面粗度 ra1.6とは|測定方法と改善加工技術

面粗度 ra1.6とは|測定方法と改善加工技術

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面粗度 ra1.6の基礎知識と測定

📏 面粗度Ra1.6の重要ポイント
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中仕上げ品質の基準

Ra1.6μmは一般的に「中仕上げ」とされる表面粗さレベルで、建築部品の嵌合面や接合部に広く指定されています

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算術平均粗さの指標

表面の凹凸高さの絶対値を平均した値で、最も一般的に使用される面粗度の評価指標です

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精密加工が必要

ドリル加工のみでは達成困難なため、リーマや研削などの仕上げ専用工具による最終加工が必要です

面粗度 Ra1.6の定義と計算方法

面粗度Ra1.6は、表面の滑らかさを数値化した指標であり、Raは「算術平均粗さ」を意味します。測定範囲内の表面における凹凸の高さ(基準線からの偏差)の絶対値を平均した値で、単位はマイクロメートル(μm)で表されます。Ra1.6μmという値は、表面の凹凸が平均1.6マイクロメートルであることを示し、この数値が小さいほど表面が滑らかであることを意味します。
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計算式は以下の通りです。粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向Y軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときの絶対値の平均を求めます。水色の面積を求めたものがRaとなり、キズや突起などの影響を受けにくく、安定した結果が得られるのが特徴です。
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Ra1.6は「精密を必要とする取り付け面」として分類され、建築事業では接合部や嵌合部などの機能面で重要な役割を果たします。自動車部品や産業機器におけるはめ合い穴、ピストン穴、ベアリング穴などにも広く指定されており、安定した寸法精度と滑らかな仕上げが要求される水準です。
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面粗度 Ra1.6の測定器と測定方法

面粗度の測定には、主に接触式と非接触式の2種類の測定器があります。接触式は先端の半径が2μmのダイヤモンド製触針を用いるのが一般的で、触針が対象物の表面をなぞり、表面の粗さを測定します。精密加工品の場合は0.1〜0.5μmクラスの触針を使用することも検討されます。一方、非接触式はレーザーを対象物に照射し、反射した光を検知して粗さを測定するため、半導体などの表面を傷つける恐れがありません。
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測定時の注意点として、測定方向が重要です。金属加工品の場合、凸凹の特徴をより確実にとらえるため、基本的に加工方向と直角に測定を行います。また、測定速度の決定も大切で、まずは低い速度から試してみて、測定値がぶれない範囲で実施します。
参考)粗さ計

Ra1.6の基準長さは0.8mmが標準とされています。具体的には、Ra値が0.1μm超2μm以下の範囲では、基準長さ0.8mm、評価長さ4mmが適用されます。正確な測定のためには定期的な校正が必要であり、JISに準拠した測定を心がけることが重要です。
参考)表面粗さの基礎知識

面粗度 Ra1.6と他の表面粗さ指標との比較

面粗度を表す指標には、Ra以外にも複数のパラメータが存在します。代表的なものがRz(最大高さ粗さ)で、測定範囲内で最も高い5つの山と最も深い5つの谷の平均値の差を用いて計算されます。Rzは表面の最大凹凸を捉えるのに適しており、特に耐摩耗性や接触面の性能を重視する部品の評価に有効です。​

指標 特徴 主な用途
Ra(算術平均粗さ) 凹凸の平均値を評価 最も一般的、図面や品質管理
Rz(十点平均粗さ) 最大凹凸を評価 摩擦・摩耗・密着性評価
Rmax(最大高さ) 基準長さ内の最大高さ 国内で主に使用

Raは平均値なので、キズとみなされるような並はずれて高い山及び低い谷がない部分から基準長さだけ抜き取ることで算出されるため、安定した結果が得られます。一方、Raでは平均化されてしまう突起や谷も、Rzではしっかりと評価されるため、目的や使用環境に応じて適切に使い分けることが求められます。
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建築事業においては、一般的な取り付け面でRa3.2μm程度、精密を必要とする取り付け面でRa1.6μm、高精度を必要とする仕上げ面ではRa0.8μm程度が使用されます。​

面粗度 Ra1.6を実現する超硬リーマ加工

超硬リーマは、高剛性・耐摩耗性により精密仕上げに最適な工具の一つです。多刃構造によってびびりを抑え、切削抵抗が分散されることで、内面に均一で滑らかな加工面が得られます。適切な下穴加工との組み合わせにより、Ra1.6はもちろん、Ra0.8レベルの高精度仕上げも可能です。​
超硬リーマによるRa1.6の実現には、いくつかの重要なポイントがあります。食付き角度の最適化が重要で、食付き角45°に対して20°の方が仕上げ面粗さが改善されることが確認されています。これは食付きすくい角の増加が面粗度向上に寄与するためです。
参考)https://www.sumitool.com/downloads/assets/mt-catalog/IN533.pdf

アルミ、鋳鉄、炭素鋼ステンレスなど、被削材に応じた専用設計モデルが展開されており、加工条件・使用機械に応じたカスタム対応も可能です。量産現場における安定加工実績も多数あり、「短納期化」「自動化ラインでの使用」「再現性重視」などの条件においても高いパフォーマンスを発揮します。​
超硬リーマによる加工では、切削条件の最適化も重要です。切削速度やfeed rate(送り速度)を適切に設定することで、Ra0.1μm(Rz0.8μm)といった超高精度仕上げまで実現可能です。​

面粗度 Ra1.6の研削・研磨による改善手法

研削加工は、表面の凹凸を摩擦によって削り取り、平滑化や精度向上を行う加工プロセスです。砥石に含まれる砥粒がワークを削る働きをし、この砥粒のサイズを変えて順番に研磨することでよりキメの細かい表面粗さを実現できます。粒度の大きなものから小さなものへ段々と使う粒度を変えていくのが基本的な手順です。
参考)研磨加工とは(平面研磨の基礎知識)|平面研磨加工のニットー

研削によるRa1.6の実現には、適切な砥石選定が不可欠です。仕上面粗さRa1.6μm(Rz6.3μm)程度の仕上研削には、特定の粒度番手の砥石が使用されます。さらに精密な仕上げを求める場合、#80ではRa0.8μm(Rz3.2μm)程度、#100〜220でさらに細かい仕上げが可能です。
参考)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_processing/mp05/a0276.html

研削加工における重要な要素として、温度管理があります。過度な熱が発生すると、ワークの表面が焼けてしまい、面粗度が悪化することがあります。冷却液を適切に供給することで熱管理を行い、良好な面粗度を維持できます。冷却液は熱を効率的に取り除くだけでなく、研削屑の除去にも役立つため、品質の向上に欠かせません。
参考)とっておきの職人技!センタレス研削で高品質な面粗度を実現する…

湿式研磨のメリットとして、研磨材の性能を安定して発揮させることができ、作業時の粉塵の問題も軽減できます。研削加工は切削加工に比べて刃(砥粒)の大きさが小さく、一度の加工での除去量が小さい分、加工精度が良くなり、加工面の面粗さも良好になります。
参考)平面研磨加工とは?追加工なら藤井製作所

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