

建築設備や自動化治具で「直線運動が必要」になったとき、ロボシリンダのiaiは“電動アクチュエーター”として、エアシリンダの置換候補に上がりやすい機器です。
ロボシリンダー(直動機種)は、ベース一体型リニアガイド、ボールねじ、サーボモーター(またはパルスモーター)、コントローラーで構成され、要素部品の専用設計とプログラムレスコントローラーで小型化・低価格・簡単操作を狙った製品体系になっています。
さらに、IoT対応として通算稼働回数・通算稼働距離・負荷率・動作ステータス・エラーコード等の出力を持つ点が、建築の保全(点検周期、故障予兆、停止判断)と相性が良い部分です。
建築従事者目線で重要なのは「電動=制御が難しい」ではなく、「仕様書に落とせるパラメータが増える」ことです。
例えば、押し当てや位置決めを空圧でやっていた工程は、速度のプロファイル(加減速)や停止位置の再現性を“設計値”として管理できるようになり、現場調整を減らす方向に設計できます。
参考)https://www.iai-robot.co.jp/data_dl/CAD_MANUAL/MANUAL/PDF/ACTUATOR/JAPANESE/ASSEMBLY_IK(MJ0193-3A).pdf
また、現場での説明責任(なぜこの機器で安全に動くのか)を作りやすく、設備引渡し時の資料(運転条件、異常時の挙動)を整えやすいのもメリットです。
建築設備の搬送・開閉・押し当て治具で使いやすいのが、上面のスライダーが動く「スライダータイプ」です。
スライダータイプは、スライダー上にタップ穴がありワーク取付けがしやすく、ベース一体型のボール循環型リニアガイド内蔵で、ピッチング・ヨーイング・ローリング方向のモーメントに対応できるとされています。
要するに、単純な直線運動だけでなく「少し張り出した治具」を載せる現場用途で、外付けガイドを減らせる可能性がある、ということです。
設計で詰めるべき観点は、単なる可搬質量だけでなく、取付け面からの張り出し(モーメント)と、据付誤差・躯体誤差が入ったときの“こじれ”です。
内蔵ガイドがあるからといって、斜め荷重・偏荷重を無限に吸収できるわけではないため、建築側(架台、アンカー、取付けプレート)の剛性と、調整代(長穴、シム、位置決め基準)をセットで仕様化すると事故が減ります。
参考)https://www.iai-robot.co.jp/dairiten/pdf/MANGA_RC-1(CJ0059-8A).pdf
また、スライダータイプの用途として、ワークを載せた搬送や位置決め、直交組合せのベース軸・可動軸として適することが示されています。
「意外と効く」視点として、外付けガイドを足す前に“ワイドスライダー”を検討する手があります。
ワイドスライダータイプは、標準スライダー比で許容負荷モーメントが最大14倍にアップした、と製品ページで明記されています。
建築設備のように、後から治具が大きくなりがちな案件では、初期からモーメント余裕を取りやすい選択肢になります。
建築側の仕様書で揉めやすいのが、「どれくらい動く(ストローク)」「どれくらい速い(速度)」「どれくらい載る(可搬質量)」の3点です。
スライダータイプのシリーズ一覧には、例として、スタンダードでストローク50~1500mm・最高速度1200mm/sec・最大可搬質量80kg(水平)55kg(垂直)など、レンジが具体的に示されています。
他にも大型サイズではストローク100~2800mm・最高速度2000mm/sec・最大可搬質量400kg(水平)120kg(垂直)といった記載があり、重量物対応のラインも存在します。
ただし、建築設備での「可搬質量」は、単に載せる質量だけでなく、扉やダンパーの偏心、リンク機構の反力、ケーブルベアの抵抗などが上乗せされます。
そのため、設計初期は“見かけの重量”ではなく、「最悪姿勢での反力」と「張り出し寸法」を同時に見て、モーメントとガイド寿命の観点で安全側に振るのが現実的です。
特に垂直用途は重力が常に負荷になるため、水平仕様の感覚で選ぶと停止保持やブレーキ条件でトラブルが出やすく、垂直可搬の数値を前提に検討する必要があります。
速度についても、建築設備では“速ければ良い”とは限りません。
速い動作は衝突リスクや騒音につながりやすく、周辺の安全柵・挟まれ防止、非常停止後の復帰手順まで含めて「人が近づく設備」か「無人区画」かを分けて設計するのがポイントです。
加えて、点検時のインチング(低速動作)を運用手順として書けるように、通常速度と保全速度を分けた条件出しが有効です。
建築設備は、製造装置と違って「常時専門オペレータが張り付かない」ことが多く、止まったときに復旧が遅れがちです。
ロボシリンダのiaiは、IoT向けに通算稼働回数・通算稼働距離・負荷率・各動作ステータス・エラーコード等を出力できる、と説明されています。
この“出力できる”という一点が、保全計画の作り方を変えます。
例えば、点検周期をカレンダー(年1回)だけで切るのではなく、稼働回数や稼働距離のしきい値で「予防交換」「増し締め」「清掃」を組むと、稼働が偏る建築設備でも合理的になります。
また、負荷率やエラーコードを監視できれば、「扉が重くなってきた」「レールに異物がある」などの変化を“症状”として拾いやすくなり、現場の勘に頼った対応から脱却しやすいです。
BAS(ビル管理)や設備監視に繋ぐ場合も、まずは異常信号の粒度(運転可/不可、軽故障/重故障)と復旧条件(リセット可否、手動退避)を設計図書に落とすのが安全です。
参考:ロボシリンダーの構成要素とIoTで出力できる情報(稼働回数・負荷率・エラーコード等)の根拠
https://www.iai-robot.co.jp/product/electric-actuator/robo.html
検索上位は「製品の特長」「型式選定」に寄りがちですが、建築従事者にとって本当に差が出るのは“架台・取付け”の作り込みです。
スライダータイプは内蔵リニアガイドでモーメントに対応できるとされる一方、ワークの張り出しが大きい用途ではワイドスライダーが有利、という整理が製品ページにあります。
つまり、機器側の強化だけでなく、建築側の「取付け面精度」「ベースのねじれ」「アンカー位置の逃げ」が、寿命と再現性を左右します。
意外と見落とされるのが、躯体側の微小なたわみや温度伸縮で、直線機構に“横方向の拘束”が入ることです。
その結果、短期的には異音や動作抵抗の増加として現れ、長期的にはガイド部の摩耗や繰返し位置のズレ、負荷率上昇(監視していれば気づける)に繋がります。
対策としては、機器の直線性だけを信じず、架台の基準面を明確にし、取付けには調整代を残し、ケーブルや配管の引き回し抵抗を“外乱荷重”として扱うことが重要です。
建築の現場は、設備更新や後付け改修で条件が変わりやすい領域です。
だからこそ、最初から「モーメント余裕のある機種(ワイドスライダー等)」「保全指標としての稼働データ出力」「復旧手順の標準化」をセットにしておくと、引渡し後のトラブルが減ります。
製品仕様の範囲を超える使い方を避けるためにも、設計段階で“張り出し最大時の姿勢”を絵に起こし、どの方向のモーメントが支配的かを言語化しておくと、上司チェックでも説明が通りやすくなります。
参考:スライダータイプの特長(タップ穴、内蔵リニアガイド、用途)と、ワイドスライダーの「許容負荷モーメント最大14倍」
https://www.iai-robot.co.jp/product/series/slider.html