
木材規格寸法は、JAS(日本農林規格)により厳格に定められており、建築物の用途と部位に応じて適切な材料を選択することが重要です。
構造用製材の分類
甲種構造材はさらに細分化され、甲種構造材Ⅰ種は木口の短辺が36mm未満または短辺36mm以上かつ長辺90mm未満の材、甲種構造材Ⅱ種は短辺36mm以上かつ長辺90mm以上の材として区分されています。
構造材選択では、建築基準法に基づく構造計算により必要な性能を確認し、JAS等級による品質保証を受けた材料を使用することが建築物の安全性確保に不可欠です。
日本農林水産省による製材の日本農林規格詳細資料
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_40.pdf
関東寸法による木造住宅の標準的な構造材寸法を以下に示します。
主要構造材の標準寸法
部材名 | 樹種 | 標準寸法(cm) | 長さ | 用途 |
---|---|---|---|---|
土台 | 桧・防腐栂・米ヒバ | 12.0×12.0、10.5×10.5 | 4m・3m | 建物基礎部 |
柱 | 杉・桧・集成材 | 12.0×12.0、10.5×10.5 | 6m・3m | 垂直荷重支持 |
梁 | 米松・杉・桧 | 36.0~15.0×12.0 | 6m~3m | 水平荷重支持 |
大引 | 杉・米松 | 9.0×9.0、7.5×7.5 | 4m・3m | 床組材 |
母屋 | 杉・米松 | 9.0×9.0、7.5×7.5 | 3m・短尺 | 屋根組材 |
野物材(下地材)の標準寸法
部材名 | 標準寸法(cm) | 主な用途 |
---|---|---|
間柱 | 4.5×4.0、4.0×3.0 | 壁下地材 |
根太 | 4.5×4.0 | 床下地材 |
垂木 | 4.5×4.0、4.0×3.6 | 屋根下地材 |
筋違 | 10.5×3.3、9.0×3.0 | 耐力壁材 |
これらの寸法は、乾燥材(含水率19%以下)での規定値であり、未乾燥材では収縮により実寸法が変化する可能性があることに注意が必要です。
枠組壁工法構造用製材(2×4材)は、JAS600号に基づき以下の標準寸法が規定されています。
2×4材(SPF材)標準寸法表
寸法型式 | 呼称 | 厚さ(mm) | 幅(mm) | 流通性 |
---|---|---|---|---|
104 | 1×4 | 19 | 89 | ★★★ |
106 | 1×6 | 19 | 140 | ★★★ |
203 | 2×3 | 38 | 64 | ★★☆ |
204 | 2×4 | 38 | 89 | ★★★ |
206 | 2×6 | 38 | 140 | ★★★ |
208 | 2×8 | 38 | 184 | ★★☆ |
210 | 2×10 | 38 | 235 | ★★☆ |
304 | 3×4 | 64 | 89 | ★☆☆ |
404 | 4×4 | 89 | 89 | ★★☆ |
SPF材の特徴
流通性が高い規格(★★★)は入手しやすく価格も安定していますが、特殊寸法(★☆☆)は受注生産となる場合があります。
木材の呼び名は地域により大きく異なり、現場でのコミュニケーションに影響を与える重要な要素です。
36mm×36mm材の地域別呼称
「寸三」の由来は1寸3分(約39mm)から来ており、製材時のノコ刃の厚み分(約3mm)を差し引いて実寸36mmになることが大阪の材木業者への聞き取りで判明しています。
その他の地域差事例
現場での発注や指示においては、寸法を明確に伝えることで誤解を防ぐことができます。特に複数地域で施工を行う場合は、寸法による指定を心がけることが重要です。
建築現場での木材選定では、単純な寸法だけでなく、含水率、等級、樹種特性を総合的に判断する必要があります。
含水率による寸法変化
等級による性能差
構造用集成材とCLTの活用
近年注目されているCLT(Cross Laminated Timber)は、ひき板を層ごとに繊維方向を直交させて接着した大判パネルです。2013年にJAS制定、2016年に建築基準関連告示施行により一般利用が可能となりました。
品質管理のポイント
建築物の構造安全性確保のため、材料選定から施工完了まで一貫した品質管理体制の構築が不可欠です。特に大規模建築物では、トレーサビリティの確保により、将来のメンテナンス計画立案にも寄与します。
千葉県木材市場協同組合による建築材寸法詳細資料
http://mokuichi.or.jp/moku_size.html