
日本機械学会が主催するM&M2025材料力学カンファレンスは、2025年11月10日(月)から13日(木)までの4日間、熊本県熊本市中央区桜町3番40号の熊本城ホール3F会議室フロアで開催されます。本カンファレンスは、機械工学、特に材料力学に関係する広い分野の研究者・技術者が一堂に会して議論し、機械工学のさらなる発展を目指す重要なイベントです。
参考)http://www.jscm.gr.jp/cosponsored/event/2025/Mamp;M2025%20Event%20Outline.pdf
協賛団体として日本船舶海洋工学会、日本塑性加工学会、日本鋳造工学会などが予定されており、材料力学分野における幅広い産学連携が期待されています。講演発表申込締切は7月18日(金)、講演原稿提出締切は9月12日(金)となっており、多数の研究発表が予定されています。
参考)日本材料強度学会
本カンファレンスでは、新規な分野の学術講演に加え、関心の高い分野のレビュー講演や企業などからの技術紹介講演が実施される予定です。特に注目されるのは、マルチマテリアル構造に関する研究です。異種材料を適材適所に配置するマルチマテリアル構造は、建築業においても軽量化と高強度化を両立させる重要な技術として期待されています。
参考)5. 材料力学 href="https://www.jsme.or.jp/kikainenkan2022/chap05/" target="_blank">https://www.jsme.or.jp/kikainenkan2022/chap05/amp;#8211; 機械工学年鑑2022
繊維強化プラスチックや複合材料の接合技術に関する研究も重要なテーマとなっています。これらの材料は、建築構造物における耐震性能の向上や長寿命化に貢献する可能性があり、建築業従事者にとっても有益な知見が得られます。また、材料の変形や破壊現象を根源から理解する「ナノ力学」に関する研究にも高い関心が寄せられており、新しいナノ構造材料の力学機能に関する研究成果が発表される見込みです。
参考)適応材料力学 — 機械理工学専攻
今回のM&M2025では特筆すべき取り組みとして、宇宙工学部門との部門間交流を目的とした日本機械学会分野連携企画の特別講演が計画されています。宇宙工学分野では、宇宙機器の軽量化、振動・衝撃、宇宙環境、メンテナンスフリーなど極限的要求が多く、機械工学の基盤分野である材料、機構・潤滑、熱、流体などの高いレベルでの融合・調和が求められています。
参考)宇宙工学部門の概要 href="https://www.jsme.or.jp/sed/?page_id=186" target="_blank">https://www.jsme.or.jp/sed/?page_id=186amp;#8211; 宇宙工学部門
この部門間連携により、宇宙工学で培われた先端的な材料力学技術が建築業を含む他分野への応用可能性を探る機会となります。特に、フェライト系耐熱鋼の粒界工学に基づく組織制御と力学特性向上、高強度-高延性化に向けた粒界制御プロセスなど、建築構造材料の性能向上にも応用できる研究が発表される予定です。
参考)https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/jsme2025/session/3R1740-67
複合材料の破壊力学研究は、建築業における構造材料の信頼性評価に直接応用できる重要な分野です。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの複合材料は、軽量で高強度という特性から、建築構造物の補強材料として注目されています。M&M2025では、複合材料の変形・損傷・破壊といった材料メカニクスを力学モデルにより解明し、先端材料の新しい設計方法へ応用する研究が多数発表される見込みです。
参考)ポリマー系材料(複合材料)における破壊力学の基礎と強度設計へ…
特に、繊維強化複合材料のメゾ構造制御による高性能化や、界面はく離進展のその場観察技術など、建築材料の耐久性評価に役立つ最新の研究手法が紹介されます。これらの知見は、建築物の基礎や柱などの構造材料としてよく使用されるコンクリートの強度評価にも応用可能であり、適切なコンクリートの使用量や補強方法を決定する際の参考になります。
参考)建築における材料力学の基礎と応用
マルチマテリアル構造を実現するためには、異種材料を高い信頼性で接合する技術が必須です。M&M2025では、摩擦撹拌接合(FSW)や高速打鋲接合など、建築業にも応用可能な革新的接合技術の研究成果が発表されます。特に、中高炭素鋼を含む超高強度鋼やチタン材といった難接合材の接合技術、金属とCFRP間の異種接合技術は、建築構造物の高性能化と軽量化を同時に実現する鍵となります。
参考)材料強度学研究室|芝浦工業大学
接合部の界面強度評価に関する研究も重要なテーマです。破壊力学に基づく界面強度評価法は、建築構造物のプロセス開発、部材開発、安全性確保のためにますます重要になっています。また、構造材料用接着技術の開発では、プロセス温度が比較的低温で変形が少なく剛性を確保できる接着接合の研究が進められており、これらの成果は建築業における異種材料接合の信頼性向上に直接貢献します。
参考)破壊力学部門委員会界面強度評価小委員会の活動
日本機械学会M&M2025材料力学カンファレンスの公式情報は以下のリンクで確認できます。材料力学分野における最新の研究動向や技術開発の詳細が掲載されています。
日本機械学会M&M2025材料力学カンファレンス公式サイト
本カンファレンスでは、建築業従事者にとって有益な材料強度評価、破壊力学、複合材料技術など、実務に直結する研究成果が多数発表されます。J-STAGEでは過去のM&M材料力学カンファレンスの論文集が5,701本収録されており、これらの文献も参考になります。
J-STAGE M&M材料力学カンファレンス論文集
熊本大学では材料評価学講座が設置されており、金属材料の変形挙動と微視組織の関係に基づき、結晶スケールの素過程から巨視的な力学挙動を評価・予測する手法の開発が行われています。M&M2025の開催地である熊本で、このような先端研究に触れる機会も得られます。