型枠ブロック寸法と擁壁施工における基本的な規格と特徴

型枠ブロック寸法と擁壁施工における基本的な規格と特徴

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型枠ブロックの寸法と種類

型枠ブロックの基本情報
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型枠ブロックとは

型枠の機能を持つコンクリートブロックで、鉄筋コンクリート構造物を作る際の外枠として使用されます。通称「CP(Concrete Placing)」とも呼ばれています。

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主な用途

擁壁(ようへき)工事に使用され、崖や宅地の地盤が崩壊しないようにせき止めるコンクリート構造物を作ります。

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特徴

一般的な建築用ブロックより厚みがあり、中空部が大きいのが特徴。鉄筋を配置し、コンクリートを充填することで高い強度を実現します。

型枠ブロックは、外構工事や土木工事において重要な役割を果たす建材です。特に擁壁工事では欠かせない存在となっています。型枠ブロックは、その名の通り「型枠」の機能を持つブロックで、鉄筋コンクリート構造物を作る際の外枠として使用されます。空洞部分に鉄筋を配置し、コンクリートを充填することで、強固な構造物を作り上げることができます。

 

型枠ブロックは通称「CP(Concrete Placing)」とも呼ばれており、一般的な建築用ブロックと比較して厚みが厚く、中空部分が大きいという特徴があります。この構造により、コンクリートを充填した際に鉄筋コンクリート造と同等の強度を持つ構造物を作ることができるのです。

 

型枠ブロックの標準寸法と規格

型枠ブロックの標準的な寸法は、長さ×高さ×厚さの順で表記され、一般的には以下のような規格があります。

  • 長さ:約390〜400mm(標準目地幅を含む)
  • 高さ:約190mm(標準目地幅を含む)
  • 厚さ:150mm、180mm、190mm、200mm、210mm、220mm、250mm、280mmなど

これらの寸法は製造メーカーによって若干異なる場合がありますが、基本的にはモジュール寸法(目地幅を含んだ寸法)として設計されています。例えば、長さは397mm+目地幅3mmで400mmというモジュール寸法になります。

 

型枠ブロックの重量は厚さによって異なりますが、一般的に以下のような範囲になります。

厚さ 基本型の重量 コーナー型の重量
150mm 約11.0〜12.8kg 約11.0〜13.4kg
180mm 約12.0〜13.8kg 約12.0〜13.9kg
200mm 約15.0kg 約16.0kg
210mm 約14.3〜14.8kg 約14.3〜16.0kg
220mm 約16.2kg 約17.3kg
250mm 約17.1kg 約18.3kg
280mm 約18.5kg 約20.1kg

1平方メートルあたりの使用個数は一般的に12.5個となっており、施工計画を立てる際の目安となります。

 

型枠ブロックの形状種類と特徴

型枠ブロックには、用途や施工箇所に応じてさまざまな形状があります。主な形状の種類は以下の通りです。

  1. 基本型:最も一般的な形状で、壁面の大部分を構成します。横筋用の溝があるタイプが一般的です。
  2. コーナー型:壁の角部分に使用するブロックで、L字型の壁を作る際に必要です。
  3. 水抜き型:基本型に水抜き穴が設けられたもので、擁壁の背面に溜まる水を排出するために使用します。
  4. ハンチ型:基礎と接続する部分に使用するブロックで、点検口としても機能します。コンクリート打設時の作業性を向上させる役割もあります。
  5. 基本型1/2:基本型の半分の長さ(約198mm)のブロックで、長さの調整が必要な箇所に使用します。

これらの形状を適切に組み合わせることで、様々な形状の擁壁や塀を構築することができます。特に、コーナー部分や水抜き部分は構造上重要な箇所となるため、専用の形状のブロックを使用することが推奨されています。

 

型枠ブロックと建築用ブロックの寸法差異

型枠ブロックと一般的な建築用ブロック(空洞ブロック)には、寸法や構造に明確な違いがあります。これらの違いを理解することで、適切な用途に適したブロックを選択することができます。

 

主な違いは以下の通りです。

  1. 厚み:型枠ブロックは一般的に150mm以上の厚みがあるのに対し、建築用ブロックは100mm〜150mm程度が一般的です。
  2. 中空部の大きさ:型枠ブロックは中空部が大きく、コンクリートを充填しやすい構造になっています。一方、建築用ブロックは中空部が比較的小さく、主に軽量化のために設けられています。
  3. 鉄筋配置用の構造:型枠ブロックには縦筋・横筋の鉄筋が入るような造りになっていますが、建築用ブロックにはそのような構造がない場合が多いです。
  4. 強度設計:型枠ブロック自体の圧縮強さは一般的に16〜30N/mm²程度で、コンクリート充填後は鉄筋コンクリート造と同等の強度を持ちます。

これらの違いにより、型枠ブロックは主に擁壁や高さのある塀などの構造物に使用され、建築用ブロックは低い塀や間仕切りなどに使用されることが多いです。

 

型枠ブロックと建築用ブロックの詳細な違いについて解説されています

型枠ブロック擁壁の設計寸法と高さ制限

型枠ブロック擁壁を設計・施工する際には、安全性を確保するために様々な寸法制限や設計基準が設けられています。これらの基準を理解し、適切に施工することが重要です。

 

型枠ブロック擁壁の主な設計寸法と高さ制限は以下の通りです。

  1. 最大高さ:型枠ブロック擁壁の高さは、原則として最大2mまでとされています。2mを超える場合は、鉄筋コンクリート造擁壁や間知ブロック擁壁にする必要があります。ただし、製品によっては型枠210型で2.4mまで対応可能なものもあります。
  2. 基礎の根入れ深さ:型枠ブロック塀の基礎の根入れ深さは、補強ブロック塀よりも100mm増しとなります。例えば、高さ2mの塀の場合、I形基礎では550mm以上、逆T・L形基礎では450mm以上の根入れが必要です。
  3. 控壁の設置:高さや長さに応じて控壁(控柱)の設置が必要になります。一般的に、壁延長3.4m以内に1か所以上の控壁を設置します。
  4. 水抜きの設置:壁面3m²以内に一ケ所以上(VPφ75mm)の水抜きを設置する必要があります。
  5. 伸縮目地:擁壁長さ20m以内毎に1ケ所の伸縮目地を設ける必要があります。

これらの設計寸法は、地域や施工条件によって異なる場合があるため、施工前に地域の建築基準や製品の仕様を確認することが重要です。

 

コンクリートブロック塀の設計規準について詳しく解説されています

型枠ブロックの充填コンクリート量と施工効率

型枠ブロックを使用した擁壁や塀の施工において、充填するコンクリートの量を正確に把握することは、材料の手配や工期の計画において非常に重要です。型枠ブロックの厚さによって充填コンクリート量は異なります。

 

以下に、型枠ブロックの厚さ別の充填コンクリート量の目安を示します。

厚さ 1個あたりの充填量 1m²あたりの充填量
150mm 約0.007m³ 約0.09m³
180mm 約0.009m³ 約0.112m³
190mm 約0.0094m³ 約0.1175m³
200mm 約0.01m³ 約0.14m³
210mm 約0.01m³ 約0.137m³
220mm - 約0.15m³
250mm - 約0.18m³
280mm - 約0.21m³

これらの数値は、施工計画を立てる際のコンクリート発注量の目安となります。実際の施工では、ロスを考慮して若干多めに発注することが一般的です。

 

型枠ブロックを使用した施工の効率性については、以下のような特徴があります。

  1. 工期短縮:従来の型枠工法と比較して、型枠の組立・解体作業が不要となるため、工期を短縮できます。
  2. 省力化:型枠ブロックは積み上げるだけで型枠が完成するため、熟練工の技術に依存せず、比較的容易に施工できます。
  3. コスト削減:型枠材料費や型枠工の人件費が削減できる可能性があります。
  4. 段階的な施工:高さ方向に段階的に施工できるため、一度に大量のコンクリートを打設する必要がなく、小規模な現場でも対応しやすいです。

ただし、効率的な施工を行うためには、以下の点に注意する必要があります。

  • コンクリートの打ち込みは1m以内で均等の高さになるよう水平回し打ちで行う
  • グラウトコンクリートはFC210kgf/cm²以上、粗骨材20mm以下、スランプ18cm標準を使用する
  • 浸透層は厚さ300mm以上として砂利、砕石等で全面透水層とする

これらの点に注意することで、品質の高い施工を効率的に行うことができます。

 

型枠ブロックの国土交通大臣認定と安全基準

型枠ブロックを使用した擁壁や塀は、その安全性を確保するために国土交通大臣認定を取得している製品が多くあります。この認定は、製品が一定の安全基準を満たしていることを示すものであり、特に宅地造成等工事規制区域内での使用において重要な意味を持ちます。

 

国土交通大臣認定を取得した型枠ブロック製品には、以下のような特徴があります。

  1. 耐震性能:大地震対応型として認定されており、地震時の安全性が確保されています。
  2. 設計基準の明確化:認定製品には、設計図書類(大臣認定書・構造図・認定仕様書など)が用意されており、適切な設計・施工が可能です。
  3. 施工仕様の標準化:認定に基づいた施工仕様が明確に定められており、品質のばらつきを抑えることができます。
  4. 法的な裏付け:宅地造成等規制法に基づく工事において、認定製品を使用することで法的な要件を満たすことができます。

型枠ブロック擁壁の安全基準としては、以下のような項目が重要視されています。

  • 構造計算:高さや土圧に応じた適切な構造計算が行われていること
  • 鉄筋の配置:縦筋・横筋の適切な配置と定着
  • 基礎の設計:地盤条件に応じた適切な基礎設計
  • 排水対策:適切な水抜き孔の設置
  • 伸縮目地:温度変化による変形を吸収するための伸縮目地の設置

これらの安全基準を満たすことで、長期間にわたって安全な構造物を維持することができます。特に、近年の大規模地震を受けて、ブロック塀の安全性に対する関心が高まっており、国土交通大臣認定製品の使用が推奨されています。

 

国土交通大臣認定擁壁が実現できる型枠ブロックについての詳細情報
施工にあたっては、認定内容に基づいた設計・施工を行うことが重要です。特に、以下の点に注意が必要です。

  • 認定された施工方法を厳守すること
  • 指定された材料(コンクリート強度、鉄筋径など)を使用すること
  • 定期的な点検・維持管理を行うこと

これらの点に注意することで、安全で耐久性の高い型枠ブロック擁壁を構築することができます。

 

型枠ブロックは、その特性から様々な用途に使用されていますが、特に重要なのは適切な設計と施工です。国土交通大臣認定製品を使用し、認定された施工方法に従うことで、安全で耐久性の高い構造物を実現することができます。

 

型枠ブロックの寸法や種類、充填コンクリート量などの基本的な知識を持ち、適切な計画を立てることが、成功した施工の鍵となります。また、地域の建築基準や法規制を確認し、それらに準拠した設計・施工を行うことも重要です。

 

型枠ブロックを使用した擁壁や塀は、適切に設計・施工されれば、長期間にわたって安全で美観に優れた構造物となります。施工者として、これらの知識を活かし、質の高い施工を提供していきましょう。