
一般構造用角形鋼管(STKR-400)は建築現場で最も使用頻度の高い角パイプです。正方形断面と長方形断面の両方が規格化されており、用途に応じた幅広い選択肢があります。
正方形断面STKR規格一覧
外寸(mm) | 肉厚(mm) | 単位質量(kg/m) | 用途 |
---|---|---|---|
40×40 | 1.6, 2.3 | 1.88, 2.62 | 軽量フレーム |
50×50 | 1.6, 2.3, 3.2 | 2.38, 3.34, 4.50 | 汎用構造材 |
60×60 | 1.6, 2.3, 3.2 | 2.88, 4.06, 5.50 | 中型構造物 |
75×75 | 1.6, 2.3, 3.2, 4.5 | 3.64, 5.14, 7.01, 9.55 | 重量構造物 |
100×100 | 2.3, 3.2, 4.5, 6.0, 9.0 | 6.95, 9.52, 13.1, 17.0, 24.1 | 大型建築物 |
長方形断面STKR規格例
STKRの許容応力度は引張り・圧縮・曲がりで15.7kN/cm²、ヤング率は2.1×10⁴kN/cm²となっており、構造計算における基準値として広く採用されています。
製造長さは通常4m、5.5m、6mが標準で、現場での取り回しやトラック輸送を考慮した設定となっています。特に5.5m材は一般的な建築現場で扱いやすく、コストパフォーマンスに優れているため推奨されます。
ステンレス角パイプ(SUS304)は耐食性と美観を兼ね備えた高品質材料として、食品工場や化学プラント、外装材に使用されています。表面処理の種類によって用途が大きく異なる点が特徴的です。
SUS304角パイプ規格寸法
外寸(mm) | 肉厚(mm) | 長さ | 表面処理 |
---|---|---|---|
10×10 | 0.8, 1.0, 1.2 | 4m | 未研磨、#400研磨 |
20×20 | 1.0, 1.2, 1.5, 2.0 | 4m | ヘアライン、#400研磨 |
25×25 | 1.2, 1.5, 2.0, 3.0 | 5m, 6m | 未研磨、酸洗品 |
50×50 | 1.5, 2.0, 3.0 | 6m | #400研磨、ヘアライン |
表面処理の特徴と用途
ステンレス角パイプの大きな利点は、メンテナンスフリーでの長期使用が可能な点です。一般的な鋼材の3~5倍の初期コストがかかりますが、20年以上の使用を考慮するとライフサイクルコストで優位性があります。
特に注目すべきは、サニタリー管規格との併用設計です。食品製造ラインでは内外径が#400研磨されたサニタリー管と角パイプを組み合わせることで、清掃性と構造強度を両立できます。
アルミ角パイプは鋼材の約1/3の重量でありながら高い耐食性を持つため、看板フレームや特装車の骨組みに多用されています。アルマイト処理による豊富なカラーバリエーションも魅力的な特徴です。
アルミ等辺角パイプ規格
外寸(mm) | 肉厚(mm) | 重量比(対鋼材) | 主要用途 |
---|---|---|---|
20×20 | 1.5, 2.0, 2.5 | 約1/3 | 軽量フレーム |
30×30 | 1.5, 2.0, 3.0 | 約1/3 | 看板骨組み |
40×40 | 2.0, 2.5, 3.0 | 約1/3 | 中型構造物 |
50×50 | 2.0, 2.5, 3.0 | 約1/3 | 建築外装材 |
アルマイト処理カラー展開
アルミ角パイプの加工性は鋼材より優れており、切断・穴あけ・曲げ加工が容易です。ただし、溶接には専用設備と技術が必要で、一般的にはボルト接合やリベット接合が採用されます。
軽量化による作業性向上は建築現場で大きなメリットとなります。例えば、6mのアルミ角パイプ50×50×2.0は約3.5kgであり、同寸法のSTKRパイプ(約18kg)と比較して約80%の軽量化を実現できます。
建築現場での角パイプ選定では、強度・耐久性・コスト・施工性を総合的に評価する必要があります。材質別の特性を正しく理解することで、最適な選択が可能になります。
材質別性能比較表
項目 | STKR | SUS304 | アルミ |
---|---|---|---|
引張強度 | 400MPa | 520MPa | 245MPa |
耐食性 | × | ◎ | ○ |
重量 | 基準 | +5% | -67% |
初期コスト | 基準 | +300% | +150% |
加工性 | ○ | △ | ◎ |
溶接性 | ◎ | ○ | △ |
用途別推奨材質
選定時の重要なポイントは、初期コストだけでなく維持管理コストを含めたライフサイクルコストで評価することです。例えば、屋外露出部にSTKRを使用する場合、防錆処理と定期メンテナンスが必要となり、長期的にはステンレスやアルミの方が経済的な場合があります。
また、構造計算における安全係数の設定も材質によって異なります。アルミは強度が低いため、同じ荷重条件でも断面を大きくする必要があり、重量軽減効果が相殺される場合もあります。
標準規格では対応できない特殊寸法の角パイプが必要な場合、特注対応が可能ですが、コストと納期に大きく影響します。効率的な調達戦略を立てることで、プロジェクト全体のコストダウンが実現できます。
特注対応の一般的な条件
規格外寸法の代替案検討
標準規格に近い寸法で設計変更が可能か検討することが重要です。例えば、55×55mm角パイプが必要な場合、50×50mmまたは60×60mmでの代替設計を検討し、接合部の補強で対応できる場合があります。
複数の材料商社との価格交渉では、年間使用量をまとめて提示することで単価削減が期待できます。特に、定期的に同じ規格外寸法を使用する場合は、フレーム契約により安定した価格と納期を確保できます。
海外調達の活用
韓国や中国製の角パイプは品質が向上しており、特注品でも国内製の70~80%のコストで調達可能な場合があります。ただし、品質管理と納期管理に注意が必要で、重要な構造部材では国内製を推奨します。
在庫管理の効率化では、複数プロジェクトでの共通仕様化により、発注ロットの拡大と在庫回転率の向上を図ることができます。設計段階での材料仕様統一は、調達コスト削減の重要な要素となります。