

高所作業だから単価は当然高いと思っていませんか?実は、高所ガラス清掃は作業方法を変えるだけで同じ枚数でも単価が約3分の1になるケースがあります。
高所ガラス清掃の単価は、作業方法によって大きく異なります。一般的な相場として、ゴンドラ(外壁清掃用の昇降装置)を使う場合は1枚あたり800〜1,500円程度、ロープアクセス(命綱をつけて作業員が壁面を降下する手法)では1,500〜3,000円程度が目安です。
足場を組んで行う場合は、足場設置費込みで1枚2,000〜4,000円を超えることも珍しくありません。つまり、作業方法の選択が単価の大半を決めるということですね。
一方、地上から高圧洗浄や長柄モップで届く範囲(概ね4〜5メートル以下)であれば、1枚300〜600円程度まで下がります。高所作業に該当する目安は「地上から2メートル以上」とされていますが、清掃業界では実態上、4〜5メートル未満はほぼ通常清掃扱いで単価が設定されるケースが多いです。
建物の種類別にも単価の傾向があります。オフィスビルや商業施設は枚数が多く1枚あたりを抑えられる一方、住宅の高層部分や形状が複雑な建物は割増になることが一般的です。
| 作業方法 | 単価目安(1枚あたり) | 主な適用条件 |
|---|---|---|
| 地上作業(高所非該当) | 300〜600円 | 高さ4〜5m未満 |
| ゴンドラ作業 | 800〜1,500円 | 中〜高層ビル |
| ロープアクセス | 1,500〜3,000円 | 足場設置困難な現場 |
| 足場設置あり | 2,000〜4,000円以上 | 短期集中・複合作業 |
この数字はあくまで相場の目安です。実際には現場の状況・汚れの程度・ガラスの仕様によって変動します。
単価が相場より高くなるケース、逆に下がるケースには、それぞれ明確な理由があります。要因を把握しておけば、見積もりの説明に説得力が出ます。これは使えそうです。
① 建物の高さとフロア数
高さが上がるほど、使用する機材・安全管理コスト・作業時間が増加します。10階相当(地上約30m)を超えると、ゴンドラの設置・撤去だけで半日かかることもあります。高さが条件です。
② ガラスの形状・サイズ
縦横2m×2mの大型ガラスを1枚と、小窓ガラス0.2m×0.3mを1枚では、清掃にかかる時間がまるで異なります。枚数単価で契約する場合、小窓が多い建物は割増設定にしないと赤字になります。
③ 汚れの状態(初回・定期の違い)
初回清掃時は、長年の水垢・鉄粉・コーキングの汚れが蓄積しており、通常の2〜3倍の作業時間が必要になるケースがあります。定期清掃契約に入っている現場と初回現場では、同じ単価では対応できません。
④ 作業時間帯・曜日・天候制約
テナントビルでは「平日9〜17時のみ作業可」「特定の曜日不可」といった制約がある場合、段取りコストが上乗せされます。また高所作業は風速10m/s以上で原則中止のため、天候リスク込みで単価を設定する必要があります。
⑤ 養生・搬入出の手間
高所作業車(高所作業用の特殊な車両型作業台)やゴンドラを搬入するには、駐車スペースの確保や道路使用許可申請が必要な場合があります。申請費用は1件あたり数千円〜数万円になることもあります。
⑥ 定期契約か単発か
定期清掃契約は回数・量が保証されるため、1枚あたりの単価を下げても採算が合います。一方、単発の場合は段取り費用が分散できないため、単価は高めに設定するのが基本です。
単価を「なんとなく相場に合わせる」だけでは、現場によって赤字になるリスクがあります。原価計算が基本です。
まず人件費から計算します。作業員2名で1日(8時間)かかる現場を想定した場合、日当を1人2万円とすれば人件費だけで4万円です。この現場でガラスが40枚なら、人件費だけで1枚あたり1,000円になります。
次に機材費を加えます。ゴンドラのレンタル費用は1日あたり3〜8万円程度が一般的です。仮に5万円とすれば、40枚で割ると1枚1,250円の上乗せが必要です。
ここに交通費・消耗品費・保険料・諸経費(売上の10〜15%程度)を加えると、原価だけで1枚2,500〜3,000円に達します。これが、ロープアクセスやゴンドラ作業の単価が1,500〜3,000円以上になる理由です。
原価に対して利益率20〜30%を乗せた価格が、適正単価の目安になります。利益率が条件です。
| 費用項目 | 例(40枚・2名・1日の現場) | 1枚あたり換算 |
|---|---|---|
| 人件費(2名) | 40,000円 | 1,000円 |
| ゴンドラレンタル | 50,000円 | 1,250円 |
| 交通費・消耗品 | 10,000円 | 250円 |
| 諸経費(12%) | 12,000円 | 300円 |
| 原価合計 | 112,000円 | 2,800円 |
| 利益(25%) | 28,000円 | 700円 |
| 見積金額 | 140,000円 | 3,500円 |
この計算はあくまでモデルケースですが、現場ごとに同様のシミュレーションを作ることで、値引き交渉時の下限ラインが明確になります。
見積もりの段階でよくあるミスが、枚数カウントの誤りです。意外ですね。
ガラスの「1枚」の定義は、現場によって異なります。縦長の連窓(横に並んだ複数のガラスを枠でつないだ構造)を「1枚」と数えるか、独立した1ガラス面ごとに「1枚」と数えるかで、合計枚数が2〜3倍変わることがあります。契約前に「1枚の定義」を書面で確認することが重要です。
次によくある落とし穴が「両面か片面か」の確認漏れです。高所ガラスは室内側と室外側で作業難易度が大きく異なります。室外側のみの契約なのか、両面セットなのかを曖昧にすると、追加費用請求時のトラブルになります。
また、「高所割増」の適用基準が業者ごとに異なる点も注意が必要です。一方の業者は「2m以上から高所割増」、もう一方は「5m以上から割増なし」といった違いがあるため、相見積もり時に比較が難しくなります。見積書に「何メートル以上を高所扱いとするか」を明記する習慣をつけるだけで、後のクレームを大幅に減らせます。
さらに、悪天候による中止・延期の費用負担についても事前合意が必要です。当日中止になった場合の出張費・機材搬入費を誰が負担するかを契約書に明記しておかないと、1回の中止で数万円のロスが生じます。中止基準の明記は必須です。
単価交渉でよく行われるのは「枚数を増やすから1枚あたりを下げてほしい」という交渉です。しかし実は、枚数よりも「清掃回数(頻度)の保証」のほうが業者側には有利な条件になります。
なぜかというと、高所清掃の段取りコスト(搬入・養生・安全確認など)は1回あたりほぼ固定でかかります。つまり、年1回100枚よりも年4回25枚のほうが、1回の段取りコストが軽く、スケジュール調整もしやすいのです。
「年4回契約を保証する代わりに1枚あたりの単価を〇〇円にしてほしい」という交渉の仕方は、発注側・受注側の双方に利益があります。これは建築業界でもまだあまり浸透していない交渉手法です。
また、複数の建物を同じオーナーや管理会社がまとめて発注できる場合、「まとめ発注割引」の適用を提案するのも有効です。1棟単位ではなく「エリア内3棟まとめて年4回」という契約にすることで、業者側は移動効率が上がり、発注側は単価を10〜20%程度抑えられるケースがあります。
定期契約の保証こそが最大の交渉カードということですね。実際に契約書の文言に「年〇回保証」を明記する形にすると、業者側の信頼感も高まります。
なお、高所作業を伴う清掃業務には労働安全衛生法に基づく特別教育・技能講習の修了が義務付けられています。受注側が有資格者であることを証明する書類(修了証のコピーなど)を見積書と一緒に提出する習慣は、単価の根拠説明にもなります。
資格証明の添付が、単価交渉における信頼の土台になります。
参考として、労働安全衛生法における高所作業の規定については以下の情報が役立ちます。
厚生労働省:労働安全衛生法に基づく安全衛生規則(高所作業の義務・特別教育に関する根拠法令が確認できます)
高所清掃業者が取得すべき「足場の組立て等特別教育」「ロープ高所作業特別教育」などの詳細も、同サイトから確認可能です。単価の根拠として有資格者であることを示す際の参考にしてください。