

建築設備(ダンパ、バルブ、シャッター、搬送、昇降など)のモーター選定で、最初にやるべきことは「カタログの定格出力(kW)を、トルク(N・m)に変換して比較できる状態にする」ことです。小野測器のFAQでは、定格出力HkW、回転速度Nr/min、トルクTN・mの関係として、H=T×(2πN/60)÷1000、したがって T=(60000/2π)H÷N が示されています。
この式は「その回転数で連続的に出せる定格トルク」の目安になるため、異なる極数・減速機・メーカー間での横並び比較の入り口として非常に有効です。
ただし、ここで出てくるトルクは“定格条件”の値です。現場で「起動が重い」「冬場だけ動きが鈍い」「止まらずにオーバーランする」などのトラブルは、定格トルクだけ見て、必要トルクの内訳(摩擦・重力・加速)を分解していないことが原因になりがちです。式でトルクを出したら、次はそのトルクが“どの運転領域”で必要なのか(定速なのか、加速なのか、停止保持なのか)を分けて考えます。
参考:定格出力と回転数からトルクを求める式(H=T×(2πN/60)÷1000、T=(60000/2π)H÷N)
小野測器:モーター定格からトルクを求めるには
選定の本体は「必要トルク = 外部(定速)で必要な負荷トルク + 加速(減速)で必要な加減速トルク」を作ることです。ミスミの技術情報でも、駆動モータ選定は“負荷トルクに余裕があること”や“慣性モーメントに対して起動・停止ができること”など複数条件を満足する必要があり、仮選定後にトルク実効値や過負荷、繰り返し過熱をチェックする流れが示されています。
この「仮選定→チェック」の工程を省くと、カタログ上は合っているのに現場で熱を持ち、ブレーカが落ちる、ブレーキが焼ける、ギヤが早期摩耗する、といった不具合に繋がります。
負荷トルクの代表例は、摩擦(ガイド、シール、予圧)、重力(昇降)、外力(押付け、風圧、搬送抵抗)です。ここに“加速トルク”を加えると、短い立上げ時間(tを短縮)ほど必要トルクが増えます。つまり「速くしたい」は電気的には「一瞬だけ大きいトルクが欲しい」であり、機械的には「慣性を一気に回したい」という要求になります。現場の体感(キビキビ動かしたい)が、数式上は“加速トルクの増加”として現れる点が重要です。
チェック項目の例(入れ子にしない箇条書き)
参考:仮選定後に「トルク実効値」「過負荷特性」「起動・停止の繰り返しに対する過熱許容」をチェックする必要
ミスミ技術情報:ボールねじの選定方法4(駆動トルク・モータ選定)
ステッピングモーターを含む位置決め系では、カタログの「回転速度―トルク特性」を見て、必要トルクが曲線の内側に入るかを確認するのが基本です。オリエンタルモーターの技術資料では、プルアウトトルクは「各回転速度で出すことのできる瞬時最大トルク」で、選定では必要トルクがこの曲線の内側に入っていなければならない、と明記されています。
ここでの落とし穴は、必要トルクを“定速トルクだけ”で見積もってしまい、加速時の山(ピークトルク)が曲線を超えて脱調(ミスステップ)することです。
さらに、同資料では慣性負荷が増えると自起動周波数が低下し、追従できなくなると脱調する、と説明されています。建築設備でも、ダンパやルーバーのリンク機構、長いシャフト、重いフラップなどは慣性が効きやすく、低温でグリス粘度が上がると「摩擦+慣性」の複合で条件が悪化します。結果として、仕様上は回るはずの速度域でも、実機では回り切らずに停止する、という“現場あるある”が起きます。
安全率は「なんとなく2倍」ではなく、どの要因のばらつきを吸収したいかで意味が変わります。例えば、設備用途でばらつきが大きいのは、施工誤差(芯ズレ、当たり)、経年摩耗(摺動抵抗増加)、温度(粘度変化)、電源(電圧降下)です。これらの“ばらつき”はトルクに直接効くため、設計時の安全率は「負荷の見積もり誤差を吸収するための係数」として扱うと、後工程(試運転・調整)の説明もしやすくなります。
参考:プルアウトトルクは瞬時最大トルクで、必要トルクが曲線の内側に入る必要がある
オリエンタルモーター:ステッピングモーターの基本特性
建築の現場では、直線駆動(スライド、開閉、押引き、昇降)にボールねじや類似の機構を使うことがあり、ここで効いてくるのが「効率」と「摩擦」です。ミスミの技術情報では、ボールねじの効率ηは摩擦係数やリード角に依存し、駆動源選定に必要な負荷トルク(定速駆動トルク)を求める流れが示されています。
つまり、同じ推力(直線の力)が欲しくても、効率が少し落ちるだけで必要な駆動トルクは目に見えて増え、モーター側の余裕を簡単に食い潰します。
意外と見落とされるのが「予圧ナット」や「案内の摺動面」が支配的になるケースです。オリエンタルモーターのボールねじ機構の選定事例では、ボールねじ効率ηや摩擦係数、予圧ナット内部摩擦係数などを条件に置き、必要トルクを計算して仮選定し、さらに負荷慣性モーメントやブレーキ保持まで確認しています。
このように、直線駆動は“ねじの計算だけ”では終わらず、案内の摩擦・予圧・ブレーキ保持・運転サイクル(間欠/連続)まで含めて初めて現場で安定します。
現場向けの要点(絵文字つき)
参考:ボールねじ効率・負荷トルク・仮選定後のチェック項目(トルク実効値、過負荷、過熱)
ミスミ技術情報:ボールねじの選定方法4
参考:ボールねじ機構でηや摩擦係数を置き、必要トルク→仮選定→慣性確認まで行う手順
オリエンタルモーター:選定事例 - ボールねじ機構(選定の手順と計算式)
検索上位は「トルク不足を避ける」話が中心になりがちですが、建築設備の実務では“トルク過剰”も同じくらい危険です。トルクに余裕を持たせすぎると、起動時のショックが大きくなり、リンク・ピン・取付金具のガタが増えたり、薄板部材が歪んだりして、後から異音や当たりが発生しやすくなります。さらに、停止端での衝突(機械ストッパ当たり)が強くなると、ストッパ側が先に負けて、位置ずれや再調整が必要になります。
また、減速機付きでトルクだけ盛ると、速度が遅くなるのを嫌ってインバータで回転数を上げ、結果的に騒音や振動が増えることがあります。ステッピングモーターでも、余裕を見て大型化すると、ローター慣性が増えて加減速が重くなり、狙ったサイクルタイムに届かない、という逆転現象が起きます(慣性の影響を受けること自体は、オリエンタルモーター資料が説明する通りです)。
つまり「安全率=大きくすれば安心」ではなく、「必要トルクの内訳を分解し、どのばらつきに対して、どれだけ余裕を持たせるか」を設計意図として言語化する方が、現場調整と上司レビューの両方で通りやすくなります。
過剰トルクを避けるための小技(箇条書き)
(※この節は“トルク過剰”による施工・保全コスト増を主題にした独自視点。トルクの内訳分解や仮選定後チェックの重要性はミスミ技術情報の流れとも整合します。)

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