
建築業界において内装ドアの標準寸法は、効率的な施工と品質確保の要となります。主要メーカーが採用している標準規格サイズは、長年の実績と現代住宅事情を反映して確立されています。
DAIKEN標準規格サイズ
これらの寸法は枠外幅と製品高を示しており、扉サイズは約818mm×1992mmから678mm×1992mmまで段階的に設定されています。
LIXIL TA室内ドア規格
LIXILでは標準ドアとトイレドア用に異なる規格を設定し、パネルタイプ、カスミガラス、エッチングガラスの各仕様に対応しています。
興味深いのは、これらの標準サイズが日本建築の伝統的な「一間=182cm」「半間=91cm」という規格から脱却していることです。現代人の平均身長が100年前より約20cm高くなったことを受け、より実用的な寸法体系が採用されています。
各メーカーの寸法体系には微妙な差異があり、建築プロジェクトでの選定時には注意深い検討が必要です。
ノダ製内装ドアの特徴
ノダでは対応壁厚に応じた枠サイズを展開しており、見込み114mmを基準として以下の仕様があります。
オーダードア.comの規格展開
特筆すべきは、ハイドア仕様(天井高H2400mm・H2500mm)の普及です。これにより空間に開放感が生まれ、モダンなスタイルが実現できます。
ドアクローザー対応寸法
ニューラーのドアクローザー仕様では、番手①から⑥まで段階的に対応ドア寸法が設定されています。
これらの規格は、ドア重量と開口寸法の関係性を示す重要な指標となります。
正確な寸法測定は施工品質に直結する重要な工程です。測定時には「枠の内側」と「枠の外側」の両方を計測し、ドアの水平・垂直が適切に保たれていることを事前確認します。
測定手順
測定時の注意点
測定精度が1mm違うだけで、実際の施工時に調整が困難になる場合があります。特にリフォーム案件では、既存開口の変形や経年変化を考慮した測定が不可欠です。
既存ドアからの交換における測定
これらの区分を明確にすることで、適切なドア仕様の選定が可能になります。
リフォーム工事では既存開口への適合性が最重要課題となります。標準規格品で対応できない場合のオーダー対応や、開口拡張工事の検討が必要です。
既存開口活用のポイント
従来の日本建築規格(一間・半間基準)で建てられた住宅では、現代規格との寸法差異が顕著に現れます。身長170cm以上の居住者では頭をかがめて通る必要がある場合も多く、リフォーム時には思い切ったサイズ変更が効率的です。
オプション枠の活用
既存開口をワンサイズ大きくしたい場合は、以下の方法があります。
サイズオーダー対応の実際
多くのメーカーでは1mm単位でのサイズオーダーに対応しており、リフォーム案件での柔軟な対応が可能です。ただし、オーダー品は納期が長くなる傾向があるため、工程計画への影響を事前に検討する必要があります。
コスト効率の検討
標準規格品を採用できる場合とオーダー品の価格差は一般的に20-40%程度となります。開口拡張工事費用との比較検討により、最適な解決策を選択することが重要です。
特殊用途における内装ドアでは、建築基準法や各種規制への適合性が求められます。防火性能、遮音性能、バリアフリー対応など、用途に応じた仕様選定が不可欠です。
防火ドア対応寸法
温度ヒューズ付きドアクローザーでは、防火ドア用の特別な規格が設定されています。通常の内装ドアとは異なる金物構成となるため、開口寸法の設計段階での配慮が必要です。
バリアフリー対応の有効開口
建築基準法施行令や各自治体の条例では、車椅子使用者の通行を考慮した有効開口幅(一般的に750mm以上)が規定されています。標準規格の875mm枠外幅タイプ(有効開口750mm)が最低限の基準となります。
ホテル客室用特殊仕様
ニューラーではホテル客室用H型の特殊仕様を展開しており、セキュリティ機能や静音性を重視した金物構成となっています。これらの用途では、一般住宅用とは異なる寸法体系が適用される場合があります。
親子ドア・大開口対応
店舗や事務所では親子ドアや大開口ドアの需要があり、標準規格を超える特殊寸法が必要になります。これらの用途では構造計算や風圧計算を含む詳細な検討が必要です。
網戸併用タイプの考慮事項
3000シリーズなど網戸併用タイプでは、ドア本体とは別に網戸機構のためのスペースが必要となります。設計段階でこれらの追加寸法を考慮した開口計画が重要です。
現代の内装ドア業界では、多様化するニーズに対応するため、標準規格の枠を超えた柔軟な対応が求められています。建築基準法への適合性を確保しながら、施主の要望を実現する技術力が、建築業従事者に求められる重要なスキルとなっています。