

弁体(ディスク等)は、流体(=水など)を「通す/止める」を直接つくる可動部で、開閉操作に合わせて位置や角度が変わります。
弁座(シート)は、弁体が閉じたときに当たって密閉をつくる固定側の部位で、ここが“受け面”になります。
つまり「弁体が動いて弁座に密着できれば閉弁、離れれば開弁」という関係で、止水性能は弁体と弁座の“当たり面”の状態で決まります。
ここをイメージしやすくするために、家庭の水栓も含めて「フタ(弁体)」と「フタの受け口(弁座)」だと考えると整理が速いです。
弁体だけ新品でも、弁座の座面が荒れていれば、フタが密着しきれずに内部漏れ(閉めてもチョロチョロ)になります。
逆に弁座が健全でも、弁体側が摩耗・変形していれば同じく密着できず、水が止まりにくくなります。
参考:バルブ一般の構造・分類と「弁体・弁座」の関係(基礎の確認)
TLV「バルブの種類と用途」
いわゆるハンドル式の水栓では、スピンドルの動きに連動してコマ(コマパッキン等)が上下し、吐水を止めたり出したりします。
このとき「コマ(弁体側)が弁座に当たって塞ぐ」ことで止水が成立するため、家庭の修理では“弁体=コマ側”として扱うと理解が揃います。
実務でありがちな混乱は、「水が止まらない=パッキン(コマ)だけ交換すればOK」と決め打ちしてしまうことです。
確かにコマ側のゴムが摩耗しているケースは多いのですが、弁座(座面)に傷・腐食・異物噛みの痕があると、コマを替えても止水が甘いまま残ります。
そのため、分解できたら“コマ(弁体側)”と“弁座(座面)”をセットで観察し、どちらの当たり面が荒れているかで判断するのが再発防止になります。
参考:水道蛇口の部品名称(コマの位置づけや動きの確認)
マイナビ水まわり「水道蛇口の部品名称と役割」
水道トラブルは大きく「外部漏れ(外に漏れる)」と「内部漏れ(閉めても内部で漏れる)」に分けると、原因の当たりを付けやすくなります。
外部漏れはパッキン劣化や接続部の緩みなど“外側のシール”が疑わしい一方、内部漏れは弁体と弁座の密着不良が中心になります。
内部漏れの切り分けで役立つ観点は次の通りです。
なお、弁の種類によっては「途中の開度で使う」こと自体が弁座を傷める引き金になります。
例えばボール弁は、途中開度で使うとソフトシートの弁座の一部に力が集中して変形し、シール性能が落ちて漏れる場合があるとされています。
一方で玉形弁(グローブ弁)は、弁体と弁座の距離(リフト量)で流量調整でき、途中開度でも弁座や弁体が損傷を受けにくいという説明があります。
参考:途中開度の注意点(弁座変形や流量調整の考え方)
TLV「ボール弁/玉形弁の注意点」
DIYだと見落としがちですが、弁座は“形”だけでなく“材質”でも寿命や適用が変わります。
例えば一般的なバタフライ弁では、弁体に接する弁座(シート)がゴム素材で作られているものは高温・高圧の流体に不向きで、条件によりメタルシートなどで対応するという説明があります。
家庭の水道は高温・高圧の蒸気ラインほど過酷ではない一方、給湯側・温度変化・薬剤(洗浄剤)などでゴム系シートが早く硬化することはあります。
ここで重要なのは「弁体だけ強そうな金属に見えても、密閉を担うのは弁座側のシート材」という構造が多い点です。
弁座材が硬化・変形すると、弁体がきれいでも“当たり”が作れず、内部漏れが起きる—という順序で理解すると、部品選定のミスが減ります。
参考:弁座(シート)と材質条件(ゴムシートの適用限界)
日本バルブ工業会「バルブにはどんな種類があるの?」
分解前でも、弁座と弁体のどちらが怪しいかを“音と感触”で推定できることがあります(絶対ではありませんが、現場の一次判断として有効です)。
まず「閉めた瞬間の感触」です。
次に「音」です。
この“感触診断”が役立つ理由は、弁座と弁体が作る密閉が「面の状態(粗さ・傷・偏り)」に支配されるからです。
目に見える大傷がなくても、当たり面がリング状に偏摩耗していれば、締め付けトルクだけ増えて止水が追いつかないこともあります。
結果として、強く締める癖がつき、さらに当たり面を傷める悪循環に入りやすいので、「弁座と弁体のどちらの面が先に壊れているか」を意識するだけで修理の精度が上がります。
(ここまでの内容を踏まえたうえで)もし記事をあなたの運用水栓に寄せるなら、対象は「ハンドル式(コマ)」「サーモ混合栓(切替弁)」のどちらが中心ですか?