
パナソニックの玄関収納コンポリアは、建築現場で最も採用される玄関収納システムの一つです。基本寸法規格を理解することで、設計段階から施工まで効率的な作業が可能になります21。
標準幅寸法展開
高さ寸法仕様
奥行寸法詳細
据え置きタイプとフロートタイプで奥行寸法が微妙に異なることは、現場での設置計画において重要なポイントです。据え置きタイプは405mm、フロートタイプは400mmとなっており、この5mmの差が壁面との収まりに影響する場合があります。
建築業界では見落としがちですが、カウンター部分の厚み70mmも設計時に考慮すべき要素です。特に狭小住宅での採用時は、この寸法が動線確保に直結します。
コンポリアの特徴は、ユニット組み合わせによる柔軟な寸法対応です。各ユニットの詳細寸法を把握することで、顧客の要望に応じた最適なプランニングが可能になります。
トールユニット寸法仕様
ローユニット寸法仕様
天袋ユニット寸法仕様
天袋ユニットは季節物収納として重要な役割を果たしますが、設置高さによる作業性を考慮した寸法設定が必要です。標準的な天井高2400mmの住宅では、天袋下端が約2140mmとなり、一般的な成人女性でも手の届く高さに設計されています。
フロアユニット寸法詳細
土間部分に設置するフロアユニットは、ベビーカーや傘などの大型アイテム収納に特化した寸法設計です。内部高さ約1800mmは、一般的な折りたたみ傘から長傘まで対応可能な設計となっています。
業界でも注目すべきは、各ユニットの組み合わせ時の接続部寸法です。ユニット間の見切り材は15mm幅で統一されており、連続設置時の美観を保つ工夫が施されています。
現場での設置作業において、図面寸法だけでは把握できない実務的な注意点が存在します21。特に既存住宅のリフォーム案件では、これらの詳細が施工品質を左右します。
据え置きタイプ設置要件
据え置きタイプは床面との接地面積が重要です。本体重量約80kg(1200mm幅標準仕様)を支えるため、床の耐荷重確認が必須となります。また、床仕上げ材の厚みによって本体高さが変わるため、フローリング12mm、クッションフロア2mmなどの仕上げ材厚を事前に確認する必要があります。
フロートタイプ設置要件
フロートタイプは壁面固定が前提となるため、下地の確認が重要です。石膏ボード下地の場合は間柱位置への固定が必須で、固定金具の配置間隔は600mm以下とする必要があります。
扉開閉寸法確保
扉の開閉に必要な寸法は、一般的に考えられている以上に重要です。フラットタイプの扉は90度開放時に約20mmの出寸法が発生し、隣接する壁や他の建具との干渉チェックが必要です。
電気設備との取り合い
見落としがちなのが、コンセントやスイッチとの取り合いです。一般的な住宅では玄関にインターホン子機やセンサーライトのスイッチが設置されることが多く、これらの位置と収納の配置を事前に調整する必要があります。
配線の逃げ代として、本体背面に20mm程度の空間確保を推奨しています。この寸法は設計図書に明記されることは少ないですが、現場での納まりを美しく仕上げるために重要な要素です。
パナソニックコンポリアの大きな特徴は、Uオーダー(寸法オーダー)対応です。建築現場の様々な条件に対応するため、標準寸法では収まらない場合のカスタマイズ仕様を理解することが重要です。
幅寸法カスタマイズ範囲
高さ寸法調整仕様
天井高の制約がある場合、高さ調整も可能です。ただし、内部収納効率を維持するため、最小高さは1800mmとなっています。天井高2300mm程度の住宅では、天袋ユニットを省略したプランニングが一般的です。
奥行寸法制約
奥行寸法は構造上の制約から調整範囲が限定されます。標準400mmに対し、±50mmの範囲での調整が可能ですが、350mm以下になると扉の開閉機構に支障をきたす可能性があります。
特殊カスタマイズ事例
マンションのリフォームでは、既存の下駄箱スペースに合わせた特殊寸法での製作が必要になることがあります。幅880mm×高さ1950mmといった中途半端な寸法でも、Uオーダーにより対応可能です。ただし、標準品と比較して納期が2-3週間延長されることを顧客に説明する必要があります。
カスタマイズ時の注意点として、扉の分割方法があります。幅1500mmを超える場合、構造上2枚扉での対応となり、中央部に見切りが発生します。この見切り幅30mmは、設計時に考慮すべき重要な寸法です。
建築業従事者として現場で最も重要なのは、顧客の生活スタイルに合わせた適切な寸法選定です21。単純に設置可能な最大寸法を提案するのではなく、使い勝手を重視した寸法選定が顧客満足度向上につながります。
家族構成別推奨寸法
玄関面積との関係性
玄関の有効面積に対する収納の占有率は、使い勝手に大きく影響します。一般的には玄関面積の30%以下に抑えることで、動線を阻害しない設計が可能です。例えば、間口2400mmの玄関では1200mm幅が上限となります。
将来メンテナンス性考慮
あまり知られていない選定ポイントとして、将来のメンテナンス性があります。扉の蝶番や棚板は消耗品であり、10-15年での交換が推奨されています。このため、特殊寸法での製作よりも、標準寸法での設計を優先することで、将来的な部品調達コストを抑制できます。
設置環境特殊条件
湿気の多い地域や、床暖房設置住宅では、本体と床面の間に調湿材の挿入や断熱材の設置が必要になる場合があります。これらの材料厚み(通常5-10mm)も設計寸法に含める必要があります。
建築業界の実務において、これらの詳細な寸法情報と選定ポイントを理解することで、顧客満足度の高い玄関収納プランニングが可能になります。特に新築住宅では、設計段階での適切な寸法選定が、完成後の使い勝手を大きく左右するため、これらの情報を活用した提案が重要です。