
型枠工事におけるフォームタイは、コンクリート打設時の側圧に対抗する重要な金物部材です。フォームタイ本体、丸セパ、Pコン、座金などで構成され、型枠板同士の間隔を一定に保つ役割を担います。
フォームタイの基本分類は以下の通りです。
構造による分類
穴数による分類
コンクリートの側圧は数トン以上に達することも珍しくないため、適切な規格選定が施工品質を左右します。
ねじ式フォームタイは精密な締付け調整が可能で、段差がある場合や厳密な施工が求められる現場で重宝されます。
C型フォームタイ(両面化粧仕上げ用)
品名 | 規格 | 長さ(L) | ℓ1 | 単位質量 | 入数 |
---|---|---|---|---|---|
C-150 | W5/16 | 150mm | 95mm | 0.15kg | 200個 |
C-180 | W5/16 | 180mm | 125mm | 0.17kg | 150個 |
C-210 | W5/16 | 210mm | 120mm | 0.19kg | 150個 |
C-250 | W5/16 | 250mm | 145mm | 0.23kg | 150個 |
D型フォームタイ(大側圧対応・土木用)
品名 | 規格 | 長さ(L) | ℓ1 | ℓ2 | 単位質量 |
---|---|---|---|---|---|
D-250 | W1/2 | 250mm | 120mm | 85mm | 0.21kg |
D-300 | W1/2 | 300mm | 120mm | 85mm | 0.25kg |
D-360 | W1/2 | 360mm | 120mm | 85mm | 0.30kg |
D型は大きな側圧を負担する用途に特化しており、土木工事での厚壁構造物に適用されます。W1/2(12mm)の太径ねじを採用し、許容引張荷重28,000N(2,800kgf)の高強度を実現しています。
K型フォームタイ(くさび併用型)
品名 | 規格 | 長さ(L) | ℓ1 | ℓ2 | 用途 |
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K3L | W5/16 | 220mm | 133mm | 60mm | 標準 |
K2L | W5/16 | 160mm | 73mm | 60mm | 中間 |
K2P | W5/16 | 140mm | 63mm | 48mm | 狭小 |
くさび式フォームタイは全国的に最も広く採用されている主流タイプで、施工効率の良さが評価されています。くさび用のK型フォームタイ本体、ハットセパ、座金で構成されます。
2つ穴タイプ(標準仕様)
品名 | 規格 | L | ℓ1 | ℓ2 | 入数 | 用途 |
---|---|---|---|---|---|---|
8-2L | W5/16 | 165mm | 90mm | 150mm | 200個 | 60角パイプ用 |
9-2L | W3/8 | 165mm | 90mm | 150mm | 200個 | 60角パイプ用 |
3つ穴タイプ(大型構造物用)
品名 | 規格 | L | ℓ1 | ℓ2 | ℓ3 | 入数 |
---|---|---|---|---|---|---|
8-3L | W5/16 | 230mm | 90mm | 150mm | 210mm | 150個 |
9-3L | W3/8 | 230mm | 90mm | 150mm | 210mm | 150個 |
くさび式の最大の特徴は施工スピードの向上です。ねじ式のようなナット回転作業が不要で、くさび打込みによる一発締付けが可能です。
アイビーねじ式本体(高強度仕様)
アイビー仕様は従来品より高い耐荷重性能を持つ改良版です。
品名 | 規格 | 長さ(L) | ℓ | 入数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
A8-150 | W5/16 | 150mm | 95mm | 100個 | 高強度 |
A8-180 | W5/16 | 180mm | 125mm | 100個 | 高強度 |
A9-250 | W3/8 | 250mm | 145mm | 100個 | 高強度 |
フォームタイの選定は、構造物の特性と施工条件を総合的に判断する必要があります。間違った選定は重大な施工不良につながるため、以下の基準を厳守することが重要です。
コンクリート側圧による選定基準
コンクリート側圧に応じたフォームタイ使用量の目安。
側圧 | 使用量(本/㎡) | 推奨タイプ |
---|---|---|
19.6kN/㎡(2tf/㎡) | 標準密度 | C型・K型 |
29.4kN/㎡(3tf/㎡) | 中密度 | C型・D型 |
39.2kN/㎡(4tf/㎡) | 高密度 | D型推奨 |
49.0kN/㎡(5tf/㎡) | 最高密度 | D型必須 |
構造物形状による選定指針
施工効率を重視した選定方法
作業効率を優先する場合は、くさび式フォームタイが有効です。特に以下の条件下では威力を発揮します。
一方、精密な仕上がりを要求される場合は、ねじ式フォームタイの採用を検討すべきです。
コスト効率を考慮した選定
初期コストだけでなく、施工効率、再利用性、メンテナンス性を総合評価することが重要です。高品質なアイビー仕様は初期投資は高くなりますが、長期使用での投資回収効果が期待できます。
フォームタイの性能を最大限に発揮するためには、適切な施工管理が不可欠です。寸法精度の確保と安全性の両立が現場の課題となります。
締付けトルク管理の重要性
ねじ式フォームタイでは、規定トルクでの締付けが品質を左右します。
過度な締付けは部材破損を招き、不足は型枠変形の原因となります。
配置間隔の最適化
フォームタイの配置間隔は、コンクリート側圧と使用荷重から算出します。一般的な配置基準。
施工時の安全確認事項
フォームタイ施工では以下の安全確認が必須です。
品質記録の管理
施工品質の客観的評価のため、以下の記録管理を実施します。
これらの記録は、後工程での品質保証や改善活動の貴重な資料となります。
現場での実践では、フォームタイの特性を理解した上で、構造物に最適な規格選定と丁寧な施工管理を心がけることが、高品質な型枠工事の実現につながります11。寸法データを参考に、安全で効率的な施工を進めてください。