
ローラーチェーンのJIS規格は、1952年12月に日本工業規格JIS B1801号として制定され、その後改正を重ねて現在に至っています。この規格は一般の伝動に用いるショートピッチローラチェーン及びブシュチェーンについて規定しており、建築現場や産業機械で広く使用される伝動装置の基盤となっています。
ローラーチェーンは5種類の部品から構成されています:
JIS規格では、これらすべての部品について詳細な寸法と品質基準が定められており、互換性と安全性を確保しています。特に建築業界では、クレーンやホイスト、コンベヤなど重要な機械設備でローラーチェーンが使用されるため、規格への適合は安全性確保の観点から極めて重要です。
JIS B1801規格では、チェーンサイズごとに詳細な寸法が規定されています。以下は主要な標準ローラーチェーンの寸法と許容張力の一覧です:
チェーンサイズ | ピッチ(mm) | ローラー外径(mm) | 内幅(mm) | 許容張力(kN) | 許容張力(kgf) |
---|---|---|---|---|---|
RS25 | 6.35 | 3.30 | 3.18 | 0.64 | 65 |
RS35 | 9.525 | 5.08 | 4.78 | 1.52 | 155 |
RS40 | 12.7 | 7.92 | 7.95 | 2.65 | 270 |
RS50 | 15.875 | 10.16 | 9.53 | 4.31 | 440 |
RS60 | 19.05 | 11.91 | 12.7 | 6.28 | 640 |
RS80 | 25.4 | 15.88 | 15.88 | 10.7 | 1090 |
これらの数値は設計段階での選定の基準となり、負荷計算や安全率の設定に不可欠です。建築現場でよく使用されるRS40からRS80サイズは、中型から大型の建設機械に適用されています。
JIS規格では破断強度の測定方法も厳格に定められています。測定は以下の条件で実施されます:
測定条件 📏
破断荷重の基準値 💪
ISO 606とJIS B1801で規定される標準的な引張強度は以下の通りです:
チェーンサイズ | 25 | 35 | 40 | 50 | 60 | 80 | 100 | 120 | 140 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
引張強度(kN) | 3.5 | 7.9 | 13.9 | 21.8 | 31.3 | 55.6 | 87.0 | 125.0 | 170.0 |
実際の測定では、多くのメーカーがこれらの基準値を上回る性能を示しており、品質管理の向上が確認できます。
JIS B1810:2024「伝動用ローラチェーンの選定指針」は、適切なチェーン選定のための具体的な方法を規定しています。選定時に考慮すべき主要な要素は以下の通りです:
基本選定パラメータ ⚡
選定方法の種類 🎯
建築現場では、使用環境の厳しさを考慮して安全率を高めに設定することが重要で、通常の産業機械より1.5〜2倍の安全率を採用することが推奨されます。
建築現場では、一般的なスチール製チェーンでは対応困難な環境条件が存在します。JIS規格に準拠した環境対応型チェーンには以下の種類があります:
ステンレス製チェーン(SS) 🏗️
表面処理チェーン 🛡️
無給油形チェーン 🔧
建築現場での給油が困難な箇所や、給油を避けたい環境で使用される特殊なチェーンです。
これらの特殊仕様チェーンは、建築現場の過酷な環境条件下でも安定した性能を発揮し、メンテナンスコストの削減にも貢献します。適切な仕様選択により、建設プロジェクトの安全性と効率性を大幅に向上させることが可能です。