

試験を申し込んだだけで受験しないと、返金ゼロで14,740円がそのまま消えます。
コンクリート技士試験の合格率は、ここ数年ほぼ安定した数値で推移しています。日本コンクリート工学会が公表している公式データをもとに、直近8年間の推移をまとめると下表のとおりです。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 8,629名 | 2,720名 | 31.5% |
| 2024年 | 8,449名 | 2,566名 | 30.4% |
| 2023年 | 8,410名 | 2,681名 | 31.9% |
| 2022年 | 8,672名 | 2,766名 | 31.9% |
| 2021年 | 9,037名 | 2,762名 | 30.6% |
| 2020年 | 8,149名 | 2,501名 | 30.7% |
| 2019年 | 8,758名 | 2,583名 | 29.5% |
| 2018年 | 8,946名 | 2,644名 | 29.6% |
表を見ると、合格率はおおむね29〜32%の狭いレンジに収まっています。これが意味するのは、毎年受験者の約3人に1人しか合格しないという事実です。
受験者数に目を向けると、2021年度の9,037名がここ数年のピークで、2023〜2024年度にかけて8,400名台まで落ち込んでいます。建設業界全体の技術者人口が縮小傾向にあることも影響していると考えられます。
つまり合格率は安定していても、受験者数そのものが減り始めているということですね。
受験者数の変化は今後の試験難易度にも影響を与える可能性があります。業界全体でコンクリート技士の資格保有者が希少になれば、資格の希少価値は相対的に上がります。これは今のタイミングで受験するメリットの一つとも言えます。
参考:日本コンクリート工学会が公表している最新の試験結果(合格者数・合格率の地区別データを含む)
2024年度コンクリート技士/主任技士試験 結果の概況(日本コンクリート工学会)
「全国平均30%」という数字だけを見て安心してはいけません。試験地ごとに合格率は大きく異なります。
2024年度のデータを地区別に見ると、最も合格率が高かったのは広島会場の34.9%、一方で最も低かったのは沖縄会場の21.1%でした。次いで仙台会場も23.9%と低く、全国平均30.4%との差が10ポイント以上開いています。「全国平均30%」という印象で受験すると、地域によっては実態と大きく乖離しているわけです。
この地域差は、受験者層の違いに起因する部分が大きいとされています。東京や大阪では生コン・建設会社の規模が大きく、組織的な受験対策をしている企業が多い傾向があります。逆に沖縄・仙台では個人受験の割合が高く、対策が不十分なまま受験に臨む人が比較的多いと考えられています。
地域差は条件の違いに過ぎません。
ただし、自宅や会社に近い試験地を選ばざるを得ない状況がほとんどです。大切なのは地区の合格率を嘆くのではなく、受験地の現実を理解した上で「平均より高い準備」を意識的に積むことです。
参考:地区ごとの合格率データについて詳細を確認したい方はこちら
コンクリート技士の合格率はどれくらい?難易度や合格ラインを解説(CIC日本建設情報センター)
多くの受験者が「70%取れば合格できる」と思っています。しかし現実はもう少し複雑です。
日本コンクリート工学会は合格基準点を公式に発表していません。巷では「40問中28問正解(70%)が合格ライン」という情報が広まっており、これはある程度正確な目安です。しかし毎年の合格率が28〜32%という狭い範囲で安定していることを踏まえると、単純な絶対評価(一定点数以上で合格)ではなく、受験者全体の出来によって合格ラインが動く「相対評価的な仕組み」が採用されている可能性が高いと専門家の多くが指摘しています。
合格率が相対評価型であることの影響は具体的にどういうことでしょうか?
それは「難しい問題が出た年であれば、得点率65%程度でも合格できる」という状況が生じる一方、「全体的に易しい年には70%取っても落ちる可能性がある」ということを意味します。しかし過去のデータを見ると合格率の振れ幅が小さいため、65〜70%程度を安定して確保することが実質的な合格の条件と見てよさそうです。
70%が条件です。
さらに見落とされがちな点として、受験申込みをして当日欠席した場合でも受験料14,740円は一切返金されません。2024年度データでは申込者9,934名に対し実際の受験者は8,449名と、約1,485名(14.9%)が欠席しています。申込みをした段階でコミットメントが発生していると考え、対策を怠らないことが大切です。
参考:合格ラインと試験の難易度に関する詳細解説
コンクリート技士試験の難易度【合格率や受験資格と勉強方法も解説】(ワット・コンサルティング)
合格に必要な総学習時間は、一般的に100〜140時間が目安とされています。毎日1時間の勉強を継続すれば3〜4ヶ月で到達できる計算で、試験日(例年11月下旬)から逆算すると8月頃には勉強をスタートするのが理想的です。これはちょうど受験申込み期間(例年8月上旬〜9月上旬)と重なります。
効率的な学習のポイントは次のとおりです。
学習期間が1ヶ月半でも合格した事例がある一方、6ヶ月以上準備した人が不合格になることもあります。これは勉強の「量」よりも「質と方向性」が重要なことを示しています。これは使えそうです。
過去問を中心とした反復学習に集中することが合格への最短ルートです。市販の参考書としては「コンクリート技士・主任技士 合格テキスト&過去問」シリーズが分野ごとに整理されており、受験者の間で評価が高いです。受験を決意したら書店やAmazonで最新年度版を確認してみてください。
参考:合格者の体験談と具体的な学習計画の立て方
試験のポイント|コンクリート技士|日建学院(建築資料研究社)
コンクリート技士の資格を取得することで、建設業界でのキャリアの幅が大きく広がります。まず年収面では、資格手当や等級昇格などにより年収アップが見込めます。調査によれば、コンクリート技士の平均年収は500万円前後とされており、資格なしの場合との差が数十万円規模で生じることもあります。
資格取得後のキャリアパスとしては、コンクリート主任技士やコンクリート診断士への挑戦が代表的なルートです。
コンクリート技士の登録有効期間は4年間で、更新には研修の受講が必要です。研修費用は会員5,500円・一般6,160円で、eラーニングでも受講できるように整備されています。登録更新をしないと称号が失効し、再取得には再登録研修が必要になるため注意が必要です。
主任技士資格の取得まで到達すると、年収が50〜100万円上がるケースも報告されており、キャリアアップの費用対効果という観点からも、コンクリート技士は取って損のないステップと言えます。
コンクリート技士は入り口です。
コンクリートに関わる業務は、生コン製造・施工管理・品質検査・インフラ維持管理など幅広く、その専門性を証明できる資格があることは転職市場でも大きな強みになります。ゼネコン・建設会社・生コン工場・建設コンサルタントなど、活躍の場を広げたいと考えているなら、まずコンクリート技士取得をスタートラインとして位置付けることをお勧めします。
参考:コンクリート技士の仕事内容・年収・将来性について
コンクリート技士の年収は高い?仕事内容と将来性(CIC日本建設情報センター)