

インバータの出発点は「商用交流をそのままでは周波数を変えられない」ことです。そこで一般的な構成として、交流を整流して直流にし、中間回路で平滑し、その直流を高速スイッチングで任意の交流電圧・周波数に“作り直して”モータへ印加します。こうした電力変換は半導体素子の高速スイッチングで実現される、という骨格をまず固定してください。参考:安川電機の解説は、整流回路→中間回路→逆変換回路の流れをまとめており、現場説明にも使いやすいです。
インバータの種類と特徴(電力変換回路の構成・PWMの位置づけ)
PWM(パルス幅変調)は、直流を細かくON/OFFしてパルス列を作り、そのパルス幅(デューティ)を変えることで「結果として欲しい電圧・周波数の交流波形」を合成する考え方です。オムロンの技術解説では、インバータは直流化した後にPWM制御で再度交流を作り、出力はパルス状だがモータコイルで平滑されて正弦波電流が流れる、と説明されています。ここは建築設備の説明で重要で、「インバータ出力をモータ以外に入れないで」が一言で腑に落ちるポイントにもなります。
インバータ用語解説(PWMの概要・出力がパルスである点)
建築の現場目線だと、PWMの議論は「細かくすると良いことが多いが、無限に細かくはできない」に集約できます。一般にスイッチング周波数を上げると波形は“それっぽく”なりやすい一方、スイッチング損失が増えたり、EMI(電磁ノイズ)や漏れ電流、ケーブル条件の影響が出やすくなったりします。つまり、盤の中だけで完結せず、配線・接地・フィルタ・モータ絶縁まで含めた「設備としての最適化」になります。PWMは制御の話でありながら、施工品質が効いてしまう領域だと理解しておくとトラブル対応が速くなります。
V/f制御は、モータへ与える電圧(V)と周波数(f)の比を一定に保つことで、モータの磁束を大きく崩さずに扱う代表的な方式です。安川電機の説明では、200V級なら60Hzで200V、30Hzで100VのようにV/fパターンで周波数と電圧が決まり、そのまま出力できるため、1台のインバータで複数台モータ運転が可能という実務上の利点も示されています。設備側で「同一運転でまとめたい」要件がある場合に、V/fが候補に残る理由はここです。
インバータの種類と特徴(V/f制御の説明・複数台運転の可否)
一方で、V/fは“ざっくり回す”には向きますが、負荷変動が大きいと速度がズレやすいという弱点を抱えます。安川電機の解説では、誘導モータはトルク発生に「すべり」が必要で、負荷が大きいほどすべりが大きくなり回転速度の遅れが増える、と明確に述べています。ファン・ポンプのように負荷が比較的素直でも、ダクト抵抗変動や弁開度変動があると、狙いの風量・流量に対して回転数が追従しにくいケースが出ます。
インバータの種類と特徴(すべりと速度低下の説明)
ここで“建築従事者向け”に一つ刺さる視点を入れるなら、V/fで問題になるのは「回転数そのもの」より「制御量の再現性」です。例えば外気条件・フィルタ目詰まり・VAV動作などで系統抵抗が揺れると、同じ周波数指令でも風量が想定よりズレることがあります。風量計測がない場合は気づきにくく、結果として室圧・換気量・COPに影響が波及します。V/fは悪者ではなく、設計の要求(定速に近いのか、一定量制御なのか)と“計測の有無”で向き不向きが決まります。
ベクトル制御は、モータ電流を「トルクになる電流」と「磁界を作る励磁電流」に分けて考え、電流の方向をベクトル演算して制御する方式です。安川電機はこの考え方によりモータ特性に見合った電流を流せるため、誤差の少ない精度の良い運転が可能と説明しています。要するに、“回す”よりも“狙った状態に保つ”のが得意になります。
インバータの種類と特徴(ベクトル制御の定義・特徴)
速度がズレる根っこにある「すべり」に対し、ベクトル制御はすべり分をリアルタイムに計算して上乗せすることで、負荷が変わっても回転数を一定にしやすい、という説明が安川電機のページにあります。搬送など一定速度が重要な用途でイメージされがちですが、建築設備でも「低速域での粘り」が必要な場面(夜間低負荷運転、微風量の維持、差圧制御の安定化)で効いてきます。V/fで“止まりそう”な領域を、ベクトル制御が踏ん張って回す、という理解は現場で役に立ちます。
インバータの種類と特徴(すべり補償・一定速度制御の説明)
また、オムロンの解説では、ベクトル制御はインバータからモータへの電圧・電流出力を参照して出力波形を修正し、回転数やトルクを推定して制御するとされています。さらに「センサレス」と「エンコーダ(PG)付き」に大別される点も明確です。建築設備では多くがセンサレスで成立しますが、巻上・搬送・位置決めなど“安全側の仕様”が厳しい場合はPG付きが検討に上がります。
インバータ用語解説(ベクトル制御・センサレス/PG付き)
建築設備でインバータが多いのは、ファン・ポンプの運転点が「風量・流量を変えたい」に直結し、回転数制御の効果が素直に出やすいからです。JEMA(日本電機工業会)は、ファン・ポンプをダンパ(バルブ)制御ではなくインバータ制御で運転する場合の話題を含め、インバータの高調波抑制に関する指針(JEM-TR)などの情報導線を提示しています。つまり業界としても、建築設備の文脈でインバータが“当たり前の構成要素”として整理されている、ということです。
JEMA インバータ(ファン・ポンプ運転と高調波抑制の案内)
設計・施工・保守で効く観点を、実務用に短く並べます(入れ子にしない箇条書きで要点だけにします)。
意外と見落とされがちなのが、「インバータを入れた瞬間に、設備が“交流機器”から“高周波スイッチング機器”に変わる」点です。高調波やノイズは“計算で終わる”話ではなく、同じ機器でも現場条件で出方が変わります。JEMAが高調波抑制対策の原理や方法に触れるパンフレット発行などで対策促進を行った経緯を示しているのは、現場で問題になりやすい裏返しでもあります。
JEMA インバータ(高調波抑制対策の取り組み)
検索上位の解説は「PWMとは」「V/fとベクトル制御の違い」で終わりがちですが、建築の現場で差がつくのは“施工と保守の設計”です。オムロンが述べるようにインバータ出力はパルス状で、モータコイルで平滑される前提があるため、配線条件や負荷の取り方が変わると、想定外の現象(異音、過熱、誤動作、保護動作)が出ることがあります。ここを「制御が悪い」と決めつけず、設備として見直せるかが重要です。
インバータ用語解説(出力がパルス状・モータで平滑)
独自視点として有効なのは、引き渡し後を見据えたチェック項目です。例えば、同じ“回る”でも、保守が困るのは「再現性がない不具合」です。そこで、初期コミッショニング段階でログや設定値、計測点の振る舞いを“残す設計”にしておくと、数年後の改修や更新で強い武器になります。
さらに、点検時の“気づきどころ”も整理しておきます。ベクトル制御は便利ですが、モータや機械が変わると前提が崩れます。例えばモータ銘板違い、Vベルト張り過ぎ、軸受劣化など機械側の変化が、制御の追従性に隠れて進行し、ある日突然保護動作として現れることがあります。ベクトル制御が悪いのではなく「良く制御できるからこそ、劣化が別の形で出る」ことがある、というのが現場での落とし穴です。
参考:インバータの基本構成(整流→中間回路→逆変換)と制御方式(V/f・ベクトル制御)の説明がまとまっており、教育資料として使いやすいです。
安川電機:インバータの種類と特徴
参考:PWMで交流を作る考え方、出力がパルス状でモータ側で平滑される点、センサレス/PG付きベクトル制御の整理があり、施工・保守の注意点につなげやすいです。
オムロン:インバータ用語解説
参考:ファン・ポンプ運用と高調波抑制指針(JEM-TR)など、建築設備で避けにくい高調波テーマの導線が得られます。

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