

垂直に設置したリフト式逆止弁は、逆流を止めるどころか配管破損の原因になることがあります。
リフト式逆止弁は、内部の流路がS字状(玉形弁と同じ構造)になっているバルブです。主な構成部品は、弁体(ディスクまたはコーン状)・弁座(シート)・ガイド・弁箱の4つで、シンプルながら確実な逆流防止性能を発揮します。
流体が正方向に流れると、その圧力によって弁体が垂直上方に押し上げられ(リフトし)、流路が開きます。流れが止まるか逆流しようとすると、弁体の自重と逆圧によって弁体が弁座に押し戻され、流路が閉じます。「リフト」という名前は、この「弁体が持ち上がる」動作そのものに由来しています。
構造的な特徴として重要なのは、弁体がガイドに沿って直線的に上下するという点です。スイング式のように回転動作がないため、弁体と弁座の密着性が高く、シール性能に優れています。高圧・高温の蒸気配管やプラント設備で多用されるのはこのためです。
ただし、S字流路が圧力損失を大きくするという側面もあります。流体はS字状の経路を通過しなければならないため、スイング式と比較して圧力損失は大きめになります。これが条件です。
手動の玉形弁(グローブバルブ)から弁軸・ヨーク・ハンドルを取り外したような構造で、実際に玉形弁と共通部品を使用している製品も多くあります。現場で玉形弁を扱い慣れている方には、構造の理解が早いでしょう。
| 構成部品 | 役割 |
|---|---|
| 弁体(ディスク) | 流体の圧力で上下し流路を開閉する可動部 |
| 弁座(シート) | 弁体が密着することでシールを形成する固定部 |
| ガイド | 弁体の動作方向(垂直方向)を規制し安定させる |
| 弁箱 | S字流路を形成する外側ケーシング。玉形弁と共通設計も多い |
参考:逆止弁の種類と構造を詳しく解説しているTLVの技術資料です。リフト式・スイング式・ディスク式の比較も確認できます。
逆止弁 後編(スイング・リフト・ディスク式の比較)- TLV株式会社
リフト式逆止弁には、必ず守らなければならない設置制約があります。それは「水平配管専用」であるという点です。垂直配管には使用できません。
なぜかというと、弁体が自重で弁座に戻る仕組みを利用しているからです。垂直配管に取り付けた場合、弁体の自重の向きと配管内の流れの向きが一致してしまい、逆流防止が正常に機能しなくなります。具体的には、下向きの流れに設置すると弁体が常に自重で「開いた状態」になってしまい、逆流が発生しても弁が閉じないのです。つまり逆流防止の意味がなくなります。
さらに重要なのが、取り付け時の向きです。水平配管に設置する際でも、必ずボンネット(蓋)部分が上(天)を向くように設置しなければなりません。これはKITZなど国内主要バルブメーカーの公式FAQ・取扱説明書でも明記されています。
現場でよく起きるミスが、スイング式と混同して垂直配管に取り付けてしまうケースです。外観が似ているだけに判断を誤りやすく、設置後しばらくは動作しているように見えても、異常な圧力変動や逆流が発生した場合に機能しないというリスクが残ります。
竪型リフト式チャッキバルブという特別な製品が存在しますが、逆に今度はこれを水平配管に使用することができません。それぞれの製品が「水平専用」または「垂直専用」と明確に区別されているため、現場での確認は必須です。
参考:KITZによる逆止弁の取付姿勢・チャタリングに関する公式FAQ。設置方向の判断基準が具体的に確認できます。
チャッキ弁(逆止弁)に関するよくある質問 - 株式会社キッツ
チャタリングとは、逆止弁の弁体が短いサイクルで開閉を繰り返す現象です。この現象が起きると、弁体と弁座(シート面)が激しく接触し続けるため、シート部の摩耗が急速に進みます。結果として、逆流防止の密閉性が失われ、製品寿命が大幅に短くなります。
特に注意が必要なのがポンプ近傍への設置です。KITZの公式資料によると、スイング式・リフト式・ボール式のチャッキバルブをポンプの上流側に設置する場合、ポンプから「配管呼び径の6倍以上」の距離を確保する必要があります。たとえば呼び径50A(外径約60mm)の配管であれば、少なくとも300mm以上の直管部を確保することが推奨されています。これはポンプ吐出直後の乱流・脈動がチャタリングの引き金になるためです。
チャタリングの原因は主に2つです。1つ目は流速が遅すぎる場合で