不同沈下 基礎補強 工法 費用 地耐力 地盤調査 施工注意点

不同沈下は建物の一部だけが不均一に沈む現象で、基礎や構造体に深刻なダメージを与えます。補強工法には「アンダーピニング工法」「耐圧版工法」「土台上げ工法」「薬液注入工法」などがあり、それぞれの特徴と適用条件を理解することが重要です。

• アンダーピニング工法：基礎下を掘削し、強固な支持地盤まで杭を打つ。再沈下リスクが低く、狭小地にも対応可能ですが、地盤が強くなければ施工不可。
• 耐圧版工法：浅層の地盤に耐圧版を設置し、油圧ジャッキで建物を持ち上げる。低コストで短工期ですが、地盤が極端に弱い場合は不向き。
• 土台上げ工法：基礎のアンカーボルトを外し、上層部のみに新たなアンカーを設置。簡易で低予算ですが、深部の地盤には対応できず再沈下リスクあり。
• 薬液注入工法：地盤に薬液を注入し硬化させる。騒音や振動が少なく、生活しながら施工可能。薬液の性質によっては地盤と馴染まないことも。

これらの工法は現場調査と地盤状況により適切に選定する必要があります。
各工法の詳細と選定基準について詳しく解説

基礎補強には「増し打ち基礎」「抱き基礎」「添え基礎」「ツイン基礎」「ベタ基礎補強」など多様な工法があります。

• 増し打ち基礎・ツイン基礎：既存基礎に新たな基礎を増設し、鉄筋やアンカーで一体化。地盤の状態により推奨される。
• ベタ基礎補強：地盤が良好な場合に有効。底面と立上り部の両方を補強しなければ意味がなく、軟弱地盤では過剰荷重となるリスク。

費用は工法や建物規模によって異なり、表層改良（約40万円）、柱状改良（約80万円）、砕石パイル（約100万円）、小口鋼管杭（約130万円）が目安です。
基礎補強の工法ごとの費用と特徴

不同沈下対策の第一歩は、正確な地盤調査と地耐力測定です。

• 地盤調査（ボーリング調査、土質試験など）で地盤の性質や強度を把握。
• 地耐力が基準値（例：布基礎30kN/㎡、ベタ基礎20kN/㎡）を下回る場合、補強が必須。
• 支持力不足や地盤の不均質が不同沈下の主因となるため、調査結果に基づいた工法選定が不可欠。

地盤調査を怠ると、補強工事後の再沈下や構造事故のリスクが高まります。
地盤調査・地耐力測定の用語解説

不同沈下補強工事では、設計・施工の不備が事故や再沈下の原因となります。

• 補強体下部地盤の強度バランスが悪い場合、補強体のみでは支持できず再沈下リスクが高い。
• 設計段階で地盤の支持力向上と不同沈下抑制を分けて検討することが重要。
• 施工不良（固化材の未混合、杭長不足、アンカー不良など）は不同沈下の再発を招く。
• 実績豊富な施工会社の選定と、現場ごとの適切な工法選択が不可欠。

失敗事例としては、地盤の強度バランスを無視した補強や、既存基礎との緊結不良による構造的な弱点が挙げられます。
設計・施工不良による不同沈下事故の原因と対策

近年注目されているのが、発泡樹脂盤を用いた軽量基礎補強や、免震性を高める複合補強技術です。

• 発泡樹脂盤を基礎下に敷設し、コンクリートで一体化することで、短工期・低コスト・耐震性向上を実現。
• 従来の重いコンクリート基礎に比べ、地盤への負担を軽減し再沈下リスクも低減。
• 免震性を考慮した補強設計が、今後の住宅耐震・長寿命化に寄与。

こうした新技術は、現場の状況や建物用途に応じて柔軟に活用でき、従来工法との併用も有効です。
発泡樹脂盤を用いた基礎補強の特許・技術解説