家具用コンセント開口寸法一覧と取付施工方法

家具用コンセント開口寸法一覧

家具用コンセント1口タイプ開口寸法

家具用コンセントの1口タイプは、省スペースでの電源確保に最適な配線器具です。各メーカーによって開口寸法が異なるため、正確な寸法把握が施工成功の鍵となります。

 

主要メーカー別1口タイプ開口寸法：

• ekrea製1口家具用コンセント：取付穴開口寸法 W46×H15mm
• パナソニック扉付和室コンセント：取付穴寸法 55mm×（15～18mm）
• 神保電器1口用：73×26mm

ekrea製の1口家具用コンセントは、スライドカバー付きでホコリや湿気の侵入を防ぐ機能を備えています。サイズはW52×D20（つば下15mm）×H22と非常にコンパクトで、最大使用電力1200Wまで対応可能です。VFFコード2000mmが標準装備されており、ホワイト、ブラック、ブラウンの3色展開で家具の色調に合わせた選択が可能です。

 

パナソニック製の扉付和室コンセントは、特に和室や造営材への組み込みを想定した設計となっており、取付穴寸法の幅に15～18mmの可変性を持たせています。これにより、材料の厚みに応じた調整が可能で、施工時の自由度が高くなっています。

 

神保電器の1口用は、はさみ金具を使用した施工方法に対応しており、壁厚6～18mm対応のBHP-18はさみ金具との組み合わせで確実な固定が実現できます。取付ねじピッチは65.5mmで、タッピングねじ（呼び径φ3.5～φ4）または木ねじ（呼び径φ3.5～φ4.1）での固定が推奨されています。

 

家具用コンセント2口タイプ開口寸法

家具用コンセントの2口タイプは、複数の電気機器を同時に使用する場合に重宝する配線器具です。デスクやキッチンカウンターなど、使用頻度の高い場所での設置が一般的です。

 

主要メーカー別2口タイプ開口寸法：

• 神保電器2口用：115×26mm
• パナソニック家具用ミニダブルコンセント：定格15A 125V
• モノタロウ家具用ミニダブルコンセント：2P 15A 125V

神保電器の2口用配線器具は、取付ねじピッチ110.5mmで設計されており、1口用と同様にはさみ金具による施工が可能です。開口寸法115×26mmは、標準的な2口コンセントとして広く採用されている寸法で、多くの家具メーカーが対応している規格です。

 

パナソニックの家具用ミニダブルコンセントは、WF2039W（ミルキーホワイト）とWF2039AK（チョコ）の2色展開で、希望小売価格1,200円（税抜）となっています。定格は15A 125Vで、1.25m㎡コードを使用する場合はコンセント1000Wまでの制限があります。この制限は安全性を考慮したもので、コードの許容電流を超えないよう設計されています。

 

施工時の注意点として、コードには棒型圧着端子（WV2500）またはWV2500相当品の使用が必須です。より線をハンダで仕上げることは発熱の原因となるため絶対に禁止されており、安全な電気工事のための重要な規定となっています。

 

家具用コンセント3口タイプ開口寸法

家具用コンセントの3口タイプは、大容量の電源供給が必要な場所や、多くの電気機器を同時使用する環境で重要な役割を果たします。オフィス家具やAV機器収納家具での採用が多く見られます。

 

神保電器3口用開口寸法：

• 開口寸法：157×26mm
• 取付ねじピッチ：155.5mm
• 適用はさみ金具：BHP-18（壁厚6～18mm対応）

神保電器の3口用配線器具は、NKシリーズの一部として設計されており、JIS規格適合ボックスに対応しています。ボックス工事とボックスレス工事の両方に対応可能で、施工方法の選択肢が豊富です。

 

3口タイプの特徴として、電力容量の大きさが挙げられます。各口が独立して15A対応している場合が多く、合計で相当な電力供給が可能です。ただし、配線の容量や分電盤の回路容量との整合性を必ず確認する必要があります。

 

ルーター加工を行う場合は、Φ30のルーターの使用が推奨されており、その他の加工方法では角部をR3以下に仕上げることが規定されています。これは安全性と美観の両面から重要な仕様です。

 

取付時には、器具表面に水滴、ゴミ・ホコリが付着しないよう注意が必要で、直接水のかかる所への取り付けは避けなければなりません。また、指定された電線以外の使用は発熱や接触不良の原因となるため、必ず適合する電線を選択することが重要です。

 

家具用コンセント施工時の注意点

家具用コンセントの施工では、安全性と機能性を両立するための重要な注意点があります。適切な施工により、長期間の安全使用が保証されます。

 

電線選択の重要性：
適用電線として、JIS C 3306ビニルコード平形（VFF）1.25m㎡、2.0m㎡、およびJIS C 3342 600Vビニルシースケーブル（VVF）Φ1.6、Φ2.0が規定されています。VFF1.25m㎡を使用する場合は、コードの許容電流より12Aまでの使用制限があります。

 

結線方法の注意事項：

• コード使用時は棒型圧着端子（WV2500）または相当品を必ず使用
• コードの心線をそのまま使用することは禁止
• より線のハンダ仕上げは発熱原因となるため絶対禁止
• 絶縁被覆付棒型圧着端子は別途調達が必要

コード支持固定の重要性：
コードを使用する場合は、端子部に直接力が加わらないようコード張力止めの実施が必須です。これにより、日常使用時の物理的ストレスから端子部を保護し、接続不良や断線を防止できます。

 

施工環境の制限：
器具は直接水のかかる所には取り付けできません。湿度の高い環境では結露による故障リスクがあるため、設置場所の環境条件を十分に検討する必要があります。また、石膏ボードなどねじの効かない場所への取り付けは器具の脱落リスクがあるため避けなければなりません。

 

フルカラーパイロットスイッチの特記事項：
使用する負荷電流により内蔵LEDの明るさが変動する特性があります。過負荷使用は発熱の原因となり、負荷短絡時は器具が再使用不可となるため、定格内での使用を厳守することが重要です。

 

家具用コンセント開口加工の独自ポイント

家具用コンセントの開口加工では、一般的な電気工事とは異なる特有の技術的配慮が必要です。家具材料の特性を理解した加工方法により、美観と機能性を両立できます。

 

材質別加工の最適化：

• 木質系材料：繊維方向を考慮したドリル加工順序の設定
• 樹脂系材料：熱変形を防ぐ低速加工の実施
• 金属系材料：バリ除去と防錆処理の徹底

木質系材料での加工では、繊維の逆目による欠けを防ぐため、表面側から約2/3まで加工後、裏面から貫通させる二段階加工が効果的です。特に化粧板が貼られた材料では、表面の仕上げ材を傷つけないよう細心の注意が必要です。

 

ルーター加工の技術的詳細：
Φ30ルーターを使用する際は、回転数を材料に応じて調整することが重要です。硬質材料では低回転で送り速度を落とし、軟質材料では高回転で素早く加工することで、切削面の品質向上が図れます。

 

角部仕上げの美観配慮：
角部R3以下の仕上げ規定は安全性だけでなく、コンセントプレートとの密着性向上にも寄与します。手作業でのヤスリ仕上げの場合、#240から#400の順でペーパー番手を上げることで、滑らかな仕上がりが得られます。

 

加工精度の品質管理：
開口寸法の許容差は一般的に±0.5mmが適切とされていますが、高級家具では±0.2mm以内の精度が求められる場合があります。測定は加工完了後の室温安定時に実施し、材料の熱膨張による誤差を排除することが重要です。

 

特殊加工への対応：
曲面加工や斜め加工が必要な場合は、専用治具の製作が効果的です。特に円弧状の家具への組み込みでは、コンセント本体の角度調整機能の有無を事前確認し、必要に応じて角度調整可能な機種を選定することで、施工効率の向上が図れます。