米松梁価格の相場と選び方、サイズ別単価、乾燥材の特徴

米松梁価格の相場と選び方、サイズ別単価、乾燥材の特徴

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米松梁の価格と相場

米松梁の価格ポイント
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立米単価の相場

2024年現在、10.5〜11.5万円/m³程度で推移しています

📊
サイズ別価格

4m×105×180mmで約6,500円/本が目安となります

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乾燥材の価格

KD材は未乾燥材より高価ですが品質が安定しています

米松梁の価格は、2024年10月現在、立米単価で10.5万円から11.5万円程度が相場となっています。この価格水準は、ウッドショック前の2021年以前と比較すると1〜2万円ほど高い状態で推移しています。ウッドショック時の2021年9月には立米単価が14.5〜15.5万円まで高騰しましたが、その後は徐々に下落し、現在は落ち着いた水準に戻ってきています。
参考)米松材の価格,梁の立米単価,木造住宅の構造材 href="https://ki-no-ie.net/2024/08/15/%E6%9C%A8%E6%9D%90%E3%81%AE%E4%BE%A1%E6%A0%BC/" target="_blank">https://ki-no-ie.net/2024/08/15/%E6%9C%A8%E6%9D%90%E3%81%AE%E4%BE%A1%E6%A0%BC/amp;#8211;…

建築事業者にとって重要なのは、具体的なサイズでの価格把握です。例えば、一般的な梁材である3.0m×0.105m×0.180mサイズの米松材を立米単価11.5万円で計算すると、3.0×0.105×0.180×115,000円=6,520.5円/本となります。この価格は4mサイズになると約9,000円前後、さらに大きな断面になると価格が上昇します。
参考)https://item.rakuten.co.jp/inaba/10000984/

木材の価格推移と立米単価の詳細情報
米松材の立米単価の推移、ウッドショック前後の価格変動、具体的なサイズごとの計算例が詳しく掲載されています。

 

市場価格は地域や取引形態によっても変動します。東京地区での米松KD(乾燥)平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の取引価格は、1立方メートルあたり8万2000〜8万4000円で、前月比3000円(4%)程度の変動があることも報告されています。中部地区の納材協同組合では、特1KD材の3〜4m材で270mm以下×105mmサイズが立米単価11.3万円、360mm以下×105mmサイズが13万円と、サイズによって価格差が設定されています。
参考)【8月】住宅用国産木材が上昇!生産コスト高、値上げ浸透

乾燥材と未乾燥材では価格に大きな差があります。同じ米松でも、KD材(乾燥材)は特1Green(未乾燥材)と比較して立米単価で4〜5万円程度安くなっており、コストパフォーマンスの面で優れています。ただし、品質面では乾燥材のほうが寸法安定性や耐久性で優位性があるため、総合的なコスト評価が必要です。
参考)http://www.wood-chuubunouzai.com/22kakak/index.html

一般的な木造住宅で使われる柱梁などの構造材の立米数は10立米ほどと推測されるため、立米単価の変動が2万円あると、構造材だけで20万円程度の価格差が生じることになります。建築コストの管理において、米松梁の価格動向は無視できない要素となっています。​

米松梁のサイズ別価格一覧表

米松梁の価格はサイズによって大きく異なるため、建築計画に応じた適切なサイズ選定が重要です。以下の表は、一般的な米松梁の主要サイズと価格帯をまとめたものです。
参考)https://zaimoku.co.jp/moku/ippan/matsu_hari240.php

サイズ(mm) 長さ 参考価格(円/本) 用途
105×150 4,000 8,000〜9,000 小規模梁、一般住宅
105×180 4,000 9,600〜10,500 標準的な梁材
105×210 3,000 8,400〜9,000 中規模梁、桁材
105×240 4,000 12,400〜19,000 大規模梁、8寸材
120×120 4,000 10,000〜11,000 桁材、母屋材
105×270 4,000 14,900〜16,000 大型構造材
120×330 4,000 20,700〜22,000 特大断面材

これらの価格は2024年時点での参考価格であり、市場状況や取引条件によって変動します。特に4mサイズは流通量が多く価格も安定していますが、5mや6mといった長尺材になると立米単価が上昇する傾向にあります。105mm厚の材料が最も一般的ですが、120mm厚については約3,000円のアップ料金が設定されることが多くなっています。​
材料を選定する際には、必要な強度を満たす最小限のサイズを選ぶことがコスト削減のポイントです。過剰なサイズを選定すると材料費が無駄になるだけでなく、施工時の取り扱いも困難になります。また、邸別発注の場合と定尺材の在庫品では価格が異なるケースもあるため、プレカット工場や材木店との事前確認が重要です。
参考)製品詳細 | アークプリズム 製品・サービスを検索する サー…

米松梁の立米単価推移と価格変動要因

米松梁の立米単価は、過去数年間で大きな変動を経験しています。2021年以前、ウッドショックが発生する前の立米単価は8.5〜9.5万円程度で安定していましたが、2021年3月頃から急激に上昇し始め、同年9月には14.5〜15.5万円のピークに達しました。この時期には材料が入手困難となり、着工できない現場が続出する事態となりました。​
2023年に入ると立米単価は毎月1万円ずつ下落し、同年4月頃には12万円程度まで落ち着きました。その後2024年7月までこの水準を維持し、さらに2ヶ月後の同年9月〜10月には10.5〜11.5万円まで下がっています。ウッドショック前と比較すると、現在でも1〜2万円程度高い水準で推移していることが分かります。​
価格変動の主な要因として、以下の点が挙げられます。
🌍 国際的な木材需給バランス - 北米での住宅建築需要、カナダやアメリカの輸出政策、コンテナ船の運賃などが価格に影響します。​
💹 為替レートの変動 - 米松は輸入材のため、円安・円高が直接的に国内価格に反映されます。​
🏭 国内の生産・流通コスト - 乾燥設備の稼働コスト、人件費、物流費の上昇が価格に上乗せされます。​
📊 季節的な需要変動 - 建築シーズンや年度末の駆け込み需要によって、一時的な価格上昇が発生することがあります。​
建築事業者は中部納材協同組合などが公開している月次市場価格を参考にすることで、適切な購入タイミングを判断できます。また、大量発注や長期契約によって価格を安定させる手法も有効です。立米単価だけでなく、乾燥状態(KD材かGreen材か)、等級(特1等級か無等級か)、長さ(3〜4mか5〜6mか)によっても価格が変わるため、総合的な評価が必要です。​
中部納材協同組合の月次市場価格
米松をはじめとする木材の最新市場価格と前月比較が毎月更新されており、価格動向の把握に役立ちます。

 

米松梁の乾燥材(KD材)と価格差

米松梁において乾燥材(KD材)を選択するかどうかは、価格とパフォーマンスの両面から重要な判断となります。KD材とはKiln Dried(キルンドライ)の略で、温度や湿度、風量を調整できる大きな釜で木材を短期間乾燥させ、含水率を20%程度まで下げた建材です。
参考)先程の写真にあったSD20は、含水率20%を示している訳です…

乾燥材の価格は未乾燥材(Green材)と比較して、立米単価で異なる設定となっています。中部納材協同組合のデータによると、米松特1KD材の3〜4m、270mm以下×105mmサイズが立米単価11.3万円であるのに対し、同サイズの特1Green材は16.3万円と、実はKD材のほうが5万円程度安価になっています。これは生産効率や流通量の違いによるものです。​
🏗️ KD材の主なメリット
寸法安定性が高く、未乾燥材と比較してたわみ量が1/2になります。乾燥によって木材が収縮し組織が引き締まることで強度が増加し、建築後の狂いや割れが少なくなります。また、含水率が20%以下になることで腐朽菌が繁殖しにくくなり、耐久性が向上します。重量も軽くなるため施工時の取り扱いが容易になり、作業効率が上がります。
参考)構造材・耐震 株式会社江原工務店 | 神奈川県小田原市にある…

代表的な米松乾燥材の商品として「ドライ・ビーム」があります。この製品は全ての材に強度(E110以上)と含水率(SD20%)が表示され、シリアルナンバーも印字されており、製造工程の追跡が可能です。1本1本の含水率とヤング率を測定しデータ管理されているため、品質管理が徹底されています。
参考)米松KD平角ドライビーム

⚠️ KD材の注意点
乾燥過程で表面割れが発生することがありますが、軽微な乾燥割れは強度的に問題がないとされています。ただし程度問題であり、選別基準はメーカーによって異なります。また、米松は樹脂(ヤニ)が多い樹種のため、乾燥処理をしても現場や完成後にヤニが出ることがあります。塗装時には注意が必要です。
参考)

建築事業者としては、初期コストだけでなく、施工性や建築後の品質維持、クレーム対応のリスクなども含めて総合的に判断すべきです。特に梁材は構造上重要な部材であり、長期的な耐久性が求められるため、乾燥材の採用が推奨されます。
参考)【木材】米松の特徴

米松梁の強度規格と等級別価格

米松梁の価格は、単にサイズだけでなく強度等級によっても大きく異なります。木材の強度性能は建築基準法に基づき厳格に管理されており、JAS規格によって等級が定められています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_48.pdf

米松の強度区分には、目視等級区分と機械等級区分の2種類があります。目視等級区分では、節の大きさや割れ、曲がりなどを目視で判定し、甲種構造用Ⅱの2級などの等級が付けられます。一方、機械等級区分では、等級区分機によって曲げヤング係数を1本ずつ測定し、E50、E70、E90、E110、E130といった等級に分類されます。​
📊 機械等級区分の基準

等級 曲げヤング係数(GPa) 価格傾向
E50 3.9以上 5.9未満 低価格帯
E70 5.9以上 7.8未満 標準価格
E90 7.8以上 9.8未満 やや高価格
E110 9.8以上 11.8未満 高価格帯
E130 11.8以上 13.7未満 最高価格帯
E150 13.7以上 プレミアム価格

米松の無等級材の基準強度は、圧縮(Fc)が22.2 N/mm²、引張り(Ft)が17.7 N/mm²、曲げ(Fb)が28.2 N/mm²、せん断(Fs)が2.4 N/mm²となっています。目視等級区分甲種構造用Ⅱの2級では、曲げ強度が22.8 N/mm²とやや低くなりますが、機械測定によりE90程度の性能が期待できます。
参考)米松が無い!

構造用集成材の場合は、さらに高い強度性能が得られます。米松集成材のE120-F330材やE135-F375材といった規格があり、サイズによって使用できる等級が変わることがあります。例えば105×300mmサイズでは、E120材よりもE135材のほうが流通量が多く、納期面で有利になるケースもあります。
参考)構造用集成材に関する質問です。構造図で梁材が、米松のE120…

実際の製品では、中国木材のドライ・ビームなどがE110以上の強度を保証しており、データによるとE110以上の発生率が約80%、E90以上で約98%以上を占めています。このような高品質な乾燥材を選ぶことで、構造計算上の安全率を確保しながら、過剰なサイズアップを避けることができ、結果的にコスト削減につながります。​

米松梁の耐久性と長期コストパフォーマンス

米松梁の価格を評価する際には、初期コストだけでなく長期的な耐久性とメンテナンスコストも考慮すべきです。米松は北米大陸西部に広く分布する針葉樹で、日本のマツとは分類が異なり、トガサワラ属に近い樹種です。
参考)米松 - 藤井ハウス産業株式会社

🔨 米松の構造材としての特性
米松の最大の特徴は、梁材として求められる曲げ強度と弾力性に優れていることです。木材技術センターのデータによると、米松の曲げ強度は780kgf/cm²、圧縮強度は420kgf/cm²と、最高級のヒノキよりも数値的に高い性能を示します。これは梁が建物の粘り強さに影響する部分であり、弾力性やせん断力、曲げにも強い米松が最適である理由です。
参考)新築住宅に使用する木材 (適材適所)

耐久性の面では、米松は中程度とされています。ヒノキのように伐採後200年間強度が増し続けるといった特性はありませんが、適切な乾燥処理と保存処理を施すことで十分な耐久性が得られます。鉄道の枕木や電柱に使われる実績もあり、保存処理技術の有効性が証明されています。
参考)小浪木材産業株式会社 木材製品を和歌山から

🌲 集成材との比較
無垢の米松材と集成材では、長期的な性能に違いがあります。集成材は完成時点での強度は無垢材よりも強いですが、接着剤を使用して加工した材料は長期間でボンドが劣化し剥離する恐れがあります。一方、無垢材は建ててから乾燥するにつれて強度を増し、集成材を超える強度に達する特性があります。集成材は完成時点が最も強く、時が経つにつれて強度が落ちていくのとは対照的です。​
米松の加工性も重要な経済性要素です。米松は加工がしやすく、さまざまな形状に成形することが可能で、比較的軽量でありながら強度も高いため、建築材料として非常に人気があります。大径かつ長尺材を生産できる特性により、継ぎ手を減らした一体的な梁材を確保できるため、構造的な弱点を減らすことができます。​
⚠️ メンテナンス上の注意点
米松は樹脂(ヤニ)が多い特性があり、塗装時には注意が必要です。乾燥処理を施しても、現場や完成後にヤニが出ることがあるため、内装材として露出させる場合は事前の処理や定期的なメンテナンスが必要になる場合があります。また、木理は通直で肌目は粗く、時間が経つと黒ずむ傾向があります。
参考)内装材から松ヤニが多く出て困っています。材や施工に問題はない…

総合的に見ると、米松梁は初期コストと長期性能のバランスが優れた選択肢といえます。特に梁材として最も重要な曲げ強度と粘り強さを持ち、価格も集成材や他の輸入材と比較して競争力があるため、建築事業者にとってコストパフォーマンスの高い材料です。​