において、社会インフラの維持管理のために財源を増加させることは難しい状況です。社会インフラの維持管理費にあてられる財源は1993年度の約11.5兆円をピークとして減少してきました。現在はピーク時に対して約半分の予算で対応しており、財源を増加させるのではなく、できる限り維持管理における支出を抑えようという方向で検討されています。社会資本の多くは市区町村が管理しており、その維持や管理業務を担う技術職員が不足している点も深刻な課題としてあげられます。
参考)https://jkpi.jvckenwood.com/mediasite/020/

自治体で財源(土木費)が減少していることもインフラの維持に関する重要な課題です。災害の頻発化など状況の変化を踏まえると、従来の「古くなった施設から順番に補修する方法」は限界が近づいており、人手不足の中でのインフラ維持やメンテナンスの最適化が重要な課題と言えます。社会インフラの維持・管理が煩雑化する一方で、自治体における人手不足は深刻な問題となっています。
参考)https://www.glavis-hd.com/social_problem/000179/

社会インフラの技術系職員減少問題

財源が不足する一方、その管理を担う地方自治体で技術系職員が減少していることも課題となっています。たとえ財源不足が解消されても、作業に当たる技術系職員の数が十分でなければ維持管理は困難です。技術系職員が5名以下という市町村は全体の半数近くを占めており、施設管理者の技術力向上、そして業務の効率化に向けた対応が検討されています。自治体では社会インフラの維持・管理を担当する職員の減少が目立ち、特に技術系職員がいない市町村の割合は全体の約3割にものぼります。​
社会インフラに対するニーズが多様化していることで、インフラ管理の部署単体でのメンテナンスが難しくなっているケースもあります。設備の老朽化が深刻化していることに加え、技術系職員数の減少や高齢化が進んでいることが、インフラの維持に関する主要な課題となっています。インフラの維持管理は緊急性が高い一方で、人手と予算が不足している構造的な問題を抱えており、限られた人員で膨大な数のインフラを維持管理していくためには業務の効率化が不可欠です。
参考)https://www.fujifilm.com/jp/ja/business/inspection/infraservice/hibimikke/column/topics/aging-infrastructure

社会インフラのDX技術による課題解決

社会インフラを取り巻く課題の解決方法として、国土交通省は「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」を設置して、インフラ分野のDX実現を推進しています。インフラDXとは、通信・交通・上下水道・農業など生活に必要不可欠な社会基盤にデジタル技術を導入し、維持・管理・改善を実現する取り組みです。従来の人手中心の作業では対応しきれなかった課題に対し、AI、IoT、衛星データなどのデジタル技術を活用することでスピードと精度を高めることができます。
参考)https://dxpo.jp/college/back/smart-agri-autonomous-tractor-2025.html

具体的な技術例として、ドローン型基地局による非常時や緊急時の通信復旧、AIによる水道管老朽状況の予測と検知、自動運転など交通サービスによる生活の維持、衛星データによる農地の状態把握と収穫予測などがあります。これらは単なる技術導入ではなく、地域の安全性やコスト削減、人員不足などの課題解決に繋がる持続可能性を高める未来への投資と言えます。i-Constructionの取り組みにおけるBIM/CIMの導入、AIによるインフラ設備の劣化診断、ウェアラブルデバイスによる遠隔作業支援、ドローンによるインフラ設備点検、クラウドサービスを活用したインフラ設備の遠隔監視、センサーで自然災害の状況をリアルタイムで検知するなど、インフラの維持を支える技術革新が進んでいます。​

社会インフラの予防保全型メンテナンス

老朽化の進行に伴う防災インフラの災害耐力の低下は被害の拡大に直結するため、防災・減災対策と老朽化対策の一体的推進や地域インフラ群再生戦略が重要です。予防保全型メンテナンスへの本格転換など、防災インフラ(河川・ダム、砂防・治山、海岸等)の充実・強化を図り、予防保全により適切に維持管理することが求められています。都市インフラのDX化では、IoT技術を活用して橋梁や道路にセンサーを設置し、劣化状況や異常をリアルタイムでモニタリングすることで迅速なメンテナンスや災害時のリスク軽減が可能になります。
参考)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokudo_kyoujinka/kaisai/dai22/siryou2.pdf

AIによる交通データの分析を通じて渋滞を予測し、信号システムを自動調整することで都市全体の交通効率が向上するという分析結果も浮上しています。ビッグデータ解析を活用して過去の気象データや災害履歴を基に防災計画や避難シミュレーションを最適化し、災害リスクの低減と安全性の向上も期待できます。クラウド技術を用いることで都市データの一元管理と共有が可能となり、行政、住民、企業が必要な情報をリアルタイムで活用できる基盤が整備されます。
参考)https://www.metro-ec.co.jp/blog/250127-1/

社会インフラの防災・減災における重要性

災害から国民の命と暮らしを守るため、災害リスクに対する脆弱性を克服し、激甚化・頻発化する災害や切迫する大規模地震に立ち向かうため、行政機関、民間企業、国民が一体となった取り組みが必要です。災害時には電気、ガス、水道、通信手段などの社会インフラが寸断されます。このうち電気は発電機・電池、ガスはガスボンベ、水道は貯水などで家庭レベルの代替手段がありますが、通信手段は代替が困難であり災害時における社会インフラとしての通信インフラの重要性が特に高いとされています。
参考)https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r02/hakusho/r03/html/n1312000.html

道路や橋梁、トンネル、堤防などのインフラが災害時に担う役割は極めて重要であり、防災減災に貢献する建設業の責任は大きいものです。防災インフラとは、単に堤防や避難所といった建造物のことではなく、災害による被害を防ぎ暮らしを守るための社会全体のしくみを指します。2024年1月の能登地震で道路や水道などの社会インフラが損傷し生活が困難な状態となったニュースは記憶に新しく、普段はその存在をあまり感じないかもしれませんが、機能が止まって初めてその有難みを強く感じるのが社会インフラです。
参考)https://www.josai.ac.jp/josai_lab/1118/

国土交通省による社会インフラ維持管理の現状と課題の詳細資料
インフラDXの具体的な取り組み事例と技術解説 - ミライト・ワン
防災インフラ強靭化対策の具体例と実装方法