板状錆びと外壁塗装の予防対策と処理方法

板状錆びと外壁塗装の予防対策と処理方法

記事内に広告を含む場合があります。

板状錆びと外壁塗装の対策

板状錆びと外壁塗装の基本知識
🏠
錆びの種類

外壁に発生する錆びには赤錆びと白錆びの2種類があり、それぞれ対処法が異なります

🔍
発生原因

鉄部への水分付着、外壁の傷や凹み、潮風の影響などが主な原因です

🛠️
対策方法

定期的な点検・清掃、適切な下地処理、防錆塗料の使用が効果的です

板状錆びの種類と外壁への影響

外壁に発生する板状錆びには、主に「赤錆び」と「白錆び」の2種類があります。これらは見た目だけでなく、発生メカニズムや対処法も異なります。

 

赤錆び(赤サビ)は、鉄部が水や空気に触れて表面が酸化することで発生する酸化物です。一般的に「錆び」と言えば、この赤錆びを指すことが多いでしょう。赤錆びは進行が速く、放置すると外壁に穴が開いて雨水が侵入し、雨漏りの原因となります。さらに、柱や梁などの構造躯体の腐食やシロアリの発生など、建物に重大な被害をもたらす恐れがあります。

 

白錆び(白サビ)は、アルミニウムや亜鉛の表面に見られることが多い錆びで、亜鉛めっきの表面が空気中で酸化して発生するチョークの粉のような粉末状の錆びです。トタンやガルバリウム鋼板などの金属製外装材に発生します。白錆びが発生することは、表面の塗膜が剥がれてメッキ層が露出していることを意味しており、放置すると赤錆びに進行する可能性があります。

 

板状錆びが外壁に与える影響は以下のとおりです。

  • 美観の損失:錆びは外壁の見た目を著しく損ない、建物全体の印象を悪くします
  • 構造的な弱体化:錆びが進行すると金属部分が腐食し、強度が低下します
  • 雨漏りのリスク:錆びによって穴が開くと、雨水が内部に侵入する原因となります
  • 修繕コストの増加:早期に対処しないと、より大規模な修繕が必要になります

板状錆びが発生する主な原因と場所

外壁に板状錆びが発生する主な原因は以下のとおりです。
1. 鉄部への水分付着
新しく塗装された外壁は、塗料の防水効果によって錆びが発生しにくい状態が維持されています。しかし、時間の経過とともに防水効果は弱まり、雨が外壁に染み込みやすくなります。鉄部に水が到達すると、鉄は酸化して錆びが発生しやすくなります。また、すでに錆びが発生している部分に雨水が付着すると、雨水とともに錆びも広がってしまう可能性があります。

 

2. 外壁の傷や凹み
金属製外壁の擦り傷や凹みなどを放置しておくと、劣化が進行してそこから錆びが発生することがあります。金属製の外壁材は衝撃によって傷がつきやすい素材なので、注意が必要です。

 

3. もらい錆び
建物の近くに工場や鉄道の線路があったり、外壁近くに自転車が置いてあったりすると、鉄粉が風で運ばれてきて外壁に付着し、もらい錆びが発生することがあります。また、雨樋の金具やベランダの手すり、窓枠、シャッターなどに発生した錆びが外壁に付着してもらい錆びが発生することもあります。

 

4. 潮風の影響
潮風の影響を受ける海沿いの建物では、酸性雨や潮風に含まれている塩分によって金属製外壁材に錆びが発生することがあります。特に海岸沿いの地域では、ガルバリウム鋼板の錆びはメーカーの保証対象外となっていることが多いため注意が必要です。

 

板状錆びが発生しやすい場所:

  • 雨樋や軒先:雨水が集まりやすく、湿気が長時間残りやすい場所
  • 窓枠周辺:結露が発生しやすく、水分が金属部分に付着しやすい
  • 外壁の継ぎ目:水が侵入しやすく、金属部分が露出している場合がある
  • 北側の外壁:日当たりが悪く、湿気が乾きにくい
  • 軒下や庇の下:雨が当たらず、チリやホコリが堆積しやすい場所(特に白錆びが発生しやすい)

板状錆びの効果的な予防方法と定期点検

板状錆びを予防するためには、以下の方法が効果的です。
1. 定期的な清掃と点検
年に1〜2回程度、外壁を水洗いすることで、チリやホコリ、汚れを洗い流し、錆びの発生を予防できます。特に潮風の影響を受けやすい地域や酸性雨が降るような地域では、水洗いの頻度を増やすことをおすすめします。

 

清掃時のポイント。

  • 柔らかいブラシや布を使用し、強くこすらない
  • 中性洗剤を使用し、研磨剤入りの洗剤は避ける
  • 洗浄後はしっかりと水で流し、乾燥させる

2. 傷や凹みの早期修復
外壁に傷や凹みを見つけたら、早めに修復することが大切です。小さな傷でも放置すると、そこから錆びが発生する原因となります。

 

3. 適切な塗装と塗り替え
外壁塗装は一般的に5〜10年ごとに塗り替えが必要です。塗膜が劣化すると防水性が低下し、錆びが発生しやすくなります。定期的な塗り替えで外壁を保護しましょう。

 

4. もらい錆び対策
錆びている自転車や金属製品などを外壁近くに置かないようにしましょう。また、雨樋の金具やベランダの手すりなどにサビが出ている場合には、錆び止め塗料を塗るなどの対策を早めに行いましょう。

 

5. 白錆び対策
白錆びは軒下や庇の下など、普段雨の当たらない箇所で多く見られます。定期的に水道水で外壁に付着したチリやホコリを洗い流すことが効果的です。

 

定期点検のチェックポイント:

点検箇所 チェック内容 頻度
外壁全体 塗膜の剥がれ、ひび割れ、変色 年2回(春・秋)
金属部分 錆びの発生、塗装の劣化 年2回(春・秋)
継ぎ目・シーリング 劣化、ひび割れ、剥がれ 年2回(春・秋)
雨樋・軒先 詰まり、錆び、破損 年4回(季節の変わり目)
窓枠周辺 結露、水滴の跡、錆び 月1回

定期点検で早期に問題を発見することで、小さな修繕で済ませることができ、大きな修繕費用を抑えることができます。

 

板状錆びの適切な処理方法と塗装技術

すでに発生してしまった板状錆びに対しては、適切な処理方法と塗装技術が重要です。以下に、錆びの種類別の処理方法と塗装技術について解説します。

 

赤錆びの処理方法:

  1. ケレン作業(下地調整)

    錆びを完全に除去するために、ワイヤーブラシやサンドペーパー、電動工具などを使用して錆びを落とします。ケレン作業のレベルは以下の4段階があります。

     

    • 1種ケレン:ブラスト処理で完全に錆びを除去(最も高品質)
    • 2種ケレン:動力工具を使用して錆びをほぼ除去
    • 3種ケレン:手工具を使用して浮いた錆びを除去
    • 4種ケレン:ワイヤーブラシなどで軽く錆びを落とす(最も簡易的)
  2. 錆び止め塗料の塗布

    錆びを除去した後、錆び止め塗料を塗布します。錆び止め塗料には以下の種類があります。

     

    • 油性タイプ:乾燥時間は長いが、扱いやすく一般的
    • エポキシ樹脂タイプ:素地への密着力が高く、錆びに強い
    • 錆転換型:錆びを化学的に安定した状態に変える
  3. 中塗り・上塗り

    錆び止め塗料の上に中塗りと上塗りを行います。これにより、錆び止め塗料自体も保護され、錆び以外の劣化からも鉄部を守ることができます。

     

白錆びの処理方法:

  1. 洗浄

    中性洗剤や専用の洗浄剤を使用して、白錆びを洗い流します。

     

  2. 研磨

    軽度の白錆びの場合は、細かいサンドペーパーで優しく研磨します。

     

  3. 防錆処理

    白錆びが発生した部分に防錆処理を施します。

     

  4. 塗装

    適切な塗料で塗装し、再発を防止します。

     

効果的な塗装技術:

  1. 3回塗り

    外壁・屋根の塗装は、基本的に塗料を3回重ね塗りして仕上げます。

     

    • 1回目:下塗り(錆び止め塗料)
    • 2回目:中塗り
    • 3回目:上塗り
  2. 適切な塗料の選択

    環境や用途に応じた適切な塗料を選択することが重要です。

     

    • 屋内使用:低臭で作業環境に優しい水性塗料
    • 屋外使用または厳しい条件下:耐久性と耐候性が求められる油性塗料
  3. 厚みや塗膜の適切な管理

    塗膜の厚みが不均一だと、塗膜の剥がれや耐久性の低下を引き起こす可能性があります。製品ごとの推奨される塗膜厚を守ることが重要です。

     

  4. 塗り方や乾燥時間のコントロール

    塗料の乾燥速度や硬化特性は、気温や湿度によって大きく異なることがあります。適切な塗り方と乾燥時間の管理によって、塗膜の均一性や接着力、耐久性を確保できます。

     

塗装の厚みや乾燥時間の管理に関する詳細情報

板状錆びと環境要因の関係性と対策

板状錆びの発生と進行には、建物が置かれている環境要因が大きく影響します。環境要因を理解し、適切な対策を講じることで、錆びの発生を効果的に予防できます。

 

1. 海岸近くの塩害環境
海岸から約5km以内の地域では、潮風に含まれる塩分が金属部分に付着し、錆びの発生を促進します。塩分は金属の腐食を加速させる電解質として作用するため、海岸近くの建物は特に注意が必要です。

 

対策。

  • 耐塩害仕様の塗料を使用する
  • 塗膜の厚みを通常より厚くする
  • 洗浄頻度を増やし、塩分を定期的に洗い流す
  • 金属部分には防錆処理を徹底する
  • 定期的な点検と早期メンテナンスを行う

2. 工業地帯の大気汚染
工場や交通量の多い道路の近くでは、大気中の硫黄酸化物や窒素酸化物などの汚染物質が雨に溶け込み、酸性雨となって金属を腐食させることがあります。

 

対策。

  • 耐酸性の高い塗料を選択する
  • 定期的な洗浄で汚染物質を除去する
  • 防錆処理を徹底する
  • 塗り替え周期を短くする

3. 高湿度環境
湿度の高い地域や、建物の構造上湿気がこもりやすい場所では、錆びが発生しやすくなります。特に日本の梅雨時期や、北側の日当たりの悪い場所では注意が必要です。

 

対策。

  • 通気性を確保し、湿気がこもらないようにする
  • 防湿・防水性能の高い塗料を使用する
  • 結露が発生しやすい場所は特に注意して点検する
  • 除湿器の使用や換気を心がける

4. 温度変化の激しい環境
昼夜の温度差が大きい地域や、季節による温度変化が激しい地域では、金属の膨張と収縮が繰り返され、塗膜にひび割れが生じやすくなります。これにより水分が侵入し、錆びの原因となります。