許容電流と CVT ケーブルの建築業選定基準

許容電流と CVT ケーブルの建築業選定基準

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許容電流と CVT ケーブル設計基準

CVT ケーブルの許容電流設計要素
基本許容電流値

600V・3300V・6600V 各規格の標準許容電流

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温度補正係数

周囲温度による許容電流の補正計算

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建築現場選定

安全率を考慮した実用的ケーブル選定

許容電流の CVT ケーブル基本仕様

CVT(トリプレックス)ケーブルは、JIS 規格に準拠した単心 CV ケーブル 3 本をより合わせた構造を持ち、建築業界で幅広く使用される重要な電力ケーブルです。介在物がないため軽量で、同サイズの 3 芯ケーブルと比較して許容電流が大きく取れる特長があります。
参考)CVTケーブルの許容電流|CVTケーブル比較サイト|橋本興産…

 

600V CVT ケーブルの標準許容電流(周囲温度 40℃)は、8 SQ で 62A、14 SQ で 86A、22 SQ で 110A、38 SQ で 155A、60 SQ で 210A、100 SQ で 290A、150 SQ で 380A、200 SQ で 465A と設定されています。建築現場における配線設計では、これらの基本値を基準として電流負荷を算定します。
参考)CVTケーブルの概要・用途と許容電流

 

CVT ケーブルの構造上の特徴として、各芯線が別々にシース保護されているため、1 線地絡事故が発生した場合でも線間短絡への波及・移行が起こりにくく、建築設備の安全性向上に寄与しています。この特性により、商業施設や工場などの重要な建築物における電気設備で採用されることが多くなっています。

許容電流計算の CVT 設計手法

建築業における CVT ケーブルの許容電流計算では、基底温度 40℃、導体温度 90℃を標準条件とし、実際の設置環境に応じた補正が必要です。周囲温度が 40℃と異なる場合は、電流補正係数を乗じて許容電流を補正する必要があります。
参考)https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/jigyousya/technical_information/consultant/binran/etsuran/qgl8vl0000005eeh-att/sekkei04_03.pdf

 

高圧 CVT ケーブルの場合、3300V 仕様では 8 SQ で 69A、14 SQ で 95A、22 SQ で 120A、38 SQ で 170A の許容電流値が設定されています。6600V 仕様では、22 SQ で 120A、38 SQ で 170A、60 SQ で 225A、100 SQ で 310A となっており、電圧が高くなるほど絶縁性能の向上により許容電流も増加する傾向があります。
布設条件による影響も重要で、空中暗渠布設、直接埋設布設、管路引入れ布設によって許容電流値が変化します。建築設備設計では、ケーブルラックに 1 段積みで敷設する場合の低減率 0.7 を考慮し、実際の許容電流値を低減して計算することが求められます。
参考)http://www.eonet.ne.jp/~y-326/newpage3.htm

 

建築業 CVT 許容電流選定基準

建築現場での CVT ケーブル選定においては、計算で求めた必要電流値に対して安全率を見込むことが重要です。電動機負荷がある場合の幹線設計では、電動機定格電流の合計が 50A 以下の場合は 1.25 倍、50A を超える場合は 1.1 倍の係数を適用します。
配電用遮断器との組み合わせにおいて、CVT 8 SQ(62A)には 60A ブレーカー、14 SQ(86A)には 75A ブレーカー、22 SQ(110A)には 100A ブレーカー、38 SQ(155A)には 150A ブレーカーが標準的に使用されます。これらの組み合わせにより、過負荷保護と短絡保護の両面で安全性を確保できます。
参考)電線ケーブル選定(許容電流・ブレーカー容量早見表)

 

太陽光発電システムでの使用においては、太陽電池モジュールを並列接続する際に許容電流に十分な余裕を持たせた CVT ケーブルサイズの選定が必要です。40W 以上の太陽電池では 2 SQ の CV ケーブルが引き出し線として利用されることが多く、建築物の屋根設置型太陽光発電システムで重要な役割を果たしています。

高圧 CVT 許容電流と変流器設計

高圧受電設備における CVT ケーブルの許容電流設計では、変流器(CT)との連携が重要になります。変流器の定格電流は短絡電流に対する耐性を示す重要なパラメータで、1 秒間に耐えられる電流の限度値として表示されます。建築物の高圧受電設備では、この短絡電流値に基づいて CVT ケーブルの選定を行います。
参考)CT(変流器)・VT(計器用変成器)のワンポイントアドバイス…

 

6600V CVT ケーブルの許容電流は、250 SQ で 560A、325 SQ で 660A、400 SQ で 750A、500 SQ で 855A、600 SQ で 950A と大容量に対応しています。大規模建築物や工場施設では、これらの大容量 CVT ケーブルを用いて安定した電力供給システムを構築します。
変圧器保護用ヒューズとの組み合わせでは、変圧器の定格電流の 10 倍の励磁突入電流が 0.1 秒間継続することを想定し、この繰り返しに 100 回耐える設計が求められます。建築設備における高圧受電設備の設計では、これらの技術基準を満たす CVT ケーブルと保護機器の適切な組み合わせが必要です。
参考)https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/jigyousya/technical_information/consultant/binran/etsuran/qgl8vl0000005eeh-att/sekkei04_02.pdf

 

許容電流 CVT の建築現場効率化技術

建築現場における CVT ケーブルの効率的な活用では、端末処理の簡素化が大きなメリットとなります。3 芯 CV ケーブルと比較して、CVT ケーブルは各芯が独立してシース保護されているため、現場での接続作業が簡単で工期短縮に貢献します。
最新の建築プロジェクトでは、BIM(Building Information Modeling)を活用した電気設備設計において、CVT ケーブルの許容電流データをデジタル化し、3D モデル上で負荷計算と安全性検証を同時に実行する手法が採用されています。これにより、従来の 2D 図面による設計と比較して、ケーブル選定ミスを大幅に削減できるようになりました。

 

配管サイズとの適合性において、CVT 8 SQ は E 管・C 管で 39mm、G 管で 36mm の配管径が目安とされ、32%以下の占積率を維持することで放熱性能を確保します。建築現場での配管設計では、この占積率管理により CVT ケーブルの許容電流性能を最大限活用できる配線システムの構築が可能になります。