ラッカーシンナーテストで塗膜判別と塗料選択

ラッカーシンナーテストで塗膜判別と塗料選択

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ラッカーシンナーテストで塗膜判別

ラッカーシンナーテストの基本
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塗膜判別の必須技術

塗り替え工事の成否を左右する重要な下準備として、既存塗膜の種類を正確に判別するためのテスト方法です。

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溶解力の活用

ラッカーシンナーの強い溶解力を利用して、塗膜の反応から塗料の種類を特定します。

🎯
塗料選択の指針

テスト結果に基づいて最適な塗料を選択することで、塗装トラブルを未然に防ぎます。

ラッカーシンナーテストとは何か?基本原理と目的

ラッカーシンナーテストとは、既存の塗膜に対してラッカーシンナーを適用し、その反応から塗膜の種類を判別する方法です。このテストは外壁塗装や塗り替え工事において非常に重要な役割を果たします。
ラッカーシンナーは強い溶解力を持つ有機溶剤で、塗料の種類によって異なる反応を示します。この性質を利用して、現在施工されている塗膜がどのような塗料で形成されているかを特定するのです。
テストの目的は主に以下の3つです:

  1. 既存塗膜の種類を正確に特定する
  2. 適切な塗り替え用塗料を選定するための情報を得る
  3. 塗装トラブル(塗膜の剥離や変色など)を事前に防止する

特に塗り替え工事では、既存塗膜との相性を考慮せずに新しい塗料を塗ると、塗膜が溶けたり、密着不良を起こしたりするリスクがあります。そのため、プロの外壁塗装業者はこのテストを欠かさず行うのです。

ラッカーシンナーテストの正しい手順と判断方法

ラッカーシンナーテストは比較的簡単な手順で実施できますが、正確な判断のためには適切な方法で行うことが重要です。以下に、プロが実践する正確なテスト手順をご紹介します。
【準備するもの】

  • ラッカーシンナー(一般的なラッカーうすめ液)
  • 清潔な白い布やウエス
  • 手袋(ゴム製または耐溶剤性のもの)
  • マスク(有機溶剤用)

【テスト手順】

  1. 布にラッカーシンナーを適量染み込ませます。
  2. 試したい塗膜の目立たない場所を選びます。
  3. シンナーを染み込ませた布で塗膜を軽くこすります。
  4. 塗膜の反応を観察します。
  5. 必要に応じて、別の場所でもテストを繰り返します。

【判断方法】
テスト結果からの塗膜判別は以下のように行います:

  1. 水性塗料の場合

    • シンナーを塗布すると塗膜が膨れ上がります
    • こすると消しゴムのカスのようにポロポロと剥がれます
    • 溶けるというより「はがれる」感覚です

  2. アクリル樹脂系塗料の場合

    • シンナーで塗膜が溶け、布に色が付着します
    • 強溶剤アクリル系塗料と判断できます

  3. ウレタン・エポキシ樹脂系塗料の場合

    • シンナーを塗布しても特に変化が見られません
    • 強溶剤エポキシまたは強溶剤ウレタンと判断できます

このテスト結果は、次に使用する塗料の選定に直接関わる重要な情報となります。例えば、水性塗料と判断された場合は、次も水性塗料を選ぶ必要があります。

ラッカーシンナーテストで見分ける塗料の種類と特徴

ラッカーシンナーテストを通じて、様々な塗料の種類を見分けることができます。ここでは、主要な塗料タイプごとの反応パターンと特徴を詳しく解説します。
1. 水性エマルション系塗料

  • 反応: シンナーを垂らすと塗膜が膨れ上がり、こすると粘り気が出て剥がれる
  • 特徴: 環境に優しく、臭いが少ない。乾燥が早く、水で希釈・洗浄可能
  • 用途: 一般住宅の外壁や内装に広く使用される

2. 強溶剤アクリル系塗料

  • 反応: シンナーで塗膜が溶け、指や布に色が付着する
  • 特徴: 耐候性が高く、塗膜の光沢が長持ちする
  • 用途: 外壁や金属部分の塗装に適している

3. 強溶剤エポキシ系塗料

  • 反応: シンナーを塗布しても変化がほとんど見られない
  • 特徴: 非常に高い耐薬品性と密着性を持つ
  • 用途: 工場床や化学薬品を扱う施設の塗装に使用される

4. 強溶剤ウレタン系塗料

  • 反応: シンナーに対して抵抗性があり、ほとんど反応しない
  • 特徴: 優れた耐摩耗性と耐候性を持ち、光沢が長持ちする
  • 用途: 自動車や工業製品の塗装、高耐久性が求められる外壁に使用

5. ラッカー系塗料

  • 反応: シンナーで即座に溶解する
  • 特徴: 乾燥が非常に早く、作業性が良い
  • 用途: 木工製品や家具の塗装に多く使用される

これらの塗料は、それぞれ異なる特性を持っており、用途や環境に応じて選択されます。ラッカーシンナーテストによって正確に塗膜を判別することで、塗り替え時の塗料選択を適切に行うことができます。

ラッカーシンナーテストに基づく最適な塗料選択と相性表

ラッカーシンナーテストで既存塗膜の種類が判明したら、次は塗り替えに最適な塗料を選択する段階です。ここでは、テスト結果に基づいた塗料選択の指針と、塗料間の相性を表にまとめました。
塗料選択の基本原則

  1. 水性塗料の上には、基本的に水性塗料を選択
  2. 溶剤系塗料の上には、同系統または上位互換性のある塗料を選択
  3. 不明な場合は、下塗り(プライマー)を使用して密着性を確保

塗料相性表

既存塗膜 水性塗料 アクリル系 ウレタン系 エポキシ系 ラッカー系
水性塗料 △(要下塗り) △(要下塗り) △(要下塗り) ×
アクリル系 ×
ウレタン系 ×
エポキシ系 ×
ラッカー系