木材規格寸法一覧|JAS構造材から造作材まで

木材規格寸法一覧|JAS構造材から造作材まで

記事内に広告を含む場合があります。

木材規格寸法一覧とJAS基準解説

木材規格寸法の重要ポイント
📏
JAS規格による分類

構造用製材・下地用製材・造作用製材の3種類に大別され、それぞれ用途別の標準寸法が規定されています

🏗️
甲種・乙種構造材

甲種は梁・桁など水平材、乙種は柱・束など垂直材に使用され、断面寸法により細分化されています

📐
2×4材SPF規格

枠組壁工法用製材として1×4から4×8まで豊富な規格があり、乾燥材基準で寸法が規定されています

木材規格寸法の基本分類と構造材選び方

木材規格寸法は、JAS(日本農林規格)により厳格に定められており、建築物の用途と部位に応じて適切な材料を選択することが重要です。

 

構造用製材の分類

  • 甲種構造材:土台、大引、根太、梁、桁、母屋、垂木など水平方向に使用される構造材
  • 乙種構造材:柱、床束、小屋束など垂直方向に使用される構造材
  • 下地用製材:建築物の屋根、床、壁等の下地に使用する針葉樹製材
  • 造作用製材:建築物の内装に使用する製材

甲種構造材はさらに細分化され、甲種構造材Ⅰ種は木口の短辺が36mm未満または短辺36mm以上かつ長辺90mm未満の材、甲種構造材Ⅱ種は短辺36mm以上かつ長辺90mm以上の材として区分されています。

 

構造材選択では、建築基準法に基づく構造計算により必要な性能を確認し、JAS等級による品質保証を受けた材料を使用することが建築物の安全性確保に不可欠です。

 

日本農林水産省による製材の日本農林規格詳細資料
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_40.pdf

木材規格寸法表|構造用製材の甲種乙種別一覧

関東寸法による木造住宅の標準的な構造材寸法を以下に示します。

 

主要構造材の標準寸法

部材名 樹種 標準寸法(cm) 長さ 用途
土台 桧・防腐栂・米ヒバ 12.0×12.0、10.5×10.5 4m・3m 建物基礎部
杉・桧・集成材 12.0×12.0、10.5×10.5 6m・3m 垂直荷重支持
米松・杉・桧 36.0~15.0×12.0 6m~3m 水平荷重支持
大引 杉・米松 9.0×9.0、7.5×7.5 4m・3m 床組材
母屋 杉・米松 9.0×9.0、7.5×7.5 3m・短尺 屋根組材

野物材(下地材)の標準寸法

部材名 標準寸法(cm) 主な用途
間柱 4.5×4.0、4.0×3.0 壁下地材
根太 4.5×4.0 床下地材
垂木 4.5×4.0、4.0×3.6 屋根下地材
筋違 10.5×3.3、9.0×3.0 耐力壁

これらの寸法は、乾燥材(含水率19%以下)での規定値であり、未乾燥材では収縮により実寸法が変化する可能性があることに注意が必要です。

 

木材規格寸法|2×4材SPF材の詳細規格表

枠組壁工法構造用製材(2×4材)は、JAS600号に基づき以下の標準寸法が規定されています。

 

2×4材(SPF材)標準寸法表

寸法型式 呼称 厚さ(mm) 幅(mm) 流通性
104 1×4 19 89 ★★★
106 1×6 19 140 ★★★
203 2×3 38 64 ★★☆
204 2×4 38 89 ★★★
206 2×6 38 140 ★★★
208 2×8 38 184 ★★☆
210 2×10 38 235 ★★☆
304 3×4 64 89 ★☆☆
404 4×4 89 89 ★★☆

SPF材の特徴

  • Spruce(トウヒ)、Pine(マツ)、Fir(モミ)の混合樹種
  • カナダ・北米産の針葉樹材
  • 比較的軽量で加工性に優れる
  • 構造用途での使用には等級区分が重要

流通性が高い規格(★★★)は入手しやすく価格も安定していますが、特殊寸法(★☆☆)は受注生産となる場合があります。

 

木材規格寸法の地域差と現場での呼び名実態

木材の呼び名は地域により大きく異なり、現場でのコミュニケーションに影響を与える重要な要素です。

 

36mm×36mm材の地域別呼称

  • 関西地区(兵庫県南東部):「大三(だいさん)」
  • 関西地区(大阪府):「寸三(すんさん)」
  • 全国共通:「野縁(のぶち)」

「寸三」の由来は1寸3分(約39mm)から来ており、製材時のノコ刃の厚み分(約3mm)を差し引いて実寸36mmになることが大阪の材木業者への聞き取りで判明しています。

 

その他の地域差事例

  • 垂木:関東「たるき」、関西「椽(たるき)」
  • 根太:関東「ねだ」、関西「根太(ねだ)」
  • 胴縁:関東「どうぶち」、関西「胴椽(どうぶち)」

現場での発注や指示においては、寸法を明確に伝えることで誤解を防ぐことができます。特に複数地域で施工を行う場合は、寸法による指定を心がけることが重要です。

 

木材規格寸法選定時の注意点と品質管理

建築現場での木材選定では、単純な寸法だけでなく、含水率、等級、樹種特性を総合的に判断する必要があります。

 

含水率による寸法変化

  • 乾燥材:含水率19%以下、寸法安定性が高い
  • 未乾燥材:含水率20%以上、収縮による寸法変化あり
  • グリーン材:含水率30%以上、大幅な収縮が発生

等級による性能差

  • 目視等級区分:節、丸身等の欠点を目視で測定
  • 機械等級区分ヤング係数を機械測定で等級区分
  • JAS1等:構造材として最も品質が高い等級

構造用集成材とCLTの活用
近年注目されているCLT(Cross Laminated Timber)は、ひき板を層ごとに繊維方向を直交させて接着した大判パネルです。2013年にJAS制定、2016年に建築基準関連告示施行により一般利用が可能となりました。

 

品質管理のポイント

  • 納入時の寸法測定と記録
  • 含水率の現場測定
  • JASマークの確認
  • 保管時の変形防止措置
  • 施工前の再検査

建築物の構造安全性確保のため、材料選定から施工完了まで一貫した品質管理体制の構築が不可欠です。特に大規模建築物では、トレーサビリティの確保により、将来のメンテナンス計画立案にも寄与します。

 

千葉県木材市場協同組合による建築材寸法詳細資料
http://mokuichi.or.jp/moku_size.html