

リン酸二水素カルシウムの化学式は Ca(H2PO4)2 とされ、別名として「第一リン酸カルシウム」や略称MCPが使われます。
ただし、現場で遭遇する“同じ名前に見える粉”が、実は「一水和物」なのか「無水物」なのかで性状が変わる点が重要です。
例えばSDSでは、ビス(りん酸二水素)カルシウム一水和物として化学式 CaH4O8P2・H2O(= Ca(H2PO4)2・H2O と同等表現)が示され、CASも一水和物と無水物で併記されます。
建築従事者の文脈でこの“表記の違い”が効いてくるのは、次のような場面です。
参考)https://www.junsei.co.jp/product_search/sds/84188jis.pdf
参考:化学式・別名・製法・性状(密度、溶解度、酸性など)のまとまった辞典解説
コトバンク(化学辞典)|リン酸二水素カルシウム(MCP)の化学式・密度・溶解度・用途
密度は、辞典解説で一水和物が2.22 g/cm3(= 2.22 g cm−3)とされ、粉体としては“重め”の部類に入ります。
SDSでも密度2.22 g/cm3(18℃)が記載されており、少なくとも流通品の代表値としてこのオーダー感を押さえておくと現場での感覚が合います。
密度がこの程度だと、袋からの移し替え・サイロ投入時に「舞いやすい軽粉」とは挙動が異なり、落下衝撃での粉じんより“こぼれ・固まり”対策(保管・湿気管理)のほうが支配的になりやすいのが実務上のポイントです。
また、密度を材料管理に使うときは「真密度」と「嵩密度」を混同しないのがコツです。
リン酸二水素カルシウムは水溶性が高い側のリン酸カルシウムで、辞典では溶解度が1.8 g/100 g 水(30℃)とされています。
SDSでも水への溶解度が18 g/L(30℃)と示されており、同温度帯の値として整合するレンジ感です。
水溶液が「強酸性を示す」と説明されているため、水に溶かして使う運用を想定する場合は、pH影響(周辺材への攻撃性・作業者の皮膚/眼への刺激)を先に織り込む必要があります。
建築分野でありがちな“見落とし”は、同じリン酸カルシウムでも溶けやすさが別物な点です。
「白い粉だから同じように水に溶けるだろう」と扱うと、溶液化の手順や配管詰まりのリスク評価がズレます。
SDSでは分解温度が203℃と記載され、加熱を避けるべき条件として明示されています。
さらに辞典解説では、一水和物を180℃に加熱すると無水物になる、と水和状態の変化も示されています。
この「180℃付近で脱水→さらに加熱で分解」という流れは、乾燥工程・加温養生・熱源近接保管などで“意図せず別物に変わる”可能性を示唆するため、試験値の再現性や品質保証の観点で要注意です。
特に、建築現場で粉体を仮置きする際にありがちなNG例を挙げます。
辞典では、リン酸二水素カルシウムの水溶液は強酸性を示すとされ、ここが建築材料と相性を議論する際の出発点になります。
コンクリートやモルタルは一般にアルカリ性の環境(セメント水和物由来)にあるため、酸性側の添加・混入は、反応・溶出・表面劣化などの“方向性”を変え得ます。
そこで独自視点として、検索上位が化学式の説明で終わりがちなテーマに、現場の意思決定で使えるチェック観点を足します。
✅ 建築従事者向けの「確認リスト」(実務で効く順)
意外に知られていない落とし穴は、「リン酸二水素カルシウム」という名称が“無害そう”に見えても、水溶液の酸性や加熱時の分解生成物(SDSでは金属酸化物、りん酸化物)が示されている点です。
施工検討で触れるなら、化学式を覚えるだけで終わらせず、①水に溶かすのか、②どの材料(鉄・アルミ・亜鉛めっき・セメント系)に接触させるのか、③温度が上がる工程があるのか、の3点を“先に”確定すると手戻りが減ります。
参考:SDSとして、組成(化学式・CAS)から保護具、保管、分解温度、溶解度まで一通り確認できる
純正化学|リン酸二水素カルシウム 安全データシート(化学式、溶解度、分解温度、保護具)