鋼材規格一覧表とJIS記号見方完全ガイド

鋼材規格一覧表とJIS記号見方完全ガイド

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鋼材規格一覧表とJIS記号基礎知識

鋼材規格一覧表の基本構成
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JIS番号体系

A5523からG0404まで各用途別に分類された規格番号

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鋼材種別

H形鋼、溝形鋼、ステンレス鋼など用途に応じた材料分類

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寸法表記

断面積、重量、長さなどの標準化された表記方法

鋼材規格一覧表の基本構成とJIS番号体系

鋼材規格一覧表は日本工業規格(JIS)に基づいて体系化されており、2025年4月1日現在の日本鉄鋼連盟発行の一覧表には様々な鋼材規格が掲載されています。

 

JIS番号は大きく以下のカテゴリに分類されています。

  • A5500番台:構造用鋼材(A5523溶接用熱間圧延鋼矢板、A5525鋼管ぐい、A5526H形鋼ぐい等)
  • G0200番台:鉄鋼用語関連(G0201熱処理、G0202試験、G0203製品及び品質)
  • G0300番台:分析方法関連(G0320溶鋼分析方法、G0321製品分析方法)
  • G0400番台:受渡し条件(G0404鋼材の一般受渡し条件)

この体系的な分類により、用途や目的に応じて必要な鋼材規格を効率的に検索できます。特に建築・土木分野では構造用鋼材の規格が頻繁に参照されるため、A5500番台の理解が重要です。

 

H形鋼規格サイズ表記の読み方と重量計算

H形鋼は建築構造物の梁として最も多用される鋼材で、その表記方法を正確に理解することは現場作業において不可欠です。

 

H形鋼の基本表記方法
H形鋼の寸法表記は「H-400×200×10×8」のような形式で表されます。

  • H形鋼の種類(H形鋼を示す)
  • 400:梁せい(高さ方向の寸法:mm)
  • 200:梁幅(幅方向の寸法:mm)
  • 10:ウェブ厚(中央部分の板厚:mm)
  • 8:フランジ厚(上下端部分の板厚:mm)

重量計算の実務応用
H形鋼の重量計算は単位質量(kg/m)に長さ(m)を乗じることで算出できます。JIS G 3192に規定された単位質量表を参照し、以下の計算式を使用します。
重量(kg)= 単位質量(kg/m)× 長さ(m)
例:H-400×200×10×8を6m使用する場合
単位質量66.0kg/m × 6m = 396kg
この計算方法は材料発注や運搬計画において重要な指標となります。

 

溝形鋼材(チャンネル鋼)規格表の活用方法

溝形鋼チャンネル鋼)は断面がC字型の形鋼で、軽量構造物や補強材として幅広く使用されています。

 

溝形鋼の表記システム
溝形鋼の寸法表記は「[-100×50×5×7.5×6000」のような形式です。

  • [:溝形鋼を示す記号
  • 100×50:H×B(外寸辺の長さ:mm)
  • 5×7.5:t1×t2(各部の板厚:mm)
  • 6000:L(長さ:mm)

規格表の実用的な読み方

寸法(H×B) t1 t2 断面積 単位質量
75×40 5 7 8.818㎠ 6.92kg/m
100×50 5 7.5 11.92㎠ 9.36kg/m
125×65 6 8 17.11㎠ 13.4kg/m

この表を活用することで、必要強度に応じた適切なサイズ選定が可能になります。

 

重量計算例
[-100×50×5×7.5×6000の場合。
9.36kg/m(単位質量)× 6m(長さ)= 56.16kg

ステンレス鋼材SUS規格の種類と特徴

ステンレス鋼材は耐食性に優れた特殊鋼で、JIS G 4035:2015において詳細に規定されています。

 

主要なSUS規格分類

  • オーステナイト:SUS301、SUS303、SUS316等
  • オーステナイト・フェライト系:SUS329J1、SUS329J4L等
  • フェライト系:SUS430、SUSXM27等
  • マルテンサイト:SUS403、SUS440A等
  • 析出硬化系:SUS630、SUS631等

現在、JIS規格では62品種のステンレス鋼が規定されており、用途に応じた適切な選択が可能です。

 

寸法規格の特徴

  • 板材:0.3~20mm厚
  • 帯材:0.3~6.0mm厚

製造業では一般的に「SUS(サス)」と呼ばれ、耐食性が要求される環境で重要な役割を果たしています。

 

鋼材規格選定における品質管理のポイント

鋼材規格の選定は単純にサイズや重量だけでなく、品質管理の観点からも重要な検討事項があります。

 

化学成分と機械的性質の確認
鋼材の製品分析方法(JIS G 0321)では、化学成分の許容変動値が規定されています。特に構造用鋼材では以下の要素が重要です。

  • 炭素含有量:強度と加工性のバランス
  • マンガン含有量靭性向上への影響
  • シリコン含有量:脱酸効果と硬度への寄与
  • 硫黄・リン含有量:不純物として管理される有害元素

受渡し条件の理解
JIS G 0404「鋼材の一般受渡し条件」では、品質保証に関する重要な取り決めが含まれています。

  • 化学成分の分析値報告
  • 機械的性質の試験成績
  • 寸法許容差の適用範囲
  • 外観品質の判定基準

実務における注意点
現場での鋼材検収時には以下の確認が欠かせません。

  • ミルシート(品質証明書)の内容確認
  • 刻印による材質・サイズの照合
  • 外観検査による欠陥の有無
  • 寸法測定による規格適合性

これらの品質管理プロセスを適切に実施することで、構造物の安全性と耐久性を確保できます。

 

長期保管時の品質維持
鋼材の長期保管では錆発生防止が重要で、適切な保管環境の維持と定期点検により品質劣化を防止する必要があります。特に屋外保管では防錆処理や排水対策が品質維持の鍵となります。