含水率コンタクト測定による建築材品質管理の適正化

含水率コンタクト測定による建築材品質管理の適正化

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含水率コンタクト測定の基本

含水率コンタクト測定の重要ポイント
📏
測定方式の選択

高周波式と電気抵抗式の特性を理解し、材料と用途に応じた適切な測定器を選ぶことが精度向上の鍵

🎯
管理基準の遵守

JAS規格や建築基準法に定められた含水率基準を満たすことで、施工品質と耐久性を確保

迅速な現場対応

コンタクト式測定器による非破壊検査で、施工工程を妨げずに水分状態をリアルタイムで把握

含水率測定における高周波式と電気抵抗式の違い

建築材料の含水率を測定する方法には、主に高周波式と電気抵抗式の2種類があります。高周波式は材料の誘電率の変化を利用して含水率を測定する方法で、測定対象に電極を刺す必要がないため非破壊で測定できる点が特徴です。平面接触型の高周波式水分計は、素材に底面を当てるだけで瞬時に木材や建築素材の含水率を測定できます。
参考)https://www.monotaro.com/s/q-%E5%90%AB%E6%B0%B4%E7%8E%87%E8%A8%88%E6%B8%AC%E5%99%A8/

一方、電気抵抗式は木材が水分を含むと電気を通すようになる性質を利用した測定方法です。材料に針状の電極を打ち込み、電圧を掛けてその抵抗値を測定することで含水率を算出します。電気抵抗式は使い方が比較的簡単で、設定を変えずに様々な材料の測定が可能なため、現場での普及率が高くなっています。
参考)https://www.measuring.jp/dos/dos04

測定精度の面では、高周波式の方がより正確な測定が可能ですが、測定する木材の種類に合わせて設定を変更する必要があります。電気抵抗式は簡便性に優れているものの、表層の電気抵抗を測定するため、深部の含水率を知るには高周波式の方が適しています。
参考)https://act-kougu.com/column/moisture_meter/

含水率コンタクト測定の原理とメカニズム

コンタクト式の含水率測定は、測定器のセンサ部分を建築材料の表面に直接接触させることで水分量を検知する方法です。高周波式では、高周波電磁波を材料内部に照射し、水分による誘電率の変化を測定します。水の誘電率は他の建築材料と比較して非常に高いため、材料中の水分量が増えるほど誘電率が上昇し、この変化から含水率を算出できます。
参考)https://ojs.cvut.cz/ojs/index.php/ap/article/download/670/502

電気抵抗式の場合、木材などの絶縁体が水分を含むことで電気を通すようになる性質を利用します。測定時には数十ボルトの高電圧を掛けて抵抗値を測定し、その値を含水率に換算して表示します。温度の影響を受けやすく、温度1度につき抵抗値が2~4%変動するため、測定時には温度補正が必要です。
参考)https://www.monotaro.com/s/q-%E5%90%AB%E6%B0%B4%E7%8E%87%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E5%99%A8/

コンクリートやモルタルの場合は、専用のブラシ型センサや深部センサを使用します。表面から最大50mm、オプションを使用すれば150mmまでの深部の含水率測定が可能で、外壁補修時のエポキシ剤注入の最適時期判定などに活用されています。
参考)http://www.texte.co.jp/heat_moisture/review_moisture.pdf

含水率測定器の正しい使い方と現場での実践方法

建築現場で含水率測定器を効果的に使用するには、測定条件と手順の理解が不可欠です。高周波式水分計を使用する場合、まず測定する材料の種類に応じて機器の設定を調整します。測定面は清潔で平滑であることが望ましく、測定器の底面を材料表面にしっかりと密着させることで正確な測定が可能になります。
参考)https://www.hanshinco.com/moisturefinder.html

電気抵抗式の場合は、プローブの先端を材料に差し込んで測定します。木材測定モードに設定した後、針状のプローブを測定対象の深さまで挿入し、表示が安定するまで待ちます。測定箇所は複数点で行い、平均値を取ることで材料全体の含水状態をより正確に把握できます。
参考)https://www.torisumi.net/news/1968/

コンクリートやモルタルの測定では、2箇所に穴を開けてセンサを差し込む方法や、ブラシ型センサを用いる方法があります。定期的に複数箇所を測定し、含水率8%以下を目安とすることが一般的です。測定値は温度の影響を受けるため、自動温度補正機能付きの測定器を使用するか、手動で補正を行う必要があります。
参考)https://www.nisshinkogyo.co.jp/blog/detail/waterproof-trend-0901/

含水率管理基準値と建築材料別の適正範囲

建築材料の含水率は、JAS規格と建築基準法によって厳格に基準が定められています。構造用製材では、建築基準法施行令第46条により構造耐力上主要な部分に使用する木材は含水率15%以下であることが義務付けられています。これは施工後の乾燥収縮や割れによる予期せぬ耐力低下を防ぐための重要な基準です。
参考)https://asahikawa-mokkocenter.com/?p=6797

JAS規格では用途別に細かく基準が設定されており、構造用製材の仕上げ材ではSD15(15%以下)またはSD20(20%以下)、造作用製材ではSD15またはSD18(18%以下)の区分があります。内装に使用する木材は天候や気温の影響が少ないため、8~10%程度のものが適しています。一般的に8~15%の含水率が木材の平衡含水率として適当とされています。
参考)https://www.okajimawood.co.jp/column/202508_03/

コンクリートの場合、塗り床などの仕上げ材施工前には含水率8%以下が目安とされ、エポキシ樹脂などの接着剤を使用する場合は特に含水率管理が重要です。長期間供用したコンクリートでは、質量含水率が3~4%を下回ると中性化速度が大きくなることが研究で明らかになっており、3%程度の低い含水率でも鉄筋腐食グレードは低く抑えられます。
参考)https://data.jci-net.or.jp/data_pdf/38/038-01-1129.pdf

含水率測定における温度補正と精度向上のテクニック

含水率測定の精度を高めるには、環境条件の影響を正しく理解し対処することが重要です。特に電気抵抗式では温度の影響が顕著で、温度1度の変化で抵抗値が2~4%変動し、高含水率域ではさらに影響が大きくなります。測定器に自動温度補正機能が搭載されていない場合は、測定時の材料温度を記録し、手動で補正計算を行う必要があります。​
測定精度を向上させるためには、測定箇所の選定も重要です。木材の場合、節や樹脂溜まりなどの異常部位を避け、代表的な部位を複数箇所測定して平均値を算出します。コンクリートでは表面だけでなく深部の含水率も重要で、深部センサを使用することで表面から150mmまでの含水状態を把握できます。
参考)https://ja.defelsko.com/product-categories/concrete-moisture-measurement

高周波式測定器を使用する際は、材料の密度や塩分濃度も測定値に影響を与えることを認識する必要があります。コンクリートの場合、含有塩分の影響を強く受けるため、同一配合のコンクリートで事前にキャリブレーションカーブを作成することが推奨されます。測定面の状態も重要で、表面の汚れや凹凸は測定誤差の原因となるため、測定前に清掃し平滑な状態で測定することが精度向上につながります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/coj1975/32/9/32_49/_pdf/-char/en

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